パソコンの歴史1986年
1986年 1月  (米)マイクロソフト MS-DOS Ver3.2発売

 720KBの3.5インチFDDをサポート しました。当時アメリカではまだ圧倒的に5インチが主流でした。
 

2月  富士通と日商岩井 エヌアイエフ(ニフティ)設立

 社名は総合商社である日商岩井のNIと富士通のFからきています。
 

2月  マイクロソフト 日本法人設立

 それまでマイクロソフトの商品はアスキーが販売していましが、パッケージを一新してマイクロソフトから直接発売になりました。
 

3月  (米)マイクロソフト  ナスダック市場に株式上場

 ビル・ゲイツ とポール・アレンは 莫大な創業者利益を手に入れます。共同創業者ポール・アレンは1983年病に倒れ、1985年マイクロソフトを去りますが、依然大株主だったため莫大な利益を手にします。その後マイクロソフトは時価総額でGEを抜き世界トップに立ったことがあります。2000年の ITバブルの頃は時価総額が5,000億ドル(1$=120円で60兆円)を大幅に超えていました。
 

4月  NEC PC-VAN運用開始(10月1日より有料化)

 店頭デモをするためにモデムと音響カプラと外線に接続できる電話をセットで展示していましたが、お客さんが電話を私用目的に私用するため撤去した苦い思い出があります。 当時はまだ電話=音声会話だったので無理もありませんが・・・
 そのころのモデムは300bps全二重か1200bps半二重でした。今から考えるとものすごく遅いですが、それしかないのでパソコン通信とはそんな物だと思っていました。
 

1986年 5月  NEC PC-9801UV2発売

CPU  V30/(10/8MHz)
RAM  384KB(最大640KB)
VRAM  256KB
FDD  3.5インチ2HD*2ドライブ
HDD  オプション
グラフィック  640*400ドット*4096色中16色
サウンド  FM音源3和音+SSG音源3和音
備考  本体 318,000円
 3.5インチマシンの決定打です。 U2の弱点だったVRAMの容量の問題も解決し、PC-9801シリーズでは初めてサウンドボードを標準装備しました。当時3.5インチ2HDフロッピーは1枚定価で1,500円も しました。5インチフロッピーはかなり安くなっていたので、3.5インチフロッピーはその部分がネックでした。
 
1986年 5月  NEC PC-98XA model11/21/31発売

 前年に発売されたPC-98XA model1/2/3と基本性能には変化がなくコストダウン版です。価格はmodel11が495,000円、model21が575,000円、model31が865,000円でした。
 

5月  ジャストシステム ワープロソフト「一太郎Ver.2」発売

 前年の一太郎の成功に触発されてPC-9801シリーズ用のMS-DOS上で作動するワープロソフトが 、1985年から1986年にかけて一斉に発売されました。日本マイコン販売のテラの改良版テラQueen、三菱のマルチ16で定評のあった統合型ソフトをアスキーが移植したA1/優、ハドソンのHu-WORD、GUI感覚が優れていたダイナウェアのダイナディスクなどその他にもいろいろあり百花繚乱状態で した。一番コストパフォーマンスに優れ、マーケティングも上手だった一太郎がシェアを急速に上げていくことになります。
 
5月  エニックス ファミリーコンピューター用「ドラゴンクエスト」発売(5月27日発売)

 第1作は約150万本、Uは240万本、Vは380本、W310万本、Xは280万本という驚異的な売上を誇りました。学校を休んで買いに行く生徒が続出、新宿や池袋の大手家電量販店に数キロの列が出来たこともありました。
 

1986年 6月  シャープ X1G発売

CPU  Z-80A/4MHz
RAM  64KB
VRAM  48KB
FDD  オプション(model10)/5インチ2D*2ドライブ(model20)
グラフィック  640*200*8色
サウンド  8オクターブ3重和音
備考  本体 model10   69,800円
     model20  118,000円
 特に印象にありません。ノーマルX1シリーズはすでに商品価値をほとんど失っていました。価格は安かったと思いますが 、あまり売れませんでした。
 
1986年 8月  (米)インテル 386DX販売開始
9月  (米)コンパック 世界初の386マシン Deskpro386発売(386/16MHz)

 それまではIBMと同等の性能でより安い機種や隙間商品を発売することで急速にシェアを上げていたのですが、この頃からコンパックはIBMより先に新型 の高速CPUや最先端の機能を搭載するようになります。
 

9月  ロータス Lotus1-2-3日本語版出荷開始

 それまで日本の表計算ソフトはマイクロソフト・マルチプランが1位でした。ロータスは計算時に@マークを使うなど当初はなじめませんでしたが、その後急速にシェアを伸ばし、マイクロソフトのExcelがWindows3.0以降急速にシェアを伸ばすまで王者の状態でした。 標準のFEPは管理工学研究所の松茸でしが、ATOKに換えて使っている方が結構いました。
 

