パソコンの歴史1990年

1990年 1月  (米)モトローラ 68040(25Mhz)発表

 モトローラ社の新型32ビットマイクロプロセッサーです。正式にはMC68040といいます。68030に浮動小数点数演算ユニット(FPU)を追加し、さらにクロック数をアップするなどして、基本性能は約4倍アップしました。ファミリーにはFPUを除いた廉価版のMC68LC040や、組み込み機器用のMC68EC040などがあります。長く続いた68系統のCPUはこれが最後となり、68050は発売されませんでした。その後モトローラはIBMと提携してPowerPCを開発します。
 68040は非常に高性能でしたが、この頃にはインテルの486DXがすでに市場を席巻していてあまり普及することなくMacintishシリーズにや一部ワークステーションなどに採用されたくらいでした。
 
1月  (米)マイクロソフト Word for Windows Ver1.0発売

 当初Macintosh用のソフトだったWordがWindows版に登場です。 この頃アメリカでもまだMS-DOS上で作動するWordPerfectなどのライバルの方が 圧倒的に強くWordはまだマイナーな存在でした。日本語版は発売されませんでした。日本語版が発売されるのは1991年末になります。
 

1月  エプソン PC-286VX発売

 
PC-286VSの後継機種で、CPUが80286/20MHzにアップ(VSは16MHz)しています。価格はフロッピーモデルのSTが348,000円、20MBHDDモデルのH2が 473,000円、40MBHDDモデルのH4が533,000円です。
 
1990年 2月  エプソン PC-286NOTE・F発売(2月5日発表、出荷開始2月下旬)

CPU  V30/10MHz
RAM  640KB
VRAM  256KB
FDD  3.5インチ2HD*1ドライブ
HDD  -
グラフィック  640*400ドット*8階調
サウンド  BEEP音
備考  本体 198,000円
  前モデルのPC-286NOTEexecutiveは価格も高くフロッピーも装備していなかったためほとんど売れることなく終わりました。そこで欠点を改良して発売したのがPC-286NOTE・Fです。しかし前年末にNECが発売したPC-9801NOTEのイメージがあまりにも強く、あまり売れた記憶がありません。価格は安かったのですが、イマイチこれというウリがなかったのだと思います。
 
2月  エプソン PC-386M発売(2月5日発表、出荷開始2月中旬)

CPU  386SX/16MHz
RAM  640KB(最大14.6MB)
VRAM  256KB
FDD  3.5インチ2HD*2ドライブ
HDD  オプション(STD)/40MB(H40)
グラフィック  640*400ドット*4096色中16色
サウンド  FM音源3和音+SSG音源3和音
備考  本体 STD 328,000円
     H40 468,000円
 PC-286Uシリーズから続くコンパクト設計 モデルです。CPUを386SXにパワーアップして外観を大幅に変更しました。性能的に同等のNECのPC-9801ESに比べて価格が大幅に安かったのでそこそこ売れました。
 
1990年 2月  NEC PC-9801TmodelW2/W5発売

CPU  386SX/20MHz
 V30/8MHz
RAM  640KB(W2)/1.6MB(W5)
VRAM  256KB
FDD  3.5インチ2HD*2ドライブ
HDD  オプション(W2)/40MB(W5)
グラフィック  640*400ドット*8階調(液晶画面上)
サウンド  BEEP音
備考  本体 W2 548,000円
     W2 758,000円


 
 デスクトップとラップトップの中間のようなユニークなデザインのパソコンでした。最近の最新機種にはこのようなデザインが多いので 、今思えば未来を見越したデザインだったのかも知れません。キーボードは本体にはめることも外すことも出来ました。 しかし個人で買うにはあまりにも価格が高く法人需要がほとんどでした。
 
2月  NEC PC-9801シリーズ用MS-Windows/286 2.11日本語版発売

★エプソンのMS-Windows/286 2.11日本語版が今も新品同様で自宅にありますが、買ったときに1度もインストールした記憶がありません。当時何故買ったのか覚えていませんが、今となれば骨董的価値があるかも・・・
 
