サイバー老人ホーム‐青葉台熟年物語
シルバーになっても、ついつい不摂生が続いたりすることが時々ございます。そんな翌朝、「食欲がどうも・・・、なにかアッサリしたものを・・・」というような気分になることがあります。
昨秋、宝塚へ苗木を求めに行ったときでした。
丁度、麺類を食べることしか思いつかないような体調で、中山寺の南あたりにさしかかったとき、大きな字で[うどん/太鼓亭]
と屋号をかいた看板が目にはいりました。
私は天婦羅うどんあたりを注文、家内は暫くメニューをチェックした上で「これを」と注文し、それぞれ運ばれてきたものをフーフーしながらやっておりました。
と、家内の盆上から、すこし酸味を感じさせるようないい匂いがフーフー吹く息に乗って漂ってきます。よく見ると、あんかけ風の玉子とじうどんで、その上に梅干しが乗っている。傍らには青菜を乗せたメシの器がありました。 はじめて見る「うどん定食」です。
そうだ、これを注文するべきだった。「次回はかならず、これを」と、固く決心し脳裡にインプットしました。
次の機会はほどなくやってきました。
今度も苗木と花苗のことで、阪急宝塚線の山本駅前の「あいあいタウン」へ行くことになって、昼飯は構内にあるイタメシ屋でと目論んで行きましたが、超満員。仕方がないので、駅の南方向へ足をのばしたところ、なんとそこに、あの[うどんT亭]の山本店が在るではありませんか。
[T亭]はフランチャイズチェーン店でした。
このシステムのいいところは、どの店に行っても、同じメニューがあって、同じスペックで調理されたものが味わえることです。
はやる気持ちを押さえて、おもむろにメニューを確認。例のモノを・・・、迷うことなく、[平日サービス昼定食メニュー]にある《とろみ 梅とじうどん定食》780円を注文しました。
やがて、中ぶりの盆に乗って、湯気を上げながら運ばれてきました。お盆の上には−・
掌にしっくりと馴染むような心持ち深めの「うどん鉢」。うどんは中細で、ダシは玉子とじでとろみのあんが張られており、中央部には青シソ(大葉)が1枚あり、その上に中粒の梅干し(塩辛くなくむしろ甘味すら感じる)が1ケ乗っている。
・ 薬味2種−刻みネギとおろし生姜が入った小皿。
(残さず全部入れる。おろし生姜があんかけにベストマッチです)
・ 梅酢のシロップ状のものが入った、小さな盃のような器。
(好みでうどんにとのことだが、飯にかけても合うようです)
・ ご飯の鉢には、多分、薄塩でサッと茹でた大根葉を刻んで盛った、所謂、"菜めし"が適量盛られている。更に、付け加えるに、大根葉の上にはシラス干しが十分にまぶされているのです。
このメニューを編み出した料理人は、きっとその時、尋常な体調ではなくて、彼の「体調」が欲するままに「賄い料理」的に造ったのが、この《組合せ》の原型ではなかったか。そして、これが仲間内でも意外に大好評で、遂に営業メニューになったのでは・・・。
この《うどん定食》を食しながら、こんな余計な詮索じみた想像をしてしまう・・・。
閑話休題。独断と偏見で総括させていただくと−
「あんかけうどん」の滋味と保温・発汗効果、「とじ玉子」の滋養と嚥下快適化・促進効果、「梅干し、梅酢」の健胃整腸〜食欲増進効果、それに「薬味」の風味高揚・殺菌作用、等などで、《癒し》効果は十分ありとみる。
尚、日曜祝日にはこのメニューが、少し値上がりする。その代わり、麺は「細うどん」を指定することが出来、これがまた合う。
次に、"菜めし"(なめし)について一言。
これこそ、近年の食文化爛熟の陰で、長らく忘れられていた国民健康食ではないでしょうか。
更に、この"菜めし"のご飯は白米であるが、もし麦入りの飯で供されるならば、それこそ《究極のシルバー健康食》といっても過言ではなく、『理事長推薦メニュー』として『ピンピンコロリ』と共に広くPRしてもよろしいのではと思うものです。
・・・ということで、この《うどん定食》を【癒しの昼食】のひとつとして納得し自薦している次第であります。("いやし"の『昼食』考【シルバー駆け出し篇】より02.05 豊辺正也)
(このご投稿は豊辺正也さんより、平成14年4月8日に頂いたものです。細かい場所などは編集長までご連絡ください。)
