SCHUMPETER, J.A.,
Das Wesen und der Hauptinhalt der theoretischen Nationalökonomie., Leipzig, Duncker & Humblot, 1908. 8vo., xxii+626
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 シュンペーター『理論経済学の本質と主要内容』初版。
 皮装。ドイツの古書店より購入。‘Berlin Frele Universität’なる小さなスタンプが標題紙の裏に押されている。2003年頃に、同様のゴム印が押された何冊かの目ぼしい書物をドイツの複数の古書店から購入できた。大学の廃校かなにかで市場に流れたものであろうか。
 根井雅弘『シュンペーター』の表紙・紙カバー・標題紙にはもっと古い装丁のこの本の写真を用いてデザインされているが、私装で元装でないように思える。
 シュンペーター25歳の処女作。歴史学派が優勢であったドイツ経済学会に一般均衡理論学派たることを宣言した書である。
 初版は500部の印刷で、増刷されなかった。その辺の事情をシュンペーターは「あれは、今見るといやでたまらない本で、原本ではもう絶版になっており、私自身一冊も持ち合わせてない。」(都留重人『いくつもの岐路を回顧して』p133)といっていたようである。
 このため、戦前からこの本は稀覯書とされていた。中山伊知郎は『わが道 経済学』(講談社学術文庫版 p56、p144-145)で、大正13-4年頃、東京商大の図書館にはこの本が一冊しかなく、それを高田保馬が握って離さないため見られなかった。ドイツで昭和の初めから探したが、ベルリンで出物があったものの東畑精一に先を越され、やっと昭和28年(?)にアメリカから入手されたと書かれている。
 また、邦訳書の「訳者あとがき」で、安井琢磨は稀覯書である本書を中西寅雄(経営学者と思う)から借りて読んだとしている。
 ただ、ここ10年程の私の小さな集書経験の範囲では、日本においてもドイツのおいても、この本は目録で何回か見かけた。むしろ、『経済発展の理論』(Entwicklung)の初版の方を見つけることが困難だった。
 




標題紙(拡大可能)


(H16.8.記.H21.5写真追加 H24.10.9 独語綴り訂正)



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