■症例  ●Bleaching(図1〜4)
患者:45歳、女性    
元来、歯磨圧が強く、歯牙摩耗と歯肉退縮が著明なため、長年歯磨剤の使用を禁止させていた患者。しかし、ここまで着色、変色したのは、加齢に伴う有機着色物による変色、お茶の常用や口腔常在菌に由来する黒色色素も考えられるが、最も多いのがブラッシング時間が短いことが主な原因となることが多い。

(図1)ブリーチング前(1997年12月1日)、 45歳。歯根部セメント質露出症例では、ブリーチングジェル濃度を高めていくと、知覚過敏症状が出やすい(最近はずいぶん改良された)

(図8)ブリーチング後。歯間乳頭の退縮している症例では、必ずエンブレジャー部に着色が残る。歯間乳頭が萎縮し、根セメント質の露出した症例では漂白されないので、歯頸部・隣接面に着色が残る欠点がある。いまのところ改善策はない。今後の課題である

(図7)初診時

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Bleaching・ホワイトニングと知覚過敏



 当clinicは一早くUSAよりホームブリーチング(過酸化尿素CO(NH
2)2H2O2)を臨床に取り入れ、専門誌に論文を発表して、すでに十数年になる。一番の問題点は知覚過敏で、途中でブリーチングを中止したいと言い出されたこともあり、当初は手こずった。Diathermyで、局所の痛覚閾値を上げると、いとも簡単にその場で疼痛が取れ継続可能になる。

(図2)ブリーチング終了後(1998年1月7日)。知覚過敏部位に透射するだけで、何ら歯面に充填、塗布、コーティングなどの処置が不要で、透射後すぐに軽減するのが最大のメリットである

(図4)約10年後(2007年3月16日)、55歳。二ヶ月から三ヶ月の定期的なSPT(Supportive periodontal therapy)をしている。歯頚部歯肉退縮が 見られるが、知覚過敏や着色などの目立った変化は認めない。Venus White使用


症例  ●Bleaching((図 7,8)
患者:46歳、女性
摩耗症を防止する意味で、長年歯磨剤を使用させていなかった患者。しかし、ここまで着色、変色したのは、加齢に伴う有機着色物による着色、お茶の常用や口腔常在菌に由来する黒色色素も考えられるが、ブラッシング時間が短いことがおもな原因と思われる(図7)。
 当院を受診する患者には全列歯磨剤を禁止しているが、ブラッシング時間を十分にかければ必ずある程度磨け、着色は取れている。原因を説明したうえで、歯周処置、プロフィペーストによる歯面清掃の後にブリーチング処置に入った。
11%ゲル3週間、13%ゲル1週間、計4週間でブリーチングを終了して、すぐにアフターケア(メンテナンス)に入った
 Venus Whiteを就寝前に使用)

Carbamide peroxide(22%)    

図(5)術前(200年1月31日)、21歳。“真っ白”を希望。フリーターで生活は深夜型。まず、徹底的な食事指導を含めて生活改善と歯肉の管理から始めた

(図6)術後(5月28日)。Carbamide  peroxide(22%)を5週間使用。硬組織の変化よりも歯肉の改善が嬉しい

■症例  ●Bleaching(図5、6)
患者:21歳、男性    
色素沈着(Pigmentation)(図5)。野球選手新庄のように白くしたいと希望。最初から最高濃度のCarbamide peroxide(22%)を使用しても歯肉退縮の少ない若年者では知覚過敏はほとんど起こさない。開始後1週間目で軽い知覚過敏が生じたが、一度のDiathermyで軽減した(図6)。
(図3)Venus White(USAで大人気のWhitening歯磨剤−USA)。当Clinicではブリーチング後、普段のメインテナンスに使用。Bleachingをしない方でも、日常のBrushingに使用するケースが多く、歯牙の摩耗は生じず、漂白ができるので購入者が多い(当Clinic輸入品)。ブリーチングは永久的に継続できるものではなく、日常のMaintenanceが重要である