PIGOU, A.C.,
WEALTH AND WELFARE, London, Macmillan, 1912, 8vo., pp. xxix + 493.

 ピグー『富と厚生』、初版。
 偉大な師マーシャルと華々しい同僚ケインズに挟まれてピグーの影は薄い。ましてケインズから敵役として批判されたので印象は悪い。しかし、彼は『厚生経済学』により経済学史上に不動の地位を留めている。その『厚生経済学』の元となったがこの本である。
 「ジョンソンが書いているように、「ピグーの長い研究生活の残りのほとんどは、『富と厚生』で形成された基礎を強化し、その基礎の上に組み立てられた上部構造を入念に仕上げるのに使われてしまった・・・」精緻化は『厚生経済学』(1920年)の四つの主要な版と『産業変動論』(1927年)、『財政学研究』(1928年)でなされた。」(オブライエン・プレスリー編井上琢智他訳『近代経済学の開拓者』P.111)

 ピグーから一冊を挙げようとして、所持本から『産業平和の原理と方法』(1905年)、『輸入関税』(1906年)も考えたが、この本が順当なところだろう。
 イギリスの古書店からの購入。




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(H16.12.記)



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