1986年 10月  シャープ X1TurboV発売

CPU  Z-80A/4MHz
RAM  64KB
VRAM  96KB
FDD  5インチ2HD*2ドライブ
グラフィック  640*400ドット*8色
サウンド  8オクターブ3重和音
備考  本体 168,000円
 10月1日時点ですでに店頭に展示していたので、発売は9月末だったかも知れません。フロッピーを2HDにして発売したマイナーチェンジマシンモデルでしたが、あまり売れませんでした。
 
1986年 10月  シャープ X68000発表(出荷開始87年3月28日)

CPU  68000/10MHz
RAM  1MB(最大12MB)
VRAM  512KB+512KB(テキストVRAM)両方ともビットマップ
FDD  5インチ2HD*2ドライブ
HDD  オプション
グラフィック  768*512ドット*65536色中16色(仮想1024*1024モード)
 512*512ドット*65536色
サウンド  FM音源8オクターブ8重和音+ADPCM
備考  本体 369,000円(CZ-600C)
 CRT  129,800円(CZ-600D)


チェスが左右に動き玉は上下に跳ねます

 衝撃のデビュー歴
 
10月 2日(木) エレクトロニクスショー(東京・晴海)に登場
 10月 8日(水) 日本経済新聞が朝刊で報道 
 10月17日(金) Oh!MZ11月号発売 緊急レポート!
 10月19日(日) パソコンサンデーで緊急特集
 11月 9日(日) パソコンサンデーのスタジオにX68000登場!
 11月16日(日) パソコンサンデーで大特集
 11月17日(金) Oh!MZ12月号発売 大特集
 
 まさに”夢を超えた。”の表現がピッタリのデビューでした。エレクトロニクスショーには行けませんでしたが、すぐに大手量販店では「参考出品」と書いてあるカタログのコピーに出回りました。
 映像で見たのは、小倉智明氏が司会をするパソコンサンデーでした。グラディウスのデモ、写真と変わらない荻野目洋子の映像、何よりも金属の玉がチェス台の上を跳ねる ハドソンのデモには驚きました。これは今までのパソコンと次元が違う! !
 価格と発売日はなかなか決まりませんでしたが、その後2月1日発売に決定!しかし遅れて結局3月末に出荷開始されました。価格は本体+CRTで50万円以下、割引考えれば40万円前後で買えます。これは買うしかない!36回ローンで 買ってしまいました・・・
 ゲームソフトは魅力的な作品が多かったです。1987年にゼビウス、スペースハリアーが発売され、1988年には源平闘魔伝、ドラゴンスピリット、その後アフターバーナーやグラディウスUなどが発売されますが、 中でも電波新聞社の作品はどれも素晴らしい出来でした。ソフトはあまり買わない私ですが、全部で30本くらい買いました。

★ドラゴンスピリットのアーケード版は1987年6月に発売されましたが、当初よりX68000への移植の噂がありました。1988年春発売予定がどんどん延びて待ちくたびれたのをを思い出します。春ぐらいから店頭デモが流れていましたが、美しいグラフィックとサウンドでよく人だかりが出来ていました。早くやりたい!結局9月23日に発売になります。これは本当に素晴らしい出来で、画面を縦にするとアーケードゲームそのものでした。今でもパソコンゲームソフトの最高傑作だと思っています。
 


完全移植のドラゴンスピリット

1986年 10月  シャープ MZ-2500V2「MZ-2531」発売

 
MZ-2521でのオプション品が内臓されて新登場です。価格はちょっとだけ高くなり199,800円(MZ-2531)でした。 あんなに夢中になったMZ-2500ですがX68000を見て一気に冷めてしまいました。
 
1986年 10月  NEC PC-9801VX0/2/4発売(10月22日発表)

CPU  80286/10MHz
 V30/(10/8MHz)
RAM  640KB(最大8.6MB)
VRAM  256KB
FDD  オプション(VX0)/5インチ2HD*2ドライブ(VX2/4)
HDD  20MB(VX4)
グラフィック  640*400ドット*4096色中16色
サウンド  オプション
備考  VX0  353,000円
 VX2  433,000円
 VX4  693,000円
 CPUを80286にパワーアップして発売したマシンです。 80286を搭載することは予想はされていましたが、真打登場という感じで王者の風格でした。文句のつけようがなく、まあしいて言えば定価がVM2よりも18000円アップしたこと くらいでしょうか?
 23日の朝刊に発売記事があったので、NECのBit-IN大阪へ行ったらすでに展示してありました。MS-Windows1.0や売出し中の統合オフィスシステムソフト「 PCアラジン」をデモしていました。 当時OAショーに行ってもよくPCアラジンのデモをやっていたんですけどあれはいったい何だったんでしょうか?互換性を重視するためCPUを2つ搭載していましたが、ほとんどのソフトは80286で問題なく作動しました。 
 
1986年 10月  NEC PC-9801VM21発売(10月22日発表)

PC-9801VM2の新型です。基本性能はVM2と同じでメモリを最初から640KB搭載していました。実質はVM2の値下げモデルです。 価格は本体390,000円です。
 

1986年 10月  NEC PC-98XLシリーズ発売(10月22日発表)

