ウィーン・メンガー

オーストリアの首都ウィーンでは、昔町を囲っていた城壁を毀ち、その跡がリンクという大通りとなっている。名前のごとく環状の道路である。市役所・オペラ座・ブルグ劇場等著名な建物はこのリンクに面して建てられている。ウィーン大学もまたそうである。

　面白いのは、地図で見てももただUniversitätとあるだけで、なんら固有名詞が付いていない。どこぞの国のように乱立していないので、区別する必要はなく「大学」だけで通用するのだろう。

　ウィーン大学にはマックス・ウエーバーやカール・メンガー（数学者でもある息子の方）も講義していたのだが、教室までは入る勇気もなく、中庭だけを覗かしてもらった。カール・メンガー（親父の方）のレリーフはここにある。大学に属した著名な学者の胸像やレリーフが回廊にズラーと並んでいるのだが、私に解ったのは、あと量子力学のシュレジンガーとドップラー効果のドップラーそれにフロイドくらい。

　ウィーンは晩年の安井琢磨が毎年のように訪れた街だけあって魅力的な場所が一杯あって観光に忙しかった。かくて経済学紀行はこれだけしかありません。