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買い目の作り方

自分なりに精一杯手を尽くして本命馬を固めます。レースが始まります。自分の本命馬が勝てば良いのですが、僅かの差で2着、3着に沈みます。この時、こんな経験はありませんか?

「馬連買っておけばよかった」、「ワイド、3連複買っておけばよかった」。自分の予想は正しかったのに、手許にある肝心の馬券がそれを押さえていない。よくある話ですよね。私も散々、痛い目にあってきました。

現在、中央競馬、JRAでは何種類の馬券が発売されているのかご存知ですか。「お前、馬鹿にするにもほどがあるぜ。誰でも知ってるだろ。おらああ!」。暴走族のヤンキー(もう、死語だ)が喚きそうな質問をしますが、意外と知っていない方が多いです。特に競馬を職業にする競馬予想記者などは顕著ですが。


そうです。単勝、複勝、枠連、馬連、ワイド、3連複、馬単、3連単の8種類です。何故、こんな話をするかと言いますと、大概の競馬ファンは8種類のうちの一つしか使わないからです。

「そんなもん、当たり前だろ。普通、馬連とか、3連単とか、配当を見て決めるのが普通だろ」。

そんな意識は今日からすべて捨てましょう。配当だけを見て馬券の種類を決めていたのではいつまでたっても負け組です。しかもひとつだけの馬券種別にしがみついているのでは上達はおぼつきません。

私が頭が固いことを痛感したのは、プロのスロッターあかさんのサイトを見た時です。この方は人間的にもすばらしく、勝負師としても見習うべき点が非常に多い方ですが、この方は自分の打つスロット台を絞り込むことをしていません。その時点、その状況においてベストの台を打つことを戦術の中心に置かれています。「今日は北斗の拳を打ちたいな」、「ルパンが好きだから、銭形を打つ」という自分の好みや感情に左右されず、一番勝てるであろう、期待値の高い台を打つことを実践されて、高収益を上げられています。

これを競馬に応用すると、こうなるのでしょうか。

「その時点、その状況に応じて8種類ある馬券種類を柔軟に選択する」。そこにはオッズが低いから、当たり難そうだから、というあいまいな根拠は存在しません。当たりやすそうでも回収の期待値が低ければ、馬券種類を練り直す必要がありますし、逆に回収が高いから、と言う理由だけで3連単ばかり買って、勝ち負けを考えないのは論外ですし、その状況においてベストの馬券選択ができるようになりたいものです。

馬券種類は展開と本命馬の脚質を考えよう

馬柱のチェックや調教、直前気配で本命馬が決まれば、馬券種類の検討に入ります。そこで大事なのは、配当だけを見て馬券の種類を決めてはいけないことです。あなたが決めた本命馬が次のような場合はどうでしょうか?

1 史上最強の絶対大本命(展開に左右されず、自在性があり、最も勝つ可能性の高い馬)

2 勝つかもしれないし、取りこぼすかもしれない本命馬(でも、2着までにはくるだろう差し脚がある)

3 勝ち負けはともかく、3着までには展開を考えてもかなりの確率でくるだろう本命馬

4 勝てないまでも、大崩もない消極的な本命馬

1の場合、単勝、複勝はまずないでしょう(かなりの人気になっているであろうし、2、3倍の配当では割が合わない。おそらく、馬単や3連複、単が検討になるはずだ)。が、意外と妙味があるのは相手を絞っての馬連だと思います。馬単だと1着→2着、押さえを買う場合、2着→1着と裏表買う必要がありますが、馬連だと1点ですみます。

2の場合。リスクを考えると、馬連、3連複が検討の対象になると思われます。脚質で取りこぼしの可能性がある場合は単勝、馬単、3連単は狙い辛い。逃げ馬が本命の場合、更に馬券種類の選択は難しくなり、1着はあっても、展開が厳しかったら掲示板もないというケースの場合は単、馬単、3連単は狙えても、ワイド、馬連、3連複のカバーが厳しくなります。

3の場合。脚質的に極端な追い込み馬などがこれに相当するケースが多いはずです。この場合は3連複、ワイドが狙い目になります。 

4の場合。相手が絞り込めているのなら、ワイドや3連複が対象になるはずです。絞り込めていない場合はBOX勝負もあるでしょう。

自分の本命馬の信頼性と脚質、展開を考えて馬券をチョイスするのはある意味、誰でもしていることだと思います。しかし、そこでオッズを見て「配当がつかないから」と2の場合に馬単や3連単を無理に狙うと、こうなります

「あーあ。馬連にしときゃよかった」。せっかく、理詰めで予想を築き上げたのに、「オッズ」を見た瞬間に自分でもわけのわからない馬券を買っている・・・・・しかも、僅かな差で取りこぼしてしまう。