2月  NEC PC-9801シリーズ用MS-Windows/386 2.11日本語版発売
1990年 3月  シャープ X68000PROU発表(3月15日発表、出荷開始4月15日)
 シャープ X68000EXEPERTU発表(3月15日発表、出荷開始3月25日)
 シャープ X68000SUPER発表(3月15日発表、出荷開始6月1日)

CPU  68000/10MHz
RAM  1MB(PRO)/2MB(EXPERT/SUPER)
VRAM  512KB+512KB(テキストVRAM)両方ともビットマップ
FDD  5インチ2HD*2ドライブ
HDD  オプション(PRO/EXPERT)/40MB(PRO-HD/EXPERT-HD)/80MB(SUPER)
グラフィック  768*512ドット*65536色中16色(仮想1024*1024モード)
 512*512ドット*65536色
サウンド  FM音源8オクターブ8重和音+ADPCM
備考  本体 PRO2    285,000円 PRO2-HD      395,000円  
     EXPERT2 338,000円 EXPERT2-HD 448,000円
                                          SUPER-HD     498,000円
 
 マイナーチェンジモデルです。 新たにSUPERが加わりました。ただし基本性能は1987年3月に発売された初代X68000と全く同じです。3年経過してさすがに他メーカーと比べて性能的に劣勢になってきたのでクロック数をアップさせるだろうという予想もあったのですが、シャープはかたくなに路線を守りました。このあたりの方向性は初代X1やX1turboと同じです。しかしそのことによって少しずつ競争力を失っていったことも否めません。
 
1990年 4月  エプソン PC-386VR発売

CPU  386SX/16MHz
RAM  640KB(最大14.6MB)
VRAM  256KB
FDD  5インチ2HD*2ドライブ
HDD  オプション(STD)/40MB(H40)
グラフィック  640*400ドット*4096色中16色
サウンド
備考  本体 STD 348,000円
     H40 488,000円
  前年に発売されたPC-386VのCPUを386SXにして15万円のコストダウンを図ったタイプです。この年はやたら386SXを搭載したパソコンが発売されました。この頃は32ビットCPUであることがパソコンのセールスポイントであったので386DXでも386SXでも一部のユーザー以外はあまり気にしていなかったように思います。
 直接関係ありませんが、この頃のメモリー環境は、OSがMS-DOSが主流であったので1MBまでしか直接管理できませんでした。そこでEMS規格が登場します。EMSボードとEMSドライバソフトがセットで販売されていました。仕組みはメインメモリ内に16KB単位のメモリ領域を確保して、このメモリを切り替えることによって大容量のメモリアクセスが可能にしました。メルコやI/Oデータ機器が競って発売していました。規格はロータス、インテル、マイクロソフトの3社が共同提案したものなので頭文字をとってLIM・EMS規格とも言われています。Windowsが主力になると直接大容量のメモリ管理が可能になりMS-Windows3.0発売後少しずつ衰退していきます。
 
4月  ラオックス 東京秋葉原に「THE COMPUTER館」オープン

 パソコンショップとしては日本最大の売上を誇っていました。 日本中のパソコン専門店から見学の絶えないそパソコンショップのモデル店でした。 1990年代は隆盛を極めましたが、最近はターミナルでのヨドバシカメラやビックカメラ、郊外でのヤマダ電機等に押され、秋葉原全体の地位が落ちてきたためかつて程の勢いはありません。
 店のロゴはアメリカのコンピュータ雑誌「THE COMPUTER」がモデル です。覚えてる方は少ないと思いますが、日本でもソフトバンクが月刊誌として発売していました。パソコンを機種ごとに追うのではなくコンピュータ業界の流れが中心であった珍しい雑誌でした。私は大好きでしたが日本語版は1992年に休刊してしまいました。
 

1990年 5月  エプソン PC-286BOOK発表(5月10日発表、出荷開始6月上旬)

CPU  80C286/12MHz
RAM  640KB
VRAM  256KB
FDD  3.5インチ2HD*2ドライブ
HDD  オプション(STD)/20MB(H20)
グラフィック  640*400ドット*8階調(液晶画面上)
サウンド  BEEP音
備考  本体 STD 258,000円
     H20 378,000円
 
  ノートパソコンより少し大きいのでBOOKという名称でした。ノートパソコンは基本的にフロッピーディスクが1ドライブだったため、使用する場合いろいろ制約があったのですが、PC-286BOOKは2 フロッピーだったため、デスクトップパソコンと全く同じ使い方が出来ました。CPUは80286の省電力タイプの80C286を使用していました。
 
