8/15 涸沢ヒュッテ〜北穂南稜〜北穂高岳〜涸沢岳〜穂高岳山荘
4時半に起床、今日もいい天気だ!
穂高が焼けている。見事に焼けている。
7年前にも出現した吊尾根のピカチュー雪渓が今年も出現
これぞ夏の涸沢。北アルプス屈指の情景だ。
穂高の核心部を行く今日のルートは、北アルプスでは中級から上級のルート。
鎖・はしごの連続するルートである。
無事に通過できるだろうか?
このルートを越えるために春から鍛えてきた。
全員に確認する。
「妙な夢は見なかったか?死んだお祖父ちゃんの夢は見なかったか?」
全員夢どころか爆睡していたそうである。

モルゲンロートに輝く穂高、今日歩く稜線を仰ぎ見て、 涸沢テント村を横切って、北穂南稜にとっかかる。涸沢小屋からはじまるこのルートもかなりの急登だ!
強烈な夏の日差しが容赦なく追い討ちをかける。
♪雲はわき、光あふれて〜
またも飛び出す夏の甲子園の歌
そう、「栄冠は君に輝く」なのです。
熱闘甲子園ではなく、ここは熱闘穂高連峰なのである。
昨日の勢いはどこへやら、「お先にどうぞ」の連発だ。
今年も急登でもがいている。
ゆっくりゆっくり、けれど涸沢は確実に小さくなり、穂高が近づいてくる。
涸沢カールを隔てて前穂がすごい迫力で迫ってくる。
ジグザグの急登もスラブの長い鎖場まで来るとほぼ中間点、
ここからは、脚力に加えて時々腕力も使うことになる。
ひとりづつ安全を確認しながら、通過したことを確認。
声をかけながら上がってゆく。
「よっし!OK!」
掛け声だけは東稜(ゴジラの背中)を登るクライマーにも負けてない。
最初は鎖場を怖がってた母ちゃんも、鈴鹿での特訓の甲斐あって、すいすいと登ってゆく。
この調子なら北穂〜涸沢岳の難所も何とかなるだろう。
長い鎖場を越えるとこんどは長ーいはしごを上ってゆく。
さらに続くジグザクの急登、
水分とエネルギーを補給しながら、ようやく北穂高岳に到着だ。
まさに熱闘であった。
穂高小屋のテラスで早めの昼食を取る。ほんとは、北穂小屋でピザを食べるつもりをしてたのだが、時間がかかりそうなので、ラーメンを作ってとフランスパンにメロンクリームをぬって食べる。
一息入れたら、いよいよ怖さは大キレット並みの岩稜歩きの後半戦だ!
北穂山頂から松濤のコルの分岐点に向かう、ここから南稜への下山ルート(上がってきた道)と分かれ奥穂高方面へむかう。
最初に立ちはだかるのはドームの岩稜だ。
3点支持を確実に実行し慎重に歩いてゆく。
今まで経験したことのない緊張感。その都度見守るオヤジ。
もちろん落下したらかすり傷ではすまない。
ドームをすぎても気の抜けない悪場が続く。
すれ違う場所、道を譲る場所にも気を使いながら、丁寧にゆっくりと歩いてゆく。
ここは穂高の核心部、3000mの岩稜だ。
「大丈夫、行ける行ける!」自分に言い聞かせるように母ちゃんが岩場を越えてゆく。
下を見ればスパッと落ちている。落ちたら命はないだろう。
「ゆっくりゆっくり!大丈夫大丈夫」今度はHIROが岩場を下って行く。
いろんな人に道を譲ってもらいながら、どうにかこうにか最低鞍部に到着。
ここから涸沢岳までさらに難所が続く。
「すごいすごい、ここが越えられたらなんでも出来る。頑張れ頑張れ!」
北アルプス穂高岳、家族みんなが力をあわせて難所を越えてゆく。
家族みんなが同じ体験をする。これがファミリー登山とスポーツ少年団に代表される他の青少年スポーツとの大きな違いである。
「親はスタンドで子どものプレーを観戦する。」のではなく、「同じように親も同じ体験をする。苦しさも感動も同じように味わう。」だから山はいい。ほんとにいい
長い鎖場を涸沢岳に向かって登ってゆく。
下ってくるパーティに道を開けてもらう。(がーん!外国人だ!
Sorry、Just a moment please.(すんまへん ちょっとまってもらえまへんか!)
4people come(4人きまんねん)
My son and my daghter, and my wife.
He is fourty years old.
「彼は40歳です」(ちゃうちゃう14歳やん)
He is Junia high School Second class
「彼は中学校の2組です」(ちゃうちゃう3年1組やん)
OK! Are You going to that mountain top?(あんたたちはあの山のてっぺんからきたのかい?
Yes、This route is very denger.
「そうそう、超危険なるーとです。このコースは、」
あとは何を言ってるのか分からん、とにかく、笑顔を振りまいて、身振り手振りで家族がやってくるのを待っている。(コミュニケーションの最大の武器、それは笑顔である)
Thank You!(おおきに!)
Youre welcome(どういたしまして)
Good luck!(お気をつけて!)
ファイトー! いっぱーつ!
なんだかよく分からない国際交流を終えて、最後の鎖場を越える。
オヤジ、Toshi、Hiro、母ちゃんの順に涸沢岳に到着。
ついに越えた!難所を越えた。時間は思い切りかかった。でも越えた。
涸沢岳山頂!
「やったぁー!」Hiroが泣いている。
Toshiが笑ってる!
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