「そうだ、信雪さんに聞いてみよう」
〜南都楽人にとりあえずぶっつける雅楽の大疑問果たしてちゃんと答えられるのか?〜

Believe In Snow

雅楽について、よくある質問(FAQ)に答えるコーナー。
このタイトル、形式は村上春樹さんの本のパロディです。

雅楽

Q 雅楽はいつごろからあるのですか。(Tiさん)
簡単にいえば奈良時代に中国を中心とする外国から伝わった。日本ナイズされたのは平安時代。世界的に見ても最古級の芸能です。詳しくは「雅楽講座」をみてね。

Q どういう目的で演奏されてきたのですか。(Tiさん)
雅楽を聞いていただく対象は神・仏・人となります。もともと仏教とともに遣唐使などが持ち帰った音楽です。また、八百万(やおよろず)の神様に捧げる音楽としても演奏されてきました。平安時代には貴族の遊びとして用いられましたので、古くから人を対象にもしています。

Q 本や漫画にでてくる「源博雅(みなもとのひろまさ)」って人はどんな人?(yumさん)
会ったことがないのでよく分かりませんが(あたりまえ)、雅楽の世界では有名人です。平安時代の人で、なんでも雅楽の名手だったそうで、特に笛がうまかったようです。楽人の間では博雅三位(はくがのさんみ)とよんでます。大篳篥という今は使われていない楽器も得意だったというのですが、楽人なら一つの管楽器に打ち込んでいたはずなのでこれは、高貴な身分の方のなせる技でしょう。ひねくれものの私なんかは、「ほんまにうまかったのかあ?」などと思ってしまうのですが、長慶子という博雅の作った曲を吹いていると、やっぱりすばらしく、名曲だと思います。吹いているうちに味が出てくるという感じの曲ではなくて、今の感覚で聞いても結構「あかぬけているなあ。」と思う曲です。伝説も多い人物で、鬼や盗人も感動させたというその笛の音をタイムマシーンが出来たらまず、叢(くさむら)の影からこっそりきいてみたいものです。

Q 衣装やお面、楽器はいくら?(Ruuさん)
「で、それ、なんぼするん?(値段はいくらするの?)」どうもこの質問の主は関西の方であるようです。この上方(かみがた)的な質問はよく聞きますし、実際気になってしまうところです。南都楽所で使用しているものは、旧南都楽所から受け継いだものなどは当然値段がつけられない文化財級のものです。ほとんどは博物館に保存するようにして、うつしの新物を使用するようにしていますが、まだ使っているものもあります。管楽器はきちんとしたものでも個人で買うことが出来る値段のものからあります。絃楽器は少し無理をしないといけませんが・・。京都に装束や楽器を作る方がいらっしゃいますのでそこで聞いてね。答えになってませんが・・(-_-;)。
実際にこれから雅楽をなさる場合には、所属する演奏団体の先生に聞いてから買うことをオススメします。

Q ふだんの練習は、どんなところで、どんなふうにやっているのですか?
(Chiさん)
楽師の指導のある「稽古」と各個人が技量を練磨するためそれぞれが行う「練習」があります。南都楽所の稽古は土曜日は奈良の大宿所(おおじゅくしょ)で、日曜稽古は春日大社で行われています。行事によって内容は変わりますが、土曜は前半午後7時から初心者を対象にしています。午後の8時からは中級者を対象としています。笙、篳篥、龍笛のそれぞれの楽器に分かれて行われます。日曜の稽古は本番を想定した合奏が多く、総稽古です。舞の稽古も適宜行われます。
個人の練習は雅楽の楽器は音量が大きいので家で演奏は、しにくいのです。僕の場合、学生のころ、平城宮の大極殿跡でよく練習しました。 復元された朱雀門もなく、ただ野原が広がっていただけのおおらかな遺跡後だったころです。学生のころ、桜の木の下で管絃をやったりすることもゆるされたころのことです。吹けない頃くやしくて、何度もいっ てたなあ。
楽器は音の出るものですから、迷惑にならないように場所と時間を考えましょうね。
注意:当HPでは南都楽所入会についての紹介や案内はできません。『雅楽への招待』小学館などをご覧ください。

