WICKSTEED, P. H.,
Alphabet of Economic Science,London, Macmillan & co,1888, 16mo, pp xiii+142

 ウィックスティード『経済学入門』、初版。
古典学者・神学者として出発、後に経済学に研究範囲を拡げた。ちなみに、ウィックスティードの本をインターネットで検索するとダンテ等の古典研究書がずらっと出てくる。
 この本は、「限界」という形容詞を初めて使用した先駆的教科書の一つである。「かれはそこではなお満足の正確な測定の理論的可能性を進んで考えようとしていた。最初の明らかな着歩は、「効用」の完全な倫理的中立性を主張することであった・・・第二に、ウィックスティードは『入門』のなかで、1財の効用はたんにその財のみの所有量の函数ではなくて、あらゆる財の函数だと述べた。」(T.W.ハチスン『近代経済学説史』上巻、邦訳p.116)

 彼の名を経済学者の中で一躍高めた”An Essay on the Co-operation of the Law of Distributions”は、極め付きの稀覯書だと思うが、本書はこの本ほど珍しくはないが、彼の主著でありブローグによれば「ウィックステードのもっとも永続的な貢献」(『ケインズ以前の100大経済学者』)である”The Common Sense of Political Economy”よりは、ずっと珍しいと思う。

 Ex-libraryではあるが、皮装丁そのものがライブラリイマークでデザインされており、ラベルや印影はない。金押しで”NEW SOUTH WALES LIBRARY OF PARLIAMENT”と書いた王冠のデザインである。豪州のものと思う。見返し、小口ともマーブル模様できれいな本である。
 




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