ポーズしちゃいましてよ!

ヨークシャ だってだって、私は牛舎の横に繋がれるような犬じゃないんですもの。
ひどいわ。ここん家のおばさんたら、私を「汚い犬」なんて言うのよ。
どうして、お家に入れて下さらないのかしら?
牛と一緒の扱いなんて我慢できないわ。
私、気がついたら迷子になってたの。何日歩いたかしら。お腹もペコペコだった。
そしたら、どうしたことでしょう。作りかけのお家の上からお餅が降ってきましたのよ。
ちょっとプライドが邪魔しましたけど、背に腹は変えられませんわ。お餅を拾いに参りましたの。
だけど、人間てあさましいのね。私を蹴散らしてお餅を拾うのよ。
育ちがいいって言うのは、こういう時に出てしまうのね。結局私はお餅を拾うことができませんでした。
それで、私は取り残されて、皆さんが帰った後、この家の人につかまってしまいましたの。
ここの人達って、皆さん優しくていらっしゃったから、「やった!これでお座敷生活に戻れる。」と 私ははしたなく喜んでしまいましたけど、なんなの?どうして私を家の外につないだりして。
まあ、牛しか飼ったことのないお宅ですもの。 私のようなヨークシャーなんてハイソな存在をどう扱って良いものか分らないのは理解いたしましょう。
だけど、許せないのは牛をみに来る獣医。獣医って私嫌いなのよ。
あの人たちって、ろくな事しないんですもの。
それでも、私の主治医って人は私のこと「かわいいワンちゃん」ってお上手を言ったものだけど、 この牛獣医ときたら「この犬」って愛想もこそもない。
だから、私吠えて差し上げるの。あの獣医が来たらいつも吠えてる。今日も吠えて吠えて、
あら、なに?写真?やっぱり私ってラブリー?
でしたら、ポーズしちやいましてよ!
本当は私を愛していらっしゃるのね。どんな方かしら。お手手のお味見をしてみましょう。
あら、何をなさるの。お止めになって!マッサージなんて。
でもいい気持ち。無骨な牛の獣医だと思ってたのに、なんてお上手。
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