CPU  80286/(10/8)MHz
 V30/(10/8MHz)
RAM  1MB(最大7.5MB)
VRAM  512KB
FDD  オプション(XL1)/5インチ2HD*2ドライブ(XL2/3)
HDD  オプション(XL1/2)/20MB(XL4)
グラフィック  1120*750ドット*4096色中16色
サウンド  BEEP音
備考  本体 model1  495,000円
           model2  575,000円
           model3  835,000円
 
 PC-98XAの弱点であったPC-9801シリーズのソフトが使用できないという欠点を解消したパソコン です。1つの機械の中にPC-9801シリーズとPC-98XAシリーズがあると思えば分かりやすいですです。 VXと同じく互換性を重視するためにCPUを2つ搭載しました。作動モードが多く切り替えるのに大変でした。
 
1986年 10月  NEC PC-98LTシリーズ発売(10月22日発表)

CPU  V50/8MHz
RAM  384KB
VRAM  32KB
FDD  3.5インチ2HD*1ドライブ
HDD  -
グラフィック  640*400*2階調
サウンド  BEEP音
備考  本体 LT1 238,000円
     LT2 288,000円(プリンタPC-PR102TLセット)
 液晶画面のラップトップパソコンです。画期的だったのですが 、型名から分かるようにPC-9801ではないため膨大なPC-9801シリーズのソフトが使用出来ませんでした。 当時の技術ではこの大きさのマシンフルスペックPC-9801の機能をすべて搭載するのは不可能だったんでしょうか?それとも新たな展開をねらったのか今となっては分かりません。
 
1986年 10月   東芝 J-3100発売

CPU  80286/8MHz
RAM  640KB
VRAM   32KB
FDD  3.5インチ2DD*1ドライブ(B12)/2ドライブ(B11)
HDD  オプション(B11)/10MB(B12)
グラフィック  640*400ドット
サウンド  -
備考  -
  ダイナブックみたいな型名ですが、ダイナブックではありません。東芝 がIBM PC/AT互換機に独自の日本語表示 機能を搭載したモデルです。グラフィックはDCGAでIBM互換機の時はCGAモード、日本語の時は640×400ドット表示になります。翌年IBMが上位規格のVGA(640×480ドット)を発表しますが、その時はショックだったと思います。1989年6月ダイナブックが登場しますが、CPUは8086にレベルダウンしました。
 
1986年 10月  富士通と日商岩井 エヌアイエフ(ニフティ)パソコン通信の試験運用開始(1977年4月15日より正式運用)

 PC-VANのライバル登場です。 その後PC-VANとニフティはパソコン通信の会員獲得数で激烈な競争を繰り広げていきます。
 

1986年 11月  富士通 FM-77AV40/20発売

CPU  60B09E/2MHz
RAM  128KB(AV20)/192KB(AV40)
VRAM  96KB(AV20)/144KB(AV40)
FDD  3.5インチ2DD*1ドライブ(AV20-1)/2ドライブ(AV20-2/AV40)
グラフィック  640*400ドット*8色/320*200*262144色(AV40)
  640*200ドット*8色/320*200*4096色(AV20)
サウンド  FM音源3和音+PSG音源3和音
備考  本体 AV20-1  128,000円
           AV20-2  158,000円
           AV40      228,000円
      
 この頃各マシンは同時に何色表示出来るか競争になっていました。さすがに26万色には驚きましたが、26万色対応のソフトはほとんど発売されませんでした。性能的には8ビットマシンの中でピカイチでしたが、PC-8801MH/FHには販売台数では歯が立ちませんでした。
 
1986年 11月  NEC PC-8801MH/FH発売

CPU  Z-80H/(8/4MHz) 同等品
RAM  64KB(FH)/192KB(MH)
VRAM  48KB
FDD  オプション(FHmodel10)/5インチ2D*1ドライブ(FHmodel20)
 5インチ2D*2ドライブ(FHmodel30)
 5インチ2HD*2ドライブ(MH)
グラフィック  640*400ドット*モノクロ/640*200ドット*512色中8色
サウンド  FM音源3重和音+SSG音源3重和音
備考  本体 FH
     model10   99,800円
     model20  138,000円
     model30 168,000円
     MH    208,000円
 CPUの処理速度が8MHzになりました。キーボードも改良されてPC-9801シリーズのような配列になりました。テンキーと同じ場所にあったカーソルキーが独立して入力しやすくなり、ファンクションキーも5個から10個になりました。
 
1986年 11月  シャープ X1turboZ発売

CPU  Z-80A/4MHz
RAM  64KB
VRAM  96KB
FDD  5インチ2HD*2ドライブ
グラフィック  640*400*4096色中16色/320*200ドット*4096色
サウンド  FM音源8重和音+PSG音源3和音
備考  本体 218,000円
 X1TurboVに色数を増やしたようなマシンでした。悲しいかなX68000 とほぼ同時発表だったため、ほとんど注目されませんでした。次男もがんばっていい高校に合格したのに、お兄さんが東大に合格してしまったようなものです。出来ればもう1年早く発売するべきでした。
 

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