1990年 5月  NEC PC-9801NS「NOTE SX」発表(5月14日発表、出荷開始6月上旬、NS-20は9月)

CPU  386SX/12MHz
RAM  1.6MB(最大9.6MB)
VRAM  256KB
FDD  3.5インチ2HD*1ドライブ
HDD  不可(NS)/20MB(NS-20)
グラフィック  640*400ドット*8階調(液晶画面上)
サウンド  BEEP音
備考  本体 NS       298,000円
     NS-20 448,000円
    
  前年末に発売されたPC-9801NOTEは画期的だったのですが、CPUがV30であったので速度的に不満がありました。そこでCPUに386SXを搭載して登場したのが「NOTE SX」です。98NOTEと5万円しか違わなかったためよく売れました。ただノーマルのNSを買うとハードディスクを後から内蔵する事は出来ませんでした。
 
1990年 5月  NEC PC-9801TmodelS5/F5発表(5月14日発表)

CPU  386SX/20MHz
 V30/8MHz
RAM  1.6MB(最大14.6MB)
VRAM  256KB
FDD  3.5インチ2HD*2ドライブ
HDD  40MB
グラフィック  640*400ドット*8色(液晶画面上)
サウンド  BEEP音
   本体 S5  850,000円
     F5 1,150,000円
 PC-9801Tをカラー液晶にしたタイプです。S5はSTN液晶でF5はTFT液晶でした。当時のTFTカラー液晶は非常に高度な超ハイテク技術が 必要であったので、驚くべき高価でした。自動車が買えるくらいの高価格だったのでほとんど売れませんでしたが、TFTカラー液晶ををパソコンに搭載した事に意義があったのだと思います。今ではTFTカラー液晶は韓国や台湾に圧倒されていますが、当時はシャープを筆頭に日本勢が市場を独占していました。
 
1990年 5月  エプソン PC-386LSC発表(5月15日発表)

CPU  386SX/16MHz
RAM  640KB
VRAM  256KB
FDD  3.5インチ2HD*2ドライブ
HDD  オプション(STD)/20MB(H20)/40MB(H40)
グラフィック  640*400ドット*16色
サウンド  BEEP音
備考  本体 980,000円
 エプソン独自のMIM液晶でした。TFT液晶に比べるとあまり綺麗でありませんでしたがコストが安くSTN 液晶より綺麗でした。同じ筐体でSTN液晶のPC-386LSRも発売されていました。両機種ともどこの量販店もあまり展示していませんでした。
 
5月  エプソン PC-286VG発売

 PC-286VFの新型になり、CPUは80286/16MHzでアップしています。価格はフロッピーモデルのSTDが268,000円、40MBHDDモデルのH40が408,000円です。
 

5月  (米)マイクロソフト MS-Windows3.0発売

 
マイナーであったMS-Windowsを一気にメジャーに変えました。発売後アメリカで大反響を呼び急速に普及していきました。当時創刊されたばかりの スーパー・アスキー に大特集記事があったのですが、未来のソフトという感じがしてすごく興奮して読んでいたのを思い出します。日本語版が発売されるのは1991年の2月になります。
 
7月  NEC PC-9801シリーズ用MS-DOS Ver3.3C日本語版発売
1990年 8月  NEC PC-H98model60/100シリーズ発売

CPU

 486DX/25MHz(model100)
 386DX/25MHz(model60)
RAM  1.5MB(60-002,U60-002)
 5.5MB(60-040,U60-040,60-100,U60-100)
 7.5MB(100,U100)
VRAM  512KB
FDD  3.5インチ2HD*2ドライブ(U60-002,U60-040,U60-100,U100)
 5インチ2HD*2ドライブ(60-002,60-040,60-100,100)
HDD  オプション(60-002,U60-002)/40MB(60-040,U60-040)
 100MB(60-100,U60-100,100,U100)
グラフィック  1120*750ドット*4096色中16色
サウンド  BEEP音
備考  本体 60-002/U60-002  835,000円
          60-040/U60-040  995,000円
          60-100/U60-100 1,500,000円
          100/U100      2,150,000円
 
