SCHUMPETER, J.
, Die Krise des Steuerstaates., Graz und Leipzig, Leuschner & Lubensky, 1918, 12mo., pp.74+6
Zeitfragen aus dem Gebiete der Soziologie, 4.Heft

 シュンペーター(シュムペーター)『租税国家の危機』初版。グラーツ社会学会刊「社会学時事問題」叢書の第4巻として発行。
 シュンペーターのグラーツ大学時代にウィーン社会学会で行った講演をもとにした書。出版された年に第一次大戦は終結したが、オーストリア・ハンガリー二重帝国は解体し、オーストリアは共和国となった。面積は戦前の四分の一となり、戦費を賄った公債と賠償金だけが残った。

 本書において、租税国家(シュンペーターにとっては資本主義と同義)は、戦争によって機能を停止するか?という問題を
① 戦争負担、戦費調達 ②国民経済の再建 の観点から考える。
 いずれの点からも租税国家は生き残れるとシュンペーターは答える但し、当時の歴史的時機だけに妥当する真理として。
 長期的には資本主義は社会的意義を失っていくとする。後に『資本主義、社会主義、民主主義』で詳説したように。
 分析に当たっては、封建社会の崩壊過程から説き始めるため、最初は法制史の本かとまがうばかりの印象がある。
 (訳本を見ると小生には珍しく、読後に本書の概要を裏表紙に書いていたようで、内容はそれによりました。妄言多謝。)

 オーストリアの書店より購入。かなりの稀覯書か。長らく探求書であったが、カタログ及びインターネットを通じ私蔵本が初見であった。Webcatで見る限り、現在8冊の所蔵が確認できるが、1冊のマイクロフィルム版を除いて、いずれも“Photogravure”とされている。これが、写真複製版とすれば、大学図書館には現物の所蔵はないものと思われる。


表紙標題紙に同じ(拡大可能)


(H18.8.13記. H21.5.30表記をシュンペーターに統一、H24.10.9 独語綴りを訂正 )





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