2005.3.30 Swan Lake 2005.3.30

マシュー・ボーンの白鳥の湖を見てきました。と言っても、もう10日前のことです。
すぐにでも書きたいくらい感動したのですが、転勤になってバタバタして今日に至ってしまいました。
生のバレエを見たのは30年ぶりくらいじゃないでしょうか? 実は中学までは、バレエを習っていたので、キエフとかレニングラードとか一流のバレエ団の 公演を見る機会がありました。でもバレエを止めてからはすっかりご無沙汰でしたね。
小学校に上がると同時に習い始めたバレエでしたから、結構永いこと習っていたわけで、 バレエ自体は好きだったのです。でも、父の転勤で某M市に移り住んでからは、 バレエ教室に通うことが辛くなってしまいました。嫉妬渦巻く世界で、 たかが子どものバレエ教室なのに、辟易とする人間関係。
で、「私はバレエで食っていく気はないから。」と親に宣言して中学3年になる時に辞めました。 それ以降、母に「あんたは何をしても続かない人間だ。」と言われるようになりましたが、 8年も習い事を続けてそんな風に言われるのが理不尽だったことは、その後に知りました。
で、それ以来久々のバレエ公演がマシューボーンです。
一口に言えば「男の白鳥の湖」ですが、その表現も誤解のもとかなと思います。
大体、私がマシューボーンの白鳥の湖を見に行くと言ったら、ほとんどの人は モンテカルロなんチャラかチャラのチュチュを着た男が踊る白鳥の湖と勘違いして、 際物扱いでした。
マシューボーンの白鳥の湖はチュチュを着た男ではなく、ちゃんと男の白鳥が独特のメークで踊る、 新振り付けのチャイコフスキー白鳥の湖です。 今までの白鳥が小白鳥なら、彼らが踊るのは大白鳥、と言えばイメージ沸くかな?
私は「リトルダンサー」というイギリス映画でマシューボーンの白鳥の湖を知りました。 11歳の少年がバレエに夢中になり、「男がバレエなんてもってのほか!」と言う家族をその踊りで 説得してロイヤルバレエ団に入るという話ですが、最後に成長した少年を演じていたのは、 マシューボーンの白鳥の湖のオリジナルキャストであるアダム・クーパーで、彼の白鳥の衣装での 跳躍が映画のラストシーンでした。
白鳥の湖と言っても従来のものとはストーリーも違うのですが、 白鳥役のダンサーが王子にとっての善玉と悪玉の二役を演じるところや、 アンハッピーストーリーであるところは、従来の白鳥の湖を踏襲しています。
まず驚くのは、男の群舞。迫力があり、なおかつ幻想的。男性バレリーナが報われたってかんじ。 映画「リトルダンサー」でもそうだったけど、男がバレエやってるってだけで変に思われたりするし、 男の役は少ないし、女性ダンサーより分が悪かったのが今までのバレエでした。
その分、バレエを続ける情熱を持ち続けられる男の人は、生半可じゃないってことだったんですが。
それから、女王があんなに踊りまくるバレエは見たことがありません。 人生50年時代の女王はおばあさんだったんでしょうが、人生80年になった現代では、 女王もまだまだ若いってことでしょうか。
従来の白鳥の湖が御伽噺であって、この100年踊り継がれて、バレエ通以外には理解されなくなった今、 マシューボーンの白鳥の湖が世に出たことは必然といっていいでしょう。 マシューボーンの舞台では白鳥たちは陳腐な白鳥もどきの人間ではなく、 王子の妄想の産物であり、現代に生きる人間にとっても理解できる存在になっています。
舞台を見てから、DVDになっているアダム・クーパーの白鳥も見ましたが、今の公演の方が 舞台の完成度も数段上だし、ダンサーのレヴェルも全体的に上がっています。 10周年を迎えたということですが、マシューボーンの白鳥の湖はまだまだ進化していくでしょうし、 数十年後にはチャイコフスキーの白鳥の湖は マシューボーンの振り付けがスタンダードになっているのだと思います。
今回の公演は、まつもと市民芸術劇場(4月2日から3日)と東京追加公演が残っています。
お勧めDVD:リトルダンサー〔原題:BILLY ELLIOT〕,
Swan Lake〔ADVENTURES IN MOTION PICTURES〕