 PC-H98シリーズで初めて486DXを搭載したパソコンです。この頃から3.5インチフロッピーディスクが急激にシェアを伸ばしPC-H98シリーズも5インチタイプと3.5インチタイプの型名を同じにしました。PC-9801シリーズの方は11月に発売さ れるPC-9801DXより同型番になります。  それにしても100シリーズは価格が200万円を超えていました。いくらバブル期とはいえ何台くらい売れたのでしょうか?まあこの頃はバブル崩壊の直前でまだまだ土地売買で札束が乱れ飛んでいましたから200万円なんてはした金だったのかも知れません。
 
9月  NEC PC-98RLmodel21/51発売

 
PC-98RLmodel2/5のマイナーチェンジモデルです。基本性能に変更はなく、価格はフロッピーモデルのmodel21が700,000円、40MBHDDモデルのmodel51が860,000円です。
 
1990年 9月  エプソン PC CLBU「PC-286C」発売

CPU  80286/10MHz
RAM  640KB
VRAM  256KB
FDD  3.5インチ2HD*2ドライブ
HDD  -
グラフィック  640*400ドット*4096色中16色
サウンド  FM音源3和音+SSG音源3和音
備考  本体 168,000円
 
  エプソンが80286搭載で168,000円の激安PC-9801互換パソコンを発売!との噂を聞いて「そこまでやるか!すごいなあ!」と思っていたのですが、発売前にメーカーからカタログが届いて納得しました。まさか一体型だとは・・・過度の期待を抱いていた私がバカでした。まあこの価格ではしかたがないでしょう。いくら安いとはい外観があまりにも安っぽいのであまり売れませんでした。
 
1990年 9月  エプソン PC-286LP発売

CPU  80286/10MHz
RAM  640KB
VRAM  256KB
FDD  3.5インチ2HD*2ドライブ
HDD  -
グラフィック  640*400ドット*8階調(液晶画面上)
サウンド  BEEP音
備考  本体 298,000円
 
 なんとプリンタ内臓 のワープロ専用機のようなPC-9801互換パソコンです。24ドット熱転写漢字プリンターを搭載していました。なかなかいいアイデアだと思ったのですが、これも不発に終わり、後継機は発売されませんでした。
 この時代はワープロに使う場合はまだまだワープロ専用機が圧倒的に優勢で印字結果にも大きな差がありました。1990年6月にシャープがWD-A340を発売しましたが、この機械は初めてスーパーアウトラインフォントを搭載し、文字を拡大してもほとんどギザギザが目立ちませんでした。一方パソコンでのワープロソフトは文字拡大も4倍角が主流で拡大したら文字もギザギザになりました。
 
1990年 10月  日本IBM DOS/V規格の「DOSJ4.0/V」発表(10月11日)

 いわゆる日本のパソコンの歴史を変えたDOS/Vパソコンの規格です。 日本IBMがPC/AT互換機にOSのPC-DOS(MS-DOS)のみで日本語表示が出来るようにしたのです。CPUの性能がアップしたのとハードディスクが一般化したことによりソフト対応のみで PC/AT互換機に日本語表示が可能になりました。それまでは日本IBMのPS/55もハード的に日本語を表示していました。百花繚乱だった日本のパソコンも徐々にPC/AT互換機に統一されていきます。今から思えば画期的な出来事でしたが、当時はそれほど注目を浴びていませんでした。
 一気に業界がDOS/Vに流れていったように思われがちですが、この頃の日本市場はNEC 「PC-9801」シリーズとエプソンの「PC-9801」互換機が市場の9割以上を独占し、残りをIBM PC/AT互換機に独自の日本語機能を付加した東芝のダイナブック シリーズとイマイチ本気とは思えなかったAX規格が細々とシェア争いをしていた状況でした。PC/AT互換機メーカーは日本IBMの本気度を遠くから見ている状況でした。
 

10月  アップル 20万円を切るMacintosh Classic、LC発表(10月15日発表)


