アンティーク掛け時計レストア

 

 

 

 

 

ひょんなことから大昔の振り子掛け時計のレストアをする経験ができた。・・・こういうことは好きなのだが、時計の修理なんてしたことがない私。興味本位でしてみました。

 プロの方々からすれば無謀と思われるかも知れませんが・・・^_^;

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎現状

現状の状態です。全体が収まっていませんが・・・(^_^;)

 

文字盤と窓は取り外していますが、あります。振り子室の窓も取れていますが、ガラスも含め部品はあります。

この状態でとりあえず振り子を振ってみましたが、すぐ止まってしまいました。

聞いたところによると、何十年も動いていないらしい。

 

◎機械覚醒

 

 先に振り子を外しておき、機械をごっそり取り外してみました。機械から伸びている振り子は、途中で引っ掛けて取り付けるようになっていて、簡単に振り子だけ外すことができます。

 

 さて、取り外した機械ですが、とりあえず清掃(エアを噴射するスプレーで埃を飛ばしただけですが)と、ギア及び軸受けのグリスアップをしてみました。

が、しかし。

う〜ん。これだけではダメなようだ。・・・とはいえ動きそうな感じではあるのだが・・・

もうひといきと、振り子とリンクして動く「アンクル」と、アンクルによって一定速度で回転するギア、「ガンギ車」の掃除を念入りにしました。(つまようじで、アンクルとガンギ車にこびりついていた汚れ?を落としました。)

するとなんと・・・。掃除を終えて手に持っていた機械を机に置くと、なななんと動いているではないか! 振り子が付いていないので動きはかなり速いのだが。俄然やる気が出てきた私でした♪

 

アンクルとガンギ車の写真を撮ってないのですが、動作はこの方が分かりやすく説明されています。実は私の時計に関する知識?(浅すぎる知識ですが・・・^_^;)は、ほとんどこのサイトの受け売りなのでっす・・・(^^

↑復活した機械。

 とりあえず適当な板に付けて動かしています。真ん中の軸は針が付く軸で、とりあえず、つまようじを挿してます。理由は、この軸が確実に動いているかを見たかったので・・・(^_^;)

 

◎文字盤と窓

オリジナルの文字盤は、写真のようにあちこち塗料が剥がれていて、全体的に割れた卵の殻のようにひび割れています。

 そこで、新たに0.3mm厚のブリキ板を丸くカットして作製しました。肝心の文字は、パソコンで作製し、プリントアウトしたものをカットしたブリキ板に貼り付けました。ちなみに、プリントアウトした紙は、普通の紙ではなく、“ホワイトマットフィルムラベル”と云うA4サイズのフィルム状のもので、裏は粘着になっているので、そのまま貼り付けることができます。

 文字盤の径は約190mmA4サイズの幅より小さいので、難なく作製できました。文字盤の径がA4幅より大きかった場合はアウトでした(^_^;)

 

 

 左の写真は作製した文字盤。

右の写真はオリジナルの文字盤から取り外した、盤中央周辺及びゼンマイを巻く鍵を差し込む穴に付く飾りリング。これは少し磨いてこのまま移植して取り付ける予定。

 

 

 

 

 

 

 窓ガラスですが、オリジナルのものをなんと不注意で割ってしまった。

 できる限りオリジナルをそのまま使いたい私としてはかなりショック。

とはいえ仕方ないので、新しいガラスを入れることにしました。

 適当なサイズのガラスを手っ取り早く入手する方法はと考えると、安い掛け時計か額縁から外して使用するということにしました。

 とはいえ全く同サイズのものは無く、ガラス切りでカットしてサイズを合わすことに。

 

 

 

 

 実は初のガラス切り。

 実際に切ってみると、なかなか面白い。

 先ず切るところにガラス切りと云う道具でキズを付けるのだが、この時の「チー」という音がなんだか心地いいし、キズを付けたところをペンチなどで折ってカットするのだが、最初はそれ程きれいに折れないと思っていたのだが、実際にはキズを付けた箇所から意外なほどきれいにカットできるのです。

 

 ガラスは円形にカットしなければなりませんので、とりあえずガラス切りでできる限り円形に近く、多角形にカットします。その後、出っ張った角を、円形の砥石をボール盤で回転させて削っていきます。

 

 

 

 

↑ガラス切り。

 ガラスを切る作業は以外に面白い。

 

 

 

↑ボール盤で砥石を回転させ、ガラスを円形にしていく。

 

 

完成した窓。

ガラスを割ってしまった時はどうなることかと思いましたが・・・^^

 真鍮製の枠は、黒く汚れがこびり付いていましたが、サンドペーパーで汚れを落とし、“ピカール”と云う金属磨き研磨剤(旧車好き庶民の必須アイテム?)で磨いて、ピカピカになりました。

 また、真鍮製の枠は、あちこち大小のクラックが入ってしまっていて、実は表面を磨いている時、二つに割れてしまいました。そこで、裏面からハンダを盛って補強しました。二つに割れてしまった箇所は、新しい真鍮板を骨材として追加し、ハンダを盛りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎振り子室の窓

 振り子室の窓の枠を組み立て直しました。なんと、元々雇い実を使って組んでありました。凝った作り方してはりますわ〜。

 ついでに本体側の、窓が取り付くパネルも、雇い実が割れてグラ付く箇所があったので、修正しました。

 

◎ボディ修復完

 廻りのモールディングが一部欠品だったので、欅の端材を使って全て作り直しました。仕上げはオイルフィニッシュとしました。正八角形の加工は、112.5°の木口台を作り、加工しました。

ボディ全体の汚れは、フローリング床用のワックスでこすり落としました。

↑ボディ完成です。

↑八角形加工のため作った木口台

 

◎組み込み&完成

 ボディに機械を組み込み、各パーツを取り付け、レストア完了です。(^^)y-.o

 振り子のおもりの高さを変えて、針の進みの速い、遅いを調整するのですが、非常に微妙な調整で、長いスパンでの調整が必要です。

 

 ところで今回、木ネジに真鍮製のマイナスネジを使いました。クラシカルな雰囲気を演出してくれて、気に入っているパーツです。(^^)v マイナスネジを入手するのが難しい昨今ですが、“オフ・コーポレーション”で、入手しました。・・・ネジメーカーさん、マイナスネジをドンドン世に出していただきたい。(笑)

 

 

◎機械の刻印

 

 

ANSONIA CLOCK Co”の刻印。メーカーのようです。

PATENTED

JUNE 18,1882”と読み取れます。

10”の刻印。

多分、“10DAYS”、いっぱいネジを巻き上げると、10日間動き続けると云うことだろう。

一時間おきに時刻を知らせるゴング部分。このゴングをハンマーで叩いて、いい音を鳴らしてくれます。