SISMONDI, JEAN CHARLES LÉONARD SMONDE de
, NOUVEAUX PRINCIPES D'ÉCONOMIE POLITIQUE OU DE LA RICHESSE DANS SES RAPPORTS AVEC LA POPULATION (TOMI I - II) , Paris Chez Delunay – Treuttel et Wurz 1819, pp.viii+457, 442,8vo

 シスモンディ『経済学新原理』初版である。
 J.P.セイと共にフランスへのアダム・スミス経済学の導入者だったシスモンディは、最初の経済書『商業的富について』(1803年)出版後、15年余の歴史研究を経て経済学研究に戻り、この『新原理』を出した。
 この間のイギリス産業革命の観察は、彼を、スミス経済学の祖述者から古典派理論の批判者に変えた。リカード・セイの「販路法則」の批判者となり、消費は所得により制限される事実から、市場の停滞を有効需要の不足に見出す。彼の云う「豊富のただ中における荒廃」である。初版出版の後、「富の痙攣」であるイギリスの経済恐慌を見て確信を深めた。
 解決策として、国内的には所得の平等化による市場の拡大を説き、ここに政府の役割を期待する。国際的には、リストのように国民経済学にも向かわず、世界的繁栄なくしては世界の販路の拡大はないとする。
 家父長的小経営を理想とした事もあって「ロマン派経済学」とされた。レーニンにも痛烈に批判を浴びたらしい。私なんぞには同じジュネーブ生まれでこれも自由で独立した小生産者を理想としたJ.J.ルソーのごとく、コスモポリタンでもあったジュネーブ市民の気概みたいなものも感じないでもない。(邦訳を持っていませんので、岡田純一『フランス経済学史研究』を主として参照しました。)

 イタリアの本屋より購入。通常、収集範囲外としている時代のもので、普段フォローしていないから、どれほどの稀覯書か、価格が安いのかは解らないまま購入。ネット上で、イタリアの本屋で見つけた。同じくネットに出ている他店の第2版に比べて安かったので、照会のメールを度々入れたが、なしのつぶて。どうも夏休み期間だったようだが、返事がないと片意地になって欲しくなり、連絡が取れると多少無理をして買ってしまった。悪いくせである。結局、自主制限の上限価格を少しオーバーしたが、市価に比べてかなり安かったようだ。




標題紙(拡大可能)

(H17.11.23記)



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