右がMacintosh Classicで左がMacintoshUsi

 それまでMacintoshは憧れていても高くて買えませんでしたが、このモデルの発売を境にエントリーモデルが大幅に下がり買えるようになりました。
 ClassicはCPUが68000/8MHzでハードディスクなしで198,000円、ハードディスク内臓で298,000円 でした(Macintoshは当時もハードディスクがないとほとんど使用できない)。
 LC(確かローコスト・カラーの頭文字でLCだった)は一体型カラーモデルです。CPUは68020/16MHzで、価格はハードディスクなしのモデルで318,000円でした。

 ちなみに同時発表のMacintoshUsiはCPUが68030/20MHzの高性能でしたが、日本語モデルは708,000円もしたのでまだまだ手が出ませんでした。
 
10月  上新電機「J&Pテクノランド」を世界最大級の売り場に増床してオープン(10月27日)

 大阪日本橋に世界最大のパソコン売り場面積ということで改装オープンしました。テクノランドは1981年10月にオープンしましたが、それ以来関西でのパソコンショップのモデル店になっていました。
 

10月  (米)IBM 1024×768ドットの「XGA」が規格発表(10月30日)

 1024×768ドットの規格です。 IBMは5550シリーズなど昔からこの解像度を採用していました。1024×768ドットは中途半端な数字ですが横4対縦3で非常に意味のある数字なのです。IBM PCのグラフィック規格はCGA⇒EGA⇒VGA と発展してきましたので当然上位互換があります。しかし他の互換機メーカーは特許料を払うのがいやでXGA規格を採用しませんでした。スーパーVGA (640×480ドットより高解像度)という独自の規格を発表して解像度を競うようになりました。この頃からグラフィックアクセラレータのチップメーカーやボードメーカーが 少しずつ出てきます。
 PC-H98シリーズや後に発売されるエプソンのハイレゾモデルは1120×750ドットの独自の解像度で発売していましたが、やがて1024×768ドットに統一されていきます。現在もノートパソコンはほとんどこの解像度ですが、IBMがこの時もし違う解像度で発表していたら違う解像度で普及していたことでしょう。
 

1990年 10月  NEC PC-98HA「HANDY98」発表

CPU   V50/10MHz
RAM  640KB
VRAM  32KB
FDD  -
グラフィック  640*400ドット*2階調
サウンド  BEEP音
備考  本体 198,000円
 
  重さ1.1kgでA5ファイルサイズの非常にコンパクトなボディでした。PC-98シリーズの名前の通り「PC-9801」シリーズのソフトは使用できませんでした。非常にコンパクトなためフロッピーも装備していませんでした。1.25MBRAMドライブを標準装備し、付属ソフトとして統合ソフトのMS-Worksがメモリーカードで添付されていました。

★余談ですがこの頃MS-Worksは手軽な統合ソフトとして非常によく売れていました。4機能(ワープロ、表計算、データベース、通信)の個々の性能はあまりたいしたことなかったのですが、高度なことをしなければ問題はありませんでした。今と違って定価ベースで一太郎は58,000円、ロータス1-2-3は98,000円と価格が非常に高かったので気軽にソフトを買うことは出来ませんでした。MS-Worksも定価が40,000円していたので決して安くはなかったのですが・・・・
 
10月  NEC PC-9801DO+発売

CPU  V33A/16MHz 98モード
 Z-80H/8MHz(同等品) 88モード
RAM  640KB
VRAM   256KB
FDD  5インチ2HD*2ドライブ
HDD  オプション
グラフィック  640*400ドット*4096色中16色
サウンド  FM音源6重和音+リズム音源6重和音+ADPCM(88モード)
備考  本体 278,000円
 
 PC-9801DOの新型です。CPUがV33 Aに強化されて速度がPC-9801DOより約2.3倍速くなりました。またPC-8801モード時はFM音源6重和音、リズム音源6重和音、ADPCMなどサウンド面が大幅に強化されました。しかしこの頃にはすでにPC-8801シリーズの使命は終わっていて思ったほど売れませんでした。PC-8801シリーズ関係のモデルはこれが最終になります。
 
