LARDNER , Dionyslus
,Railway Economy ; A Treatise on the new Art of Transport, it’s Management , Prospects, and Relations , Commercial , Financial and Social. With an Exposition of the Practical Results of the Railways in Operation in the United Kingdom, on the Continent, and in America., London, Taylor, Walton, and Maberly , 1850, 8vo., pp xxiii , 528, 12

 ラードナー『鉄道経済』初版。
 ジェヴォンズは、「1857年・・・4月と5月には鉄道問題に関する本の中からラードナーの『鉄道経済』(1850)を読み、この本によって彼は初めて、経済学を数学的に研究することを学んだ。」(R.ケーネカンプ 丸山徹 著 内川智子他 訳『ジェヴォンズ評伝』 慶応通信p.55)
 彼の主著『経済学の理論』の第二版の序文には、「私が経済学を数学的に研究しようとする思想を、もしなんらかの源から導き出したとすれば、それはそこに記した著作からである。ラードナー(Lardner)の『鉄道経済』には、負うところがおそらく最も多いであろう。何とならば1859年以来その著書を熟知していたから。その著は極めて有能な研究を含むものとして常に私の感銘するところであるが、その科学的価値はいまだ十分には評価されていない。その13章(286-296頁その他)には、供給および需要の法則が数学的に取り扱われ図表的に例証されている。」(小泉信三他訳寺尾琢磨改訳、日本評論社,p.xx――なお、上記ケーネカンプの著には第四版序文とされているが第二版の誤りと思われる。)と書かれている。

 経済書の屈指の大コレクターであるH. S. Foxwellが、第1号コレクションとしたのがこの本である。「経済コレクション形成の第一歩(the first step in the formation of my economic collection)」とこの本に書き込んだ(三上隆三『経済学事始』p196)。

 田中敏弘・山下博編『テキストブック近代経済学史』の巻末「年表」にこの本が挙げられているし、A. M. KellyのReprint of Economic Classics に復刻されているのでそれなりに稀覯本だと思える。Webatの調査では、日本の大学図書館には米国版初版はあるが、初版の所蔵はないようである。 




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(H16.8アップ。H18.12棚変更時に標題紙写真追加)




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