KEYNES, J.M., PAMPHLETS
  1. THE ECONOMIC CONSEQUENCES OF MR.CHURCHILL, London, Hogarth Press, 1925, 8vo., pp.32
    「チャーチル氏の経済的帰結」。イギリスの金本位制復帰に関する新聞掲載論文を拡充したもの。

  2. A SHORT VIEW OF RUSSIA, London, Hogarth Press, 1925, 8vo., pp.28 
    「ロシア管見」。ケインズがバレリーナであるリディア・ロボコヴァと結婚後、新婦の故郷であるロシアを訪問した印象記。    
                  
  3. THE END OF LAISSE-FAIRE,  London, Hogarth Press, 1926, 8vo., pp.54
    「自由放任の終焉」。英・独での講演がもととなったもの。ケインズの資本主義に関する見解が述べられている。

  4. LASSE-FAIRE AND COMMUNISM, New York, New Republic, 1926, 12mo., pp.144
    「自由放任と共産主義」。上記2.と3.のパンフレットを合本してアメリカで発行したもの

  5. CAN THE LIBERAL PLEDGE BE CARRIED OUT? MR.J. M. KEYNES SAYS ‘YES’, London, Liberal Publication Department, 1929, 8vo., pp.8
    「自由党の公約は実現できるか?ケインズ氏は‘是’と答える」。イブニング・スタンダード紙掲載論文「ケインズ氏がロイド・ジョージ氏の公約を検証する」のパンフレット化。

  6. CAN LLOYDE GEORGE DO IT? THE PLEDGE EXAMINED, With H. D. Henderson, London, The Nation and Athenaeum, 1929, 8vo., pp48
    「ロイド・ジョージはそれをなしうるか?」。5.と同じく、ロイド・ジョージの公約支持の書。不況対策としての公共投資を説いた。

  7. THE MEANS TO PROSPERITY, London, Macmillan, 1933, 8vo., pp.87+3
    「繁栄への道」。乗数理論の初出。『一般理論』への道を開いた。

  8. HOW TO PAY FOR THE WAR, London, Macmillan, 1940, 8vo., pp.viii+88
    「戦費調達論」。戦費調達のための強制貯蓄の提案。

  9. TWO MEMOIRS: DR.MELCHIOR, London, Rupert-Davis, 1949, pp.106
    「回想録二編」。死後出版。ヴェルサイユの講和会議の交渉相手側であった「メルヒオル博士」と「若き日の信条」の二回想録。

 “ケインズ全集第XXX巻 “BIBLIOGRAPHY AND INDEX”の PAMPHLETSの項に従った。――4.の“LAISSE-FAIRE AND COMMUNISM”や9.の“TWO MEMORY: DR. MELCHIOR” も含まれているが、ページ数が多くて、とてもパンフレットと思えないのだが。
 5.と9.以外は『説得論集』に再録されている。

 ケインズは、多くのパンフレットを書いた。自ら言う、「経済学の体系書には大きな教育上の価値があるかもしれない。たぶんわれわれは、主要作品として、各世代ごとに一個の体系書を必要とするであろう。けれども経済的事実の一時的な性格や、それだけ切り離されたさいの経済学の原理の内容の空虚さなどを考えると、経済科学の進歩と日常の有用性とは、先駆者や革新者が体系書を避けてパンフレットやモノグラフの方を選ぶことを要求するのではないだろうか。・・・経済学者たちは四つ折り版の栄誉をひとりアダム・スミスだけに任せなければならず、その日の出来事をつかみ取り、パンフレットを風にふきとばし、常に時間の相の下に物を書いて、たとえ不朽の名声に達することがあるにしてもそれは偶然によるものでなければならない。」(大野忠男訳全集『人物評伝』p264)度々引用される箇所である。

 1.~3.の発行所、ホガース社(Horgarth press)は、ケインズのブルムスベリーグループ仲間であったヴァージニア及びレナードのウルフ夫妻が営んだ印刷所。表紙の真ん中に写真では見にくいがウルフ(狼)のマークが付いている。

 そもそも、我がコレクションはケインズの諸著作から始まった。
 所持している内では、1.5.6.が稀覯だと思う。
 上に挙げたケインズ全集30巻の書誌によると、初期の3種が欠けている。
 


写真上:左から上記パンフレットの1.2.3.5.6の順
写真下:左から上記パンフレットの4.7.8.9.の順


 
(付記)
 その後、全集索引巻の分類によるパンフレットではないが、ケインズのパンフレット「類」を2点入手したので、追加しておきます。
  1. STALIN-WELLS TALK  The Verbatim record and A discussion by G. BERNARD SHAW, H. G. WELLS, J. M. KEYNES, ERNEST TOLLER and others with three caricatures and cover design by LOW, London, New Statesman and Nation,December 1934, 8vo., pp.48
     スターリンとH・G・ウェルスの会談をめぐっての討論。ケインズも討論者の一人として参加。討議といっても、文章によるものである。
     表紙の他本文にも、一葉ケインズの漫画が挿入されている。いずれも、ロウの手になるもので、本文の方はよく転載されているソファーに腰かけたケインズ戯画である。

  2. NEWTON, THE MAN  (From a MS. by the Lord Keynes) Read by Mr Geoffrey Keynes, M.D., F. R. C. S., Reprinted from THE ROYAL SOCIETY NEWTON TERCENTENARY CELEBRATIONS, 15-19 July 1946, Cambrige, The University Press, 8vo., p.27-34
     ケインズが最後の魔術師とした有名なニュートン論。1946年のニュートン生誕300年祭に、弟で外科医のジョフリー(古書収集家としても著名)がメイナードの原稿を代読したもの。
     抜き刷りというべきか。『人物評伝』に、1951年版から収録されている。


(H17.5.記. H21.5.追記)



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