1990年 10月  エプソン PC-386G発売
 エプソン PC-386S発売

CPU  386DX/33MHz(PC-386G)
 386DX/25MHz(PC-386S)
RAM  1.6MB(最大14.6MB)
VRAM  256KB(PC-386S)/512KB(PC-386G)
FDD  5インチ2HD*1ドライブ(F1)/2ドライブ(STD,H100)
HDD  オプション(F1/STD)/40MB(H40)/100MB(H100)
グラフィック  1120*750ドット*4096色中16色(PC-386G)
 640*400ドット*4096色中16色(PC-386G/PC-386S)
サウンド  -
備考  本体  SF1   473,000円  GF1      725,000円
      SSTD  498,000円  GSTD  750,000円
      SH40  638,000円  GH100 950,000円
 
 エプソン初のハイレゾモデル です。Gタイプが1120×750ドットのハイレゾモデルでした。Sタイプは640×400ドットのノーマルモデルです。しかしハイレゾモデルはまだまだ大変高価 でとても手が出ませんでした。本体も高価ですが専用のカラーCRTは今から考えると目が飛び出るような価格でした。15インチCRTでも楽々定価ベースで15万円を超えていました。17インチCRTともなるともう1台パソコンが買えるくらい高価でした。
 
10月  エプソン PC-386NOTE・A発売

CPU  386SX/16MHz
RAM  640KB
VRAM  256KB
FDD  3.5インチ2HD*1ドライブ
HDD  オプション(STD)/20MB(H20)
グラフィック  640*400ドット*8階調(液晶画面上)
サウンド  BEEP音
備考  本体 268,000円(ハードディスクパック130,000円)
 エプソン初の32ビットノートパソコンです。 PC-286NOTE・FからCPUが386SXに強化され大幅に高速化しました。フロッピーディスク以外にICカードドライブを標準装備していました。またオプションで20MBのハードディスクパックを内臓することが出来ました。液晶は視認性の優れている白黒液晶を採用していました。 PC-9801互換機では初めてレジューム機能を搭載しました。
 
1990年 10月  キヤノン バブルジェットプリンタ「BJ-10V」発表
   
10月  (米)インテル 386SL(20Mhz)発表
10月  富士通 FM-TOWNS10F/20F/40F/80F発表(10月30日発表)

CPU  386DX/16MHz
RAM  2MB(最大8MB)
VRAM  512KB+128KB(スプライト)
FDD  3.5インチ2HD*1ドライブ(10F)/2ドライブ(20F,40F,80F)
HDD  オプション(10F,20F)/40MB(40H)/80MB(80H)
グラフィック  640*480ドット*1677万色中256色/320*200ドット*32768色
サウンド  FM音源6和音+PCM8チャンネル
備考  本体 10F 298,000円(全モデルキーボードオプション)
     20F 323,000円
     40H 473,000円
     80H 623,000円
 
 前モデルのマイナーチェンジ版です。基本性能には変化がなくハードディスクの容量をアップしたり、価格を約20%下げたタイプです。 この頃になるとTOWNS専用のCD-ROMのソフトもかなり増えてきました。しかしまだ他メーカーの32ビットマシンはCD-ROMの採用には踏み切っていませんでした。
 
1990年 11月  任天堂 スーパーファミコン発売(11月21日発売)

 1983年7月に発売されたファミリーコンピューターも流石に発売後7年も経過したので高度なゲームプレイするのにはパワー不足が歴然としてきました。またセガのメガドライブがアメリカで大人気が出たのも性能の差が原因でした。そこで開発されたのがスーパーファミコンです。
 発売日はお祭り騒ぎでした。台数があればいくらでも売れたのですが、初期ロット数に制限があり販売店同士は仕入れ時に在庫の取り合いになっていました。 発売日はパソコンの販売そっちのけで並んでいるお客さんに対応した記憶があります。定価は25000円でした。
 その後、任天堂とソニーは提携してスーパーファミコンの改良型を共同開発することで合意しました。しかし開発方針の対立で提携は解消されました。ソニーは独自に開発を開始し1994年11月にあのプレイステーションを発売します。もしこの提携がうまくいっていればプレイステーションは登場しませんでした。
 累計で4,900万台生産されましたが、2003年9月をもって細々と行われていた生産も完了し、同時に部品交換や修理などのメンテナンスも終了しました。
 
1990年 11月  NEC PC-9801NV発売(11月21日発表・即出荷)

