BERLE, A.A. and MEANS, G.C.,
The Modern Corporation and Private Property,
Commerce Clearing House ,Inc., New York etc, 1932, 8vo, pp ix+396

 法律学者バーリと経済学者ミーンズの共著。「この大部の書物において・・・次の二つの命題を提示した。一つは、所有の問題として、株式会社における「所有と支配(コントロール)に分離」であり、もう一つは、その分離にもとづく「純粋に中立的なテクノクラシー」としての経営者の出現である」(宮本光晴『命題コレクション 経済学』p85)。経営者資本主義を論じる時、常に引き合いに出される文献である。

 インターネットでヒットしたのが、キプロスの書店という珍しいケース。見返しに”The last copy available from the publisher---Please do not ask to borrow.”と書かれている。

 正木久司・角野信夫『バーリ』p24には、「当初、この本は、コオポレーション・クリアリング・ハウス社(?)から出版されることになっていた。しかし、この本の要約を目にした同社の大株主(ジェネラル・モータース社と推定される)が出版に反対したため、出版は遅れることとなった。そして、翌年の1932年、出版社をマクミラン社に変え、この本は世に出ることとなった。」と書かれており、マクミランの1932年が初版のように読める。
 私も、初版とのことで買ったマクミラン版(NY)を所蔵している。これを見ると、標題紙には1933と印刷され、標題紙の裏にはc1932としてReissued January,1933 と書かれていて、First edition 1932の記載はない。マクミラン版には1932年発行はないのではないか。
 Webcatでは、この点がはっきりしないが、米国議会図書館のカタログで確認してもマクミラン版には1932年発行はないようである。
 マクミラン版の紙カバーの惹句に”there may have been a better book than this published in 1932, but I did not see it”と書かれているから、当初からこのクレアリング・ハウス版は少部数しか発行されなかったのかも知れない




標題紙(拡大可能)


(H16.9.19記.H21.4.18 写真追加)



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