建物滅失登記(費用の基本ベース=35,000円)
「ここにある建物、壊しますので滅失登記してください。」
こんな依頼があった場合、以下の作業が発生します。
(1)壊す対象の建物がどの建物であるかの調査
滅失登記というのは建物の登記記録を抹消する手続です。
間違えて隣の建物の登記記録を抹消してしまったらシャレになりません。
ですので、対象となる建物が「どの土地上にあるどの建物であるか」ということを確認する必要があるのです。
住宅街のように区画がきっちり整備されているところは調査は比較的容易です。
さらに、法務局に図面付きで登記されている建物であれば、図面と現況を比較して間違いないことを確認することができます。
→ここまでの調査であれば基本ベース通りの費用になります。
ところが、昔に建てた建物は登記記録があっても図面がない場合があります。それどころか登記そのものがされていない可能性もあるのです。
「登記されていない建物」であれば滅失登記は必要ありません。ですが、「登記されているかどうか分からない建物」であれば、「滅失登記が必要ない」ということを確認しなければならないため、調査はしなければならないのです。
その他、一筆の土地上に複数の建物が建っている場合や、建物が建てられた後にその敷地の土地が分筆や合筆によって地番(土地の番号)が変わっている場合など、調査が複雑になる場合は追加の費用を見積もらせていただく場合があります(数千円から数万円程度)。
もちろん、滅失登記の必要がない場合は(2)以降の作業が無くなりますので、基本ベース以下の費用で終わる場合もあります。
(2)建物がなくなったことを証明する書面の準備
建物が無くなるのは取壊された場合が多いですが、場合によっては火災による焼失、水害による流失なども考えられます。
滅失登記を行うためには以下のように建物が無くなったことを証明する書面が必要になります。
建物を取壊した場合…取壊し工事を行った業者さんなどから証明書を出してもらう必要があります。
建物が火災で焼失した場合…消防署から証明書を出してもらいます。
これらの書面を取得したり、文案の作成をしたりするなどして準備することを業務として行います。
→ここまでであれば基本ベース通りの費用になります。
時々、昔に建物を取壊して駐車場にしていた土地に新たに建物を建てようとしたとき、前の建物の登記記録が残っていたというケースがあります。建物を取壊したときに滅失登記をサボったか失念していたのでしょう。この場合、建物を新たに登記しようとすると、ほとんど必ず前の建物の滅失登記をするよう法務局より指導が入ります。
昔に工事した建物の取壊し証明というのは出ないことがほとんどです。工事をした業者さんも記憶していないことがほとんどですし、そもそも業者さん自体が無くなっているということも…(汗)
この場合、取壊し工事をしたときの領収書などの書類を準備できればそれを証明書の代わりとして使用できる場合もありますが、そういったものも残っていないケースがほとんどでしょう。
それどころか、場合によっては昔の建物の所有者がすでにお亡くなりになっていて子供や孫の代になっており、資料が何も残っていないということもあります。
この場合は、ことの経過を法務局に説明し、昔の建物が間違いなく取壊されたことを申し立てる書面(上申書)を準備します。文案はこちらで作成し、記名押印(実印)をお願いすることになります。
この場合、文案作成のための費用が追加されます(数千円程度です)。
(3)登記手続
(1)と(2)の作業を経て、登記手続のための報告書(法務局提出用)を作成します。
滅失登記に必要な書面はこの報告書と(2)の書面だけですので、登記手続そのものの費用はケースによって大きく変わるということはありません。従って、費用が追加されるということはありません。
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