MARX,Karl.,
Das Kapital. Kritik der politischen Oekonomie. Erster Band. Buch I:Der Producktionsprocess des Kapitals. Hrsg. v. Friedrich ENGELS., Dritte vermehrte Auflage., O.Meissner 1883, pp xxii+808, 8vo.

MARX,Karl., Das Kapital. Kritik der politischen Oekonomie. Zweiter Band. Buch II:Der Cirkulationsprocess des Kapitals. Hrsg. v. Friedrich ENGELS., Erste Aufsgabe., O.Meissner 1885, pp xxvii+526, 8vo.

 マルクス『資本論』第一巻第三版および第二巻初版、ともにエンゲルス編。

 周知の本であるから本の説明は省略させていただく。

 大物掘り出しの具体例として、古書愛好家のために入手時の経緯を少し詳しく書いておこう。
 このような古典を検索する時には普段、雑本がぞろぞろ出てこないように最低価格の足切りを行うのだが、たまたま、価格の制限なしで検索していたら変な本が目に留まった。発行が1800年台の資本論1巻と2巻である。説明文もいい加減で1・2巻とも同じ内容である。よく確かめもせずに、先に作成した方をそのまま「コピーアンドペースト」したのだろう。Antiquariatなどは付いておらず、書店名からはただのセコハン屋と伺えた。説明には、発行所・発行年とページ数だけしか書いてないが、確認すると第2巻の方は「初版」にピッタリである。こんな店に「お宝」が気付かれずに眠っていることがあるのではないかと、空振りを覚悟で第2巻のみとりあえず発注。カスを掴んでも、許せる値段だ。
 次に、書店に1・2巻の発行年に間違いがないかメールを送る。こんな小さな(と思われる)店では、めったに返事はこないと思いながら、翻訳ソフトの力を借りて、英文に独文を貼り付けたメールを作成する。古本好きならわかってもらえると思うが、正面から初版かと聞くと本の価値を、気付かれて,「昨日電話があり、売れました」とやられるのではないかとの心配がある。売り惜しみか、本当に目敏い人に先を越されたのか解らないが何回もこんな経験をしているので、単に発行年をさりげなく確認する風をよそおう。といっても、それほどの語学力がないから、ただ発行年のみを聞いただけのことである。
 意外にも(?)すぐに返事は来た。若い書店主らしく!マークを何重にもふんだんに使って。おれも英語にトライすると、英文も付けてくれた。それによると、第1巻は“Produce in 1883”とのことである。第三版の発行年ではないか。すぐに、これも発注。
 本が着くまでは半信半疑であったが、航空便で送ってくれた小包を開封すると、まさに期待どおり。コンデションも非常によく、本の中身にはしみ・かび等も見られないし、Ex-libraryでもない。
 古びてはいるが、背皮装で、マーブル小口である。大事にされていた本に違いない

 


第一巻第三版標題紙(拡大可能)


第二巻初版標題紙(拡大可能)

(H17.7.17記)

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