ケンブリッジ・ケインズ



 ケンブリッジには鉄道で行き、インフォーメーションでケインズの生家は何処かと聞いた。ボランティアかアルバイトらしき学生が、あちこちから本を引っぱり出して調べてくれたが解らないとの返答。大学を見てからの帰り道にハーヴェイ・ロードを思いついて地図で調べたらすぐ解った。下の地図の赤丸が鉄道のケンブリッジ駅、黒の矢印がハーヴェイ・ロードである。駅から徒歩ですぐに行ける。



血液循環の発見者ウイリアム・ハーヴェイにちなんで付けられたとされているので、ここにハーヴェイが住んだかどうか調べてみたが、よく解らなかった。


 「ハーヴェイ・ロードの前提」の有名なフレーズのせいで何となく大きな道のように思い込んでいたのだが、地図で見てもわかるとおり、小さなほんの短い道である。







ハーヴェイ・ロード6番地でケインズは呱々の声をあげた。スキデルスキーの伝記で見ると地下室を含め4階建となっているのは、屋根裏部屋まで勘定しているのだろうか。入り口の横にケインズの生家であることを示した金属パネルが取り付けてある。旅行当時(1995年)は、アメリカの大学の施設だったように記憶している。





 ケインズが学び、教え、行政をしたキングス・カッレジである。


有名なチャペルをはじめとして観光客に公開しているが、教育・研究に差し障りのある場所には入れない。警備員に中を見せてもらえないかと頼んだが、当然断られた。


トリニティ・カレッジも美しい大学だった。








旅行は1995年で10年以上前ですので参考の際はインターネット等でご確認下さい)

 

ケンブリッジの古書店

市の中心部のマーケット・スクエア近くに小さいが趣味のよい古書店が何軒かあったが、記録を取ってないので残念ながら詳細は書けない。

 

 

ケンンズと古書

ケインズは早くもイートン時代から学業で得た賞金で古書を集めていた。デヴィットというケンブリジの露天商の常連だった。10シリング以上のものはめったに買わなかったようだが、大学に入る頃には三百数十番までナンバーを振った一角の蔵書となっていた。その中にはアダム・スミスの旧蔵本もあったようだ。

『人物評論』のニュートン伝が、オークションで落札したニュートン手稿にもとづいて書かれたことは有名だが、あと10年長生きしていたら弟のジェフリー同様20世紀を代表する古書蒐集家の一人になっただろうとは、マンビーの言葉である(ミロ・ケインズ編 佐伯彰一他訳『ケインズ人・学問・活動』)。

ハロッドの『ケインズ伝』を読んで面白かったのは、ケインズが莫大な資産を形成したことについて、大蔵省にいたときの内部情報を利用したという噂を否定し、ケインズは高潔で内部情報や地位を利用しないと大見得を切っていながら(上巻p.337-8)、ケインズが公用で米国へ出張している時に、古書店のカタログを一刻も早く入手するために、外交郵袋を利用した事が書かれている(下巻p.615 訳では「外務省カバン」となっている)ところである。本好きにはわかりますね、この気持ち。

 

所蔵のケインズ関係の変った本を少し挙げておきます。

 

1.FRACCHIA,C.A. JOHN MAYNARD KEYNES BOOK COLLECTER 1968

題名のとおりです

2. KEYNES, F BY-WAY OF CAMBRIDGE HISTORY 1947

3. KEYNES, F  GATHERING UP THE THREADS. A STUDY IN FAMILY BIOGRAPHY. 1950

ケンブリッジ市長を務めたケインズの母フローレンスの著書です。

4.FINCH, R ed.  THE HISTORY OF THE NATIONAL MUTUAL LIFE ASSURANCE SOCIETY 1830-19301930

5.STREET, E ed. THE HISTORY OF THE NATIONAL MUTUAL LIFE ASSURANCE SOCIETY 1830-198”1980

ケインズが会長をした生命保険会社の社史。前者にはケインズの序文あり。那須正彦『実務家ケインズ』に入手に苦労されたように書かれていたが、たまたまネットで見つけたので入手した。