2日目

SF作家クラブ40周年記念パネル

パネリストとして3代目会長小松左京氏、3代目事務局長高斎正氏、12代目会長・9代目事務局長山田正紀氏、13代目会長谷甲州氏。そして、17代目事務局長東野 司氏の進行で行われた。
まずは、このたび発行されたSF作家クラブ40年史の制作について。
40年史を制作するという話が出たものの、資金が不足している為にオンデマンドで制作すれば制作費が安くつくということが判明したものの、原稿がなかなか集まらずに結局今年になってしまったという話、そして、SF作家クラブ創設についての話が行われる。
スクリーンに当時の写真を映しながら小松氏による説明が行われるのだが、例によって話は飛びまくるのだが、この飛びまくる話がまた楽しい。
そして、明文化されていないもののSF作家クラブの規則についての話。
宇宙人は駄目
死んだ人は駄目
馬は駄目
星新一より背の高い人は駄目
筒井康隆よりもハンサムなのは駄目
小松左京・野田昌弘よりも重いのは駄目。

これについてもなかなか面白いエピソードがあったそうで、馬が駄目というのは石川喬司氏が会合の時にも携帯ラジオで競馬を聴いていただとか、田中光二氏は星新一氏よりも5センチほど身長が高かったので、足を詰めろと言われた等の冗談のような話が出てくる。
そして、小松氏が8ミリフィルムで撮影したという作家クラブでの旅行時の映像を上映しながら、東海村の原子力研究所に行った時の星新一氏による愉快な発言などのエピソードが出てくる。
また、古い写真と共にとの時の様々なエピソードが語られるのだが、70年代に行われた国際シンポジウムでは、冷戦中であったためにソ連の作家のビザがなかなか下りなかったのではあるが、ここで、万博などとの関係でルートのあった小松氏が外務省に電話を入れてビザを出させたというような話も語られる。
そして、70年代には山田氏の入会を始め様々な作家がデビューしてクラブに入会していくという事についての話では、谷甲州氏がこの時期はコンテストも多くあり、新人賞も多くあったのでデビューしやすい状況であったと振り返り、80年代に入るとファンダムの発展や手塚治虫作品の影響を受けた人たちのデビューするという回想や、入会した当時の紅顔の美青年と小松氏に言われた山田氏や10代で入会した新井素子氏や大原まり子氏の写真が紹介されたりも。
そして、SF大賞についての話となるのだが、現在と過去のトロフィーについての話や、最近になって作られた評論賞についての話。これは、大原まり子氏が会長の時に提案したのだけど、資金の問題から賞金は出せないものの、評論というものでは食べていくのが難しい、それでもやる気があるのならばということもあり早川の協力で創設されたのだけど、これは、作家側から評論家の新人に与えるものとして創設したのはとても興味深いものである。
しかし、時間となってしまったので、パネリスト諸氏よりの締めの言葉をいただいて企画は終了、40年史の頒布が行われた。
クソゲーライブ2007
クソゲーも歴史を紹介するという企画。
どちらかといえばマイナーな企画なので空いているかなと思ったら予想外の人手で立ち見まで出ているが、実行委員会側の段取りが悪いのか、機材も揃っておらず部屋の配線も出来ていない状態。そこから準備を始めているのでスタートが遅れている。
始まると、まず「ゴッドハンド」(カプコンPS2)のEDが流される。バイオハザードなどのスタッフが制作したアクションゲームなのだけど、あまりの難易度の高さでクソゲーとなり、製作会社はつぶれたため追悼をかねての企画OPとなる。
そして、コンピューターと共に生まれたゲームの歴史、そしてそこから出てくるクソゲーの紹介となる。
まずは、ドンキーコングには始まるパチモンゲーム、そして勝手にタイトルを使ったゲームに移植の際、権利の関係で変更になったタイトルや、内容の変わってしまった為にイロモノになってしまった作品について。また、RPGブームによりRPGではないのにRPGとして発売された奇妙なゲームなどが紹介されていく
そして、技術の進歩と共に迷走していくクソゲーの数々。特に90年代に入ってからの格闘ゲームブームに、CD-ROMによる大容量化でアニメ・豪華声優をふんだんに使ったゲームが合わさるとどうなったか。ここで、SSで続いた美少女格闘ゲームのシリーズとして「プリティファイター」が紹介される。
いや、なんというか見ていると脳の活動を停止させたくなるような、意味のないバックグラウンドストーリーにアレな挿入アニメーション。当時は流行だったとはいえ、今からするとなんともイロモノというか。
また、2Dがポリゴンを獲得していくに従い3Dへと進化してバーチャファイターのような作品が出る中、このシリーズもポリゴンになっていくがどのように劣化していくかといったオチでこのゲームは締めくくられる。
そして、タイアップとその失敗例として異様な難易度によりクソゲーとしての名声を博したファミコンゲーム「トランスフォーマーコンボイの謎」や何故か妙なつくりになっている「必殺仕事人」、ムービーとゲーム本編部分があまりにもシームレスな為にいつ始まったのかもわからなくなりクソゲーと化したキング原作の「サイバーウォー」などの紹介
他に、流行りのアニメ・声優・ポリゴンなどを使いながら売れなかったものの、その使い方も上手く、内容もパロディーに徹するなどしてクソゲーではなくネタゲーへと昇華したものとして、ゲッP-Xやエルツヴァーユといったものの紹介しかし、そろそろ時間が無くなってきている為駆け足になっていくが、ここでナムコが出したイロモノ中のイロモノあの超能力開発ソフト「マインドシーカー」をプロジェクトX風マッドビデオで紹介すると共にプレイ画面、そしてエンディングまでを上映。話によると当然ながらクリアした人は超能力を会得する事もなかったという。そして、大きな疑問の一つはデバッグをどうやったのかという事だったり。
残念ながら、ここで時間切れとなった為、最後に駆け足で日本のゲームがアメリカに輸出されるとどうなるかという紹介では暴れん坊天狗を紹介すると共に、ロックマンやボンバーマンのパッケージイラストがアメリカに行くとどうなるのかというような説明がされ終了となった。
なお、ここで紹介されたマインドシーカーについてはニコニコ動画で確認する事が可能である
星界の伝説

