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詩集 名前のないもの 第1章 冬眠 08

帰郷


去ってきたのはワタシだろうか

山を越しては見たのだが
海は
なかった

あの狭い土地が
思い出したくもないと思った村が
エデンの地でもあったというのか

いや
ワタシはそこに住んではいなかった

人は
パンを食って生きる

血は熱く流れて
負け犬には

死すべきワタシは
追われたのではなかったか

去ってきたのはワタシではない

もう一度
あの狭い思い出したくもない地に
帰っていこう

(1965.11.23)

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