JEVONS, William Stanley ,
The theory of political economy., London and New York, Macmillan and Co. 1871.XVI, 267p.

 ジェヴォンズ『経済学の理論』初版。
 メンガーの『国民経済学原理』、ワルラスの『純粋経済学要論』とともに、限界革命をなした一書。ただし、ジェヴォンズが「一般的限界効用理論の説明を1860年台に公表したただ一人の著者だった。」との評価もある(C.ブラック他編『経済学と限界革命』所収のR.S.ハウェイ論文)。
 第二版発行が1879年で、「7年たってやっと1000部売れた。」とのことだから初刷は1千部か。また、1936年時点で累計7000部売れたそうだから、平均して年100部そこそこの売れ行きである。古典とはこんなものか。(数字はいずれもケインズ『人物評伝』のジェヴォンズ伝による)

 メンガー、ジェヴォンズ、ワルラスの限界革命トリオの内、現在の評価が一番高いのは一般均衡理論の父でもあるワルラスであろう。古書のほうもその主著でみると断然,ワルラスが他を圧して3倍ほどの値段がついている。とはいえ、この書物もそれほど安くはない。しかし、値段をいとはなければ、いつも市場に出ていて入手可能という意味では、それほどの稀覯書でもない。

 普通ならとても手の出ない本なのだが、高い値付けの英国の某高級書店が、なぜかネット上で安い値段をつけていたので、買う事が出来た。現在のところ――であって欲しいが――限界革命3書のうち、唯一の所蔵本であるので挙げてみた。
 




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