森岡浩之氏・赤井孝美による星界シリーズについてのトーク。内容は英語翻訳つきであることから海外の読者への説明といった感じである。
ここで最初に語られるのは、本格SFである「夢の樹が接げたなら」でデビューの次にスペオペ的なストーリーやライトノベル的なキャラクターの登場する星界の紋章が出たのかという問いに対して、テーマとしては星間国家のひとつの形というものを書いただけでありスペオペを書いていたつもりはないという事、また星間国家を描くのが目的である星界の紋章においては、世界観を第三者的な見方ができるという点において、適度に知識があって無知なジントというキャラクターが生まれたのであり、これが最適であると考えているという答えが返ってくる。
そして、年とともに絵柄が変わってきているという赤井氏への問いには、「間が長いので」という森岡氏には痛い一言が。
また、各キャラクターついてはアニメでしか描かれていないということから、アニメからのデザインを元に紹介がされていく。
アーヴと地上人をどのように描き分けていったか、また基本的にアーヴは青い髪で美男美女という縛りがある事、アニメでは人物の書き分けは髪型と色という記号によってなされるので、同じ色の髪でキャラクターを書き分けるというのは非常に難しいが、個性に欠けるジントが青い髪の中に一人ブラウンの髪としている事が逆に主役として判りやすくなったという考え方も。
その後、世界観についてアーヴ語についての話となるのだけど、はるか未来の話であり別の世界の話なのだから、既存の外来語を使いたくない。しかし、全て漢字で書くと重くなってしまうということからルビを振ったのが始まりであったとか。
そして、森岡氏によるアーヴ語の実演や質疑応答を経て企画を終了した。
日本刀をつくる
刀匠を招いて日本刀をどのように製作していくかというパネルであるが、刃物好きとしては見逃せない企画である。
しかし、日本人でも好きな人間は沢山いるのに、世界中から人が集まるところで日本刀の紹介をするという企画はどうなるか。そう、小さな部屋での企画ではあったのだが、企画開始前から既に部屋の前からロビーまで行列が出来、どう見ても全員が部屋に入りきれない状況になっていたのである。
 
私自身は早いうちから並んでいたのではあるが、現場で企画主催の方と顔見知りであった為、準備を手伝う事にして、席を後から来た人に譲り立ち見で見る事にした。
それにしても、ここも実行委員会側の準備が今一つというか、電源ケーブルが足りていなかったりする。なんとか、「こんなこともあろうかと」とケーブルを出してくださった方の協力で企画は始められるが、実に来た人はドアの外にまで溢れかえっている。
ここで、ゲスト兼通訳となった笹本先生を交え出雲の刀匠である小林貞永氏により、実物の日本刀や玉鋼、製作途中の段階の物と共に、プロジェクターで鋼の組成や工程などの専門的な事が説明されていく。
やはり、海外の方からすれば日本刀というのはRPGの魔法の剣のようなエキゾチックなアイテムなのか、みな真剣な目で食い入るように説明を聴き、疑問についてもどんどん質問が飛び出していき、途中でビデオによる紹介なども行われながら企画は進行していき、この日最後の企画は無事終了、片づけのお手伝いをして終了となった。

Nippon2007に戻る