雨のおん祭
〜Rainy Onmaturi〜
Believe In Snow

おん祭は古い絵巻にあるように、屋外で星を仰ぎながら演じます。
どういうわけか近年雨が多いように思います。やはり楽人としては晴れてくれることを強く望みます。見に来られる方にとってもそうですよね。
雨儀(うぎ)ではその場の状況に合わせて、進行が変えられます。しかし、おん祭は雨が降ろうが矢が降ろうが完全に中止になることはありません。10年以上前の話(昭和60年)ですが雪が降った芝舞台の上で舞われたこともあります。
そんな中で、雨儀(うぎ)でしか見られない光景などを紹介します。近年に限ってみてもいろいろな形で執り行われました。今まであまり降らなかったといいますから、これから書くことは、伝統というわけではありません。慣例というものになるにも、まだまだ例が少ないように思います。

おん祭の天気

  2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011            
  15 16 17 18 19 20 21 22 23            
全体 晴一時
雷雨
晴☆ 曇時々雪☆ 曇時々雨☆ 晴☆ 曇時々雨☆ 晴☆ 晴☆              
遷幸 晴/曇☆ 晴☆ 晴時々雪☆ 曇☆ 晴☆ 曇後雨☆ 晴☆ 晴☆              
お渡 晴☆ 晴☆ 曇一時小雨☆ 小雨/晴☆ 晴☆ 曇時々小雨☆ 晴☆ 晴☆              
お旅 晴一時雷雨
雹☆
晴☆ 曇一時小雨☆ 雨/晴☆ 晴☆ 雨後曇☆ 晴☆ 晴☆              
還幸 曇☆ 晴☆ 晴☆ 晴☆ 晴☆ 曇☆ 晴☆ 晴☆              
メモ 春日若宮御出現千年

舞台の整地
社殿の使用材新調

雨儀の舞台屋根初使用

東遊から和舞まで舞台まで傘使用
長保楽で雹交じりの雷雨、納曾利で舞台に鹿があがる。春日の森の杉に落雷。すべて舞楽は行われ、遷幸還幸とも晴儀。

東京有楽町マリオン・国立文楽劇場でのおん祭りの芸能特別公演あり
劇場初公開
終日快晴
遷幸抜頭
寒い

仮の屋根は予報のため設置

極寒

暁祭で雪が舞う

遷幸還城楽

仮の屋根は予報のため設置

この冬全国的に記録的な寒さと雪
曇ったり雨が降ったり晴れたりだったけれどほとんどが晴儀で行われた。

仮の屋根は設置



遷幸還城楽

 
終日快晴
遷幸還城楽
寒い

仮の屋根は予報のため設置

鳥居修理のためなし
久しぶりの本来の屋根なしの芝舞台

全体として平成初期までの古儀のおん祭の雨儀の形態

一部雨儀

遷幸
曇時々小雨の中決行
暁祭
お旅所に差し掛かる手前で小雨から本降りに変わるだ太鼓右方カバーをかけたが、撥面のみだして儲け(迎)の太鼓を打つ、雨が強まり、献饌は傘で行う。
神楽は幄舎の半分で行う。
献饌撤饌の楽は荷太鼓使用。

お渡り
晴儀で行うが途中小雨が降ったときのみ傘を日の使、陪従、十列児にさしかける。

お旅所祭
献饌の十天楽は雨のため、荷太鼓
細男まで芝舞台で傘を差しかけて
東遊は晴儀。
猿楽より本降りのため幄舎で
振鉾二節
平舞片舞
走舞、蘭陵王から雨が上がったために、再び芝舞台でここからだ太鼓使用。
遷幸まであとは、雨は降らず、晴儀で行う。