Q 信雪さんの一番好きな管絃の曲は?舞なら何?(Chiさん)
この質問の答えは更新していきます。
時期によって、きらいだった曲がすきになったり、その逆だったりします。季節や行事とも関係しますよね。
舞は、甘州などの延拍子の曲。舞っていて奥深いので、はまっています。
見た目おもしろいのは、還城楽や落蹲。
管絃の曲では胡飲酒昔から、吹いていて楽しいのが抜頭。昔に比べて嫌いな曲がなくなってきました。何でも食べ続けているうちになじんでおいしいと思えるようになってくる。おばあちゃんに、好きな食べ物はと聞くと必ず「なんでもよばれます(なんでもいただきます)」といいます。吹き込んでいくうちにだんだんすきになっていくのでしょうか。食べ物といっしょにしていいんだろうか?
聞くのが好きなのは、東遊の笛です。少し秋が深まってきたときに楽師の奏でるこの曲を耳にすると、いよいよおん祭の季節なのだなあと思うからです。
歌は御神楽の秘曲、早歌がいいなあ。「星」の楽曲編成の中に感動するポイントがある。

Q 演奏するのが難しい曲は?(nanaさん)
「散手」ですね。序吹きは激しさも要求されるし、フリーリズムに近いのでなかなか難しい。案外、「越殿楽」を荘重にしっとり吹きあげるのは難しいものです。謡物では「御神楽」が相当に難しいが、やりごたえがある。 

Q 雅楽の曲は何曲ぐらいあるの? 
今、演奏しているのは、およそ百曲ぐらいです。謡物とよばれる催馬楽や朗詠などの歌曲を入れるともっと数が増えますし、それぞれの曲が序破急の構成に分かれているものもあるので、多く数えるともっとたくさんになります。雅楽の場合、文献でしかわからない伝承が絶えてしまった曲もあります。今演奏したり、聞いたりすることができる曲の中には、舞だけが絶えてしまったり、復曲したりしたものもあります。

Q 舞の練習はどんなふうにするの?(SFさん)
舞には左方の舞と右方の舞があります。左方の舞は笛の唱歌に合わせて舞を覚えます。右方の舞は「ン〜ン、テン、テエ〜ン」というようなリズムを口に出して歌い、それに合わせて舞を覚えます。ですから、雅楽の楽器 の演奏の基礎ができてはじめて、舞の稽古をはじめることができます。

Q 雅楽に譜面はあるの、どんな譜面なの?(yaさん)
カタカナで書かれた譜面と、音だけが書いてある譜面があります。覚え書きから発展したもので、明治以降はどの演奏団体でも似たようなものを使用しているようです。龍笛と篳篥はカナ譜の横に音律が記入してあるタイプのものを、笙は音そのものが記入されているタイプ(本譜)を一般的には使っています。歌物では、博士(はかせ)とよばれる音の変化を線で表すものもあります。雅楽の譜面はあくまでもベースになる覚え書きなので、その曲すべての情報が現れているわけではありません。先生から習う唱歌が基本になっています。

おん祭

Q 1日中のお祭で、楽人さんはお昼ごはんや夕食、何食べているの。?(Nさん)
精進潔斎(しょうじんけっさい)中なので、お肉の類はいっさいたべません。お旅所の脇に楽人を含む関係者が食事を取る長倉(ながくら)という場所があって、おばちゃんたちが常時炊き出してくださっています。そこでは、白いご飯 、豆腐の入った味噌汁、沢庵、ほうれん草、まめ、、塩昆布があって、これがたいへんおいしいのです。
神様をお祭りする日本の行事ではたいていそうですが、お祭のあと、直会(なおらえ)というのがあって、ご飯をいただきます。おん祭の場合には還幸の儀が終わるのが夜中をまわります。そこで、はじめて 「さかな」をいただきます。
おん祭の前も四足の動物は食べてはいけない。じゃあ、「蛸はだめなんですか」と神主さんに聞いたら、やっぱりだめなんだそうです。

Q 「おー」というけいひつの声が聞こえるかたまりの中はどうなっているの?(Nさん)
遷幸、還幸の儀で、榊で囲んである中には宮司さんがご神体を抱えて歩いておられます。そのご神体がなんであるかを詮索するのは絶対タブーです。といいますか、それは、誰も知らないのです。それをみるとばちがあたるといって、演奏している最中でもご神体が前を通るときは、頭をさげて演奏します。
日本の神様はおおらかでどんな願いも叶えてくれますが、タブーをおかすと、よく、たたるので注意!


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