詩集TOP

冬眠
(1965.8〜1966.10)

駄荼懦惰堕
(1967.2〜1968.4)

呪歌
(1968.5〜1968.11)

名前のないもの
(1968.11〜1969.3)

拾遺集
(1969.4以降) 

 

Home

詩集 名前のないもの 第3章 呪歌 19

初雪


太平の心の片隅にかかった鈎(はり)
時にちりちりと引く
初雪というものが
薄く消えきることができずに積る

そう
寒くはない
寒くはないから うろ うろ うつろ

鈎は
結合織で固めよう
瘢痕は収縮する

初雪という白いあわあわしいものが
消えることができずに
積もってしまう

(1968.11.17)

back                         呪歌top