CPU  V30HL/16MHz
RAM  640KB+1.25MBRAMドライブ
VRAM  256KB
FDD  3.5インチ2HD*1ドライブ
HDD  -
グラフィック  640*400*8階調(液晶画面上)
サウンド  BEEP音
備考  本体 248,000円
  PC-9801Nの新型です。CPUが高速化されて約1.6倍速くなりました。一番の強化点はレジューム機能を搭載したことです。東芝のダイナブックには搭載されていましたが、PC-9801シリーズでは技術的に難しいと言われていました。前月発売されたにエプソンのPC-386NOTE・Aにすでにレジューム機能が搭載されていたので当然と言えば当然ですが・・・・
 
11月  NEC PC-9801DX発売(11月21日発表・即出荷)

CPU  80286/12MHz
RAM  640KB(最大14.6MB)
VRAM  256KB
FDD  3.5インチ2HD*2(DXU2,DXU5)/5インチ2HD*2ドライブ(DX2,DX5)
HDD  オプション(DX2,DXU2)/40MB(DX5,DXU2)
グラフィック  640*400ドット*4096色中16色
サウンド  FM音源3重和音+SSG音源3重和音
備考  本体 DX2/DXU2 318,000円
     DX5/DXU5 468,000円
  PC-9801RX21/51の新型です。基本性能には変化がありませんでしたが、3.5インチフロッピーディスクの台頭を感じさせました。今までPC-9801シリーズは5インチモデルと3.5インチモデルは全く違う型名 でした。しかしこのモデルから5インチモデルをDA2、3.5インチモデルをDA/U2のように型名とデザインを統一 しました。明らかに3.5インチフロッピーの方がコンパクトで使い勝手がいいのでPC-9801シリーズも急速に3.5インチモデルにシフトしていきました。
 
1990年 11月  日本IBM VGAサポートのDOS/Vパソコン1号機「PS/55Z」シリーズ発売(11月21日発表)

 「PS/55Z」シリーズは1989年11月に日本IBMがPS/55をパーソナル市場向けに発売したタイプです。新モデルはCPUが386SX/16MHz、2MBのRAM、1024×768ドットのグラフィック、オプションで3.5インチ127MBの光ディスクが装備できる高性能機でした。
 しかし一番のポイントはVGAをサポートして、10月に発表された「DOSJ4.0/V」が利用できるようになったことです。これによりハードの追加なしでVGA上で日本語の表示が可能になりました。もともとPS/55Zはハード的に日本語表示が出来るのでPS/55Z自体にはそれほどメリットはなかったのですが、他メーカーのPC/AT互換機でも日本語表示が可能になったのは非常に大きな出来事でした。
 
11月  東芝 32ビット「DynaBook386」発表(11月28日発表)

CPU  386SX/16MHz
RAM  2MB(最大10MB)
VRAM  32MB
FDD  3.5インチ2HD*1ドライブ(001,021)/2ドライブ(002)
HDD  オプション(001,002)/20MB(021)
グラフィック  640*400ドット*モノクロ(日本語モード)
サウンド  -
備考  本体 SX001 258,000円
     SX002 298,000円
     SX021 368,000円
 
  ダイナブック初の32ビットモデルです。翌年に発売が予定されているMS-Windows3.0日本語版では640×400ドットの解像度では不利といわれていたので、VGAと同じ640×480ドットにアップするのかと思っていましたがそのままでした。3モデルが登場し、オプションでで20MBハードディスクパックも130,000円で発売されました。
 覚えているでしょうか?この頃の東芝のキャッチフレーズは「E&Eの東芝」、ダイナブックはF1レーサーの鈴木亜久利選手がCMをやっていました。この年の日本グランプリで鈴木亜久利選手は3位に入賞しました。この頃はアイルトン・セナやアラン・プロストなどの超一流選手がいて日本でもF1が大ブレークしていました。
 
12月  日本IBM OADG設立を発表(12月20日)

 日本IBMがDOS/V規格を普及させるためにOADG(オープン・アークテクチャー・デベロッ パーズ・グループ )を設立しました。メンバーには日本IBMのディスプレー表示規格のVGAやDOSJ4.0/Vなどの仕様が公開されました。翌年にはAX規格を採用していた日本のパソコンメーカーやダイナブックの東芝などIBM互換機メーカーが次々にDOS/V規格を採用していきます。
 

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