これを防ぐために、8種類ある馬券を最大限に活用するのです。馬券種類をひとつに限定するルールはありません。1の場合なら、馬連を本線にして馬単を更なる回収率アップのために押さえる。2の場合なら馬連を本線にして3連複を押さえにする。3の場合ならワイドを本線にして、3連複を押さえる。4の場合なら3連複と馬連BOXや、馬連BOXと3連複1頭軸流しなどを組み合わせるなど。

それなら、3連単マルチを買えばいいだろ!となるのですが、3連単マルチは6頭買いで120点になります。1点百円でも1万2千円です。120倍以上の馬券が当たればペイできるのですが、仮に10万馬券が当たったとします。狙い馬を6頭にするほどの馬券力があるのなら、1万2千円を10倍の馬券1点に叩き込み、1点買いできるだろ!と思います。いや、もっと回収できるような合理的な買い目を作れるはずです。

馬券種類を一つにして買っている人は本質的に「1点勝負主義」だと思います。例えば、馬連5点買いでも当たるのは「1点」しかありません。しかし、これが、2種類、3種類の馬券を組み合わせて購入すると、「2点、3点」的中します。よく、競馬中継やラジオ中継で予想記者が「この馬を押さえで購入するといいでしょう」などと言っていますが、「押さえ」の概念がわかっていません。押さえは買い目で作るのであって、頭数を増やして買うのが押さえではありません。


 こんな経験をされた方は少なくないと思います。初対面の方に競馬の話をします。大抵の人はこんな質問してきませんか?

「どんな馬券、買ってるんですか?」。

私の答えは「レースの種類や本命馬の脚質に応じて8種類使い分けてますけど」。と、なるのですが、買い目で2重、3重の網という名の押さえを張っていることは話しません。しかし、自分の本命馬が2着、ないしは3着にはいると、まず、どれかの馬券が的中するという戦術は「当たらない」と嘆いている方には劇的な効果を及ぼします。具体的には後述しますが、ある程度、相手を正確にピックアップする能力を身に付けると、買い方で下手を打つことはなくなります。このあたりの馬券の構築については実際のレースの際に説明します。

しかし、競馬はそんなに甘くない

ここまで読み続けて頂いた方、誠に有難うございます。お礼と言っては何ですが、ここで核心に触れる話をします。

ある程度のレベルに行き着くと、「競馬って当たるんだな」と思うようになります。競馬を始めてすぐの場合は、なかなか当たらないのでいろいろ勉強するようになります。すると、当たるんですよね。競馬の予想というのは努力を積み重ねた結果ですから、どんな方にも当たる時期というのは必ず来ます。

しかし、私が思うに、もっと上に行きたいと思った瞬間、この「当たる」という意識は捨てる必要があります。悲しいことに「競馬というのは当たらないのが当たり前」と意識を変えなければならない瞬間がやってきます。

私がこれを思うようになったのは、プロ野球中日ドラゴンズの落合監督やソフトバンクの王監督の采配を見て感じました。彼らは現役時代、偉大な大打者でしたが、監督になっても、配下の選手に過剰に打つことを期待せず、打力重視ではなく、投手力重視のチームを作りました(ソフトバンクは打も充実していますが)。自分が半端じゃないスラッガーだったので、打つことに対して他人に求めようとしたり、期待しないのでしょうね。イチロー選手ですら、10回のうち、6回以上は凡退しているのですから。

それと同じで、競馬で当たることを常々期待しながらやっていたのでは、いずれ破綻します。競馬に絶対はない、と言う人に限って馬単や3連単だけの勝負をしています。はっきり言って競馬をなめています。そんなに頻繁に自分の読み通りにハマリません。だから、自分の予想が正しい時に、確実に収支を上げて、変な買い方で取りこぼしのないように網を張る必要があるのです。

「種類を散らしたら、買い目1点に対する投資が少なくなってしまう。回収も多くを見込めないじゃないか」というご指摘もあると思います。しかし、実力の足りない馬を、状態の良くない馬を2頭、3頭、追加で買っていくことを考えれば、私が実践しているように、馬柱や過去の成績、傾向、馬場、展開、時計、調教、直前の馬体重、パドックでの考察で購入馬を絞り込んでいけば、無闇に点数が増えるということはないはずです。

それなら、複勝やワイドだけの買い方にすれば良いだろ、となるのですが、残念ながら、配当が高くありません。当ててよし、ならそれでいいのですが、私たちは当てることはどうでもよくて、回収することが最大の目標です。1.2倍や2倍程度の単勝や複勝に過剰に投資していたのでは、外れた時のダメージがデカ過ぎます。競馬は当たらないですからね(笑)。

もう一度言います。頭数で保険を掛けてはいけません。買い方で保険を掛けてください。ほんの僅かの保険金でも、次のレースで多くの回収を上げる元金になる可能性があるのですから。

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