WICKSELL,K
.,Finanztheoretische Untersuchungen nebst Darstellung und Kritik des Steuerwessens Schwedens.,Jena, Verlag von Gustav Fischer, 1896, pp xiv+352,8vo

 ヴィクセル『財政学研究』初版、
 ヴィクセルの本の中では他の本に比べて知名度が低いようだ。Verlag Wirtschaft und Finanzen社の“Klassiker der National ökonomie”は、古今東西の経済学古典の中から100巻を選び、刊行当時の体裁のまま復刻した叢書である。この中にヴィクセルのこの本は、『利子と物価』とともに選ばれているから大古典なのだろう。ちなみに日本からは三浦梅園の『價原』が入選。
 この本の正式な標題は『財政理論研究およびスェーデン租税の論述と批判』となっているとおり、次の三つの研究から構成されている。
1. 租税帰着学説に対して
2. 公正課税の新原則について
3. スェーデンの租税
 このうち、第二の部分が、限界効用理論を租税、公共財、公共政策に対して適用したもので独創的な貢献をしたとされる。その他、集団的な合意形成についても論考されているようだが、私にはよく解らない。池田浩太郎他の部分訳はあるが、この本に関する日本語文献は少ないと思う。
 処女作の『価値、資本および地代』の出版が無視されたのに対し、この本は、ヴィクセルを世に知らしめる契機となったようである。

紙表紙は装丁し直されている。Ex-library本。ドイツの書店より購入。




標題紙(拡大可能)


(H17.8.21記)



稀書自慢 西洋経済古書収集 copyright@bookman