KAUTSKY,K.J.,
Die Agrafrage. Eine Übersicht über die Tendenzen der modernen Landwirtschaft und die Agrapolitik der Sozialdemokratie, Stuttgart, J.H.Diez, 1899, pp viii+451, 8vo

 カウツキー『農業問題――近代的農業の諸傾向の概観と社会民主党の農業政策』、初版、
 カウツキーは、社会民主党の論客。「本書は、ドイツ社会民主党ブレスラウ大会で否決された農業綱領をめぐって展開された論争(修正主義者との)を契機に書かれた。当時の主要な問題は、・・・・なかでも資本主義の発達にともない不可避的にひきおこされる資本と労働の階級分解のなかで、未分化の状況にある農民経済の方途がどのような過程をたどるか、という問題であった。」農業の資本主義化を否定する小農論と工業とおなじように資本主義化するとする大農論が争われていた。「そこでカウツキーは、当時のイギリス、アメリカ、フランス、ドイツの最新の農業統計を駆使して、『資本論』第3巻以降の農業における資本主義の発展を解明したのであった。」(林直道編『経済学名著106選』p.16-47)
 後にはカウツキーを非難することになるレーニンもこの本が出版された当時は、農業における諸現象を資本主義全体的過程の中の部分的現象としての解明したとして高く評価していた。「農業問題は、ロシアの正統学派にとって、はるかにより重大な問題であった。帝政ロシア資本主義の低開発性とナロードニキ主義の社会的な重みが、農業問題をトップクラスまで高めた。当然ながら、この分野におけるレーニンの傑出を考慮に入れるならば、かれは、修正主義者の主張に対抗する上で主要な指導者であったが、しかし修正主義的批判家と同様に、大いにドイツの資料、とくにカウツキーの『農業問題』に依拠していた。(ハワード、キング著振津純雄訳『マルクス経済学の歴史 上』p.282-3)

 ドイツの書店より購入。美本である。旧共産主義国家崩壊の結果か、ドイツでは社会主義文献は安値である、少なくとも日本の古書店の相場より明らかに安い。代わってというべきか、プロト限界主義者や数理派の本の値段は異常と思われるほど高値だ。Launhardt, Mangoldt, Mises, Stackelberg等々。




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(H17.8.21.記)



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