暖かかった
 
よく晴れてよく冷えたおん祭り 寒いおん祭らしいおん祭              
  1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002
  63 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14
全体 晴☆ 晴☆   晴☆     晴☆ 晴☆ 雨☆ 晴☆ 雨/晴☆
遷幸   晴☆   大雨☆ 晴☆   曇☆ 晴☆ 晴☆ 晴☆ 晴☆ 大雨☆
お渡   曇☆       雨☆   晴☆ 小雨☆ 大雨☆ 晴☆ 曇/小雨☆
お旅   雨☆ 晴☆ 晴☆   雨☆ 雨☆ 晴☆ 曇☆ 大雨☆ 晴☆ 晴☆
還幸   雨☆ 晴☆ 晴☆ 晴☆   晴☆ 晴☆ 大雨☆ 晴☆ 晴☆
メモ     雅楽欧州公演
信雪陪従
還城楽
復興
暖かい
信雪陪従
還幸・傘
暖かい 寒い 遷幸の儀
今までで
一番寒い
月明るい
  50年ぶり
大雨装束
被害大
還幸の道楽を
送りと迎え楽
  快晴
慶雲楽
復興
    若宮遷宮
のため
本社から
道楽
遷幸の儀
初度の乱声
は細殿内で
遷幸の道楽を
送り楽と
迎え楽にかえて
18日は通常

十天楽
復興

☆は『信雪舞記』の記録です。

片舞

四人舞を二人で舞うことを片舞(かたまい)といいます。おん祭りでは、南都楽所の幄舎(あくしゃ)とよんでいる舞人の着替え所の半分を舞台とするときに、片舞となります。演奏している楽舎などは、古儀にのっとってつくってありますが、天井が低く鉾を使うものは特別の工夫が要ります。舞楽曲の「散手(さんじゅ)」、「貴徳(きとく)」は、鉾(ほこ)をふんだんに使い、動きの激しい舞なので 急な雨のときは省略 することがあります。

裾をあげる

舞楽の装束には裾(きょ)というものがあります。衣装の後ろが長くのびたもので、南都楽所では通常は、屋外でも、地に裾(きょ)をおろして舞います。しかし雨の直後などは、石帯 (せきたい)というベルトに裾をかけて舞うこともあります。 古い絵にもその様子が描かれています。

雨よけグッズ

神職さんの衣装は衣冠ではなく狩衣になります。大きな和傘がたくさん出てくるのが、雨の日の演出です。明治の頃に作られたという市女笠 (いちめがさ)というメキシカンハットのようにみえる帽子が還幸のときに使われたりもしました。

鼉太鼓

おん祭の目玉でもある巨大な「鼉太鼓」(だだいこ)にカバーがかかってしまいます。かわりに、楽舎におかれた「荷太鼓」(にないだいこ)を使います。

お渡り式のコース

お渡りの行列が省略される。県庁前から一の鳥居に向かう「上の渡り」という短いコースになる場合もあります。一の鳥居までは「下の渡り」といいます。影向の松の前で行われる芸能は省略されることもあります。

大名行列は雨の中合羽を着て、やっておられます。かけ声は「イーヨーイヤナ、イーヨイマカセ、ヤッコラサノサ」

作法

日使(ひのつかい)の作法が立ったまま行われます。

仮の屋根

平成15年は、前もって雨が予想されたため、仮の屋根が芝舞台につきました。晴れていたら、今までと同じく、800年以上の古儀通りに星空の下の芝舞台で行われます。 屋外で夜空の下で舞われるのがおん祭の醍醐味です。楽人も舞人もやはり星空の下で舞いたいと強く願っています。


雨の中の還幸・還幸

近年遷幸、還幸の道楽を送り楽と迎え楽で行いました。楽人を二つのグループに分けてお旅所で還城楽の楽で神様を送り、若宮神社の石段の上で還城楽の楽でお迎えします。以前 には、どしゃぶりのなかでも、楽人どうし傘をさしかけながら、交替で道楽を行ったこともありますし、棒の先に幕を張って歩いていったこともあります。いろんな方法がとられていますが、近年特に雨が増えてきました。以前はめったに雨など降ることはありませんでした。暖冬などが影響しているのかもしれません。その時々で工夫して行っています。

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