哲っちゃんのハチロク日記 番外編

TIサーキット’初’体験記 その2
98/8/12発行

さあ、いよいよ走行の時間がやってきました。

私はサーキットに関してはドの付く素人なので、最初の3周ほどはリボルバーのにいちゃんが前を走って、ライン等を教えてくれることになりました。60台ほどいるので一番後ろからゆっくりと出ることにします。

初めてのサーキット走行、イメージトレーニングは数えられないほどしましたが、コースに出るのは初めてです。しかし今日の目標は、無事自走して帰るという極めて低いものであるため比較的落ち着いています。欲を言えば2分5秒くらいは出したいのですが・・・・

ヘルメットをかぶり4点式シートベルトをしてグローブを付け、マフラーからの爆音を聞いていると、さすがに気合が入ってきます。とうとうコースインの時間になりました。 ゆっくりとコースに出ると、運転席から見るコースは思っていた以上に広々としており、「かなり無茶をしても大丈夫かな?」という気分にさせられます。しかし、路面は少しだけ湿っており油断はできません。

せっかくラインを教えるために前を走ってくれているのに、私はどこを走るのも新鮮なため、「うぉー、すげえ!」と意味も無く感動しているためちっともラインなんか覚えていません。ゆっくり走っていましたが、あっという間に3周終わっていました。とりあえずなんとかコースだけは覚えられたようです。

3周終わったとたん、リボルバーのにいちゃんの走りが激変しました。メインストレート全開です。私も負けじとアクセルを床まで踏み込みました。エンジンはセッティングが決まっていないといっても、4.5AGである私の車の方が少し速いです。イエーイとばかりついていきました。しかし、それも1コーナーまで。コーナーに入った途端、あっという間にさようならでした。「置いていかないでくれぇ〜」って感じです。

しかし、私は初心者。公道でなら若葉マークです。気を取り直して自分のペースで走ることにしました。もともと突っ込みには自信があったので、それほど恐怖はありません。それどころか、峠では味わえなかった安心感があります。160〜170キロからのブレーキでもどーんとこい!って感じです。

ラインは相変わらずめちゃくちゃですが、少しずつペースが上がってきました。それに伴ってブレーキングもどんどんと奥にとるようになってきました。突っ込めばタイムが上がるとばかりに、いけいけ状態です。かなり挙動を乱しながらコーナーに入り、ボエ〜と冴えない音をさせて立ち上がっていきます。今思えば何やっとんねん!って感じですが、かなりいけてる気分で乗っていました。

とりあえず、挙動が乱れている間は、ステアリングを切らないように心がけて走っていたので、なんとかスピンやコースアウトはせずに走り続けています。

数周すると、1コーナーでは4〜5台の車が砂利と戯れています。「おっと、やばいやばい。慎重にいかなければ」と少し冷静になり、それでも相変わらず突っ込み重視の走りで楽しんでいました。暑いので汗だらだらですが気分は最高!です。かなりいいかげんなセッティングのままやってきたのですが、弱アンダーのいいセッティングになっていた(結果オーライ!)ようで、どんなに挙動が乱れようとも、全然スピンしません。フロントサスが少し柔らかいせいか、タイトなコーナーでは少しノーズが入り難いですが、それのほうが安心して踏んでいけます。とりあえず「絶対にステアリングはこじらない!」と肝に命じて走りました。

それにしても、高速コーナーは痺れます。まだまだ次元は低いですが、最終コーナー手前のコーナーで、3速全開で4輪がスライドし、それをコントロール出来たときは、「ウヒョー!!!!」と天にも昇る気分でした。これは公道では味わえないですね(少なくとも私は)。実はここは、全開のままで行くらしいのですが、びびりの私は進入で少しだけアクセルを戻してしまいますが・・・・それでも、少しだけ湿っているせいか滑りました。

まあ、1回目の走行ということで、1〜2コーナー、インフィールド、最終コーナー等飛んでいくとやばそうなところは無理をせず走り続け、気が付くとシグナルが赤に変わっていました。

1周のクールダウンをしピットに向かいます。想像以上の楽しさのため、30分間の走行がとても短く感じました。運動などは最近何もやっていないため、体力的にどうなることかと思いましたが、なんとかなっています。最高の気分のまま無事ピットに着きました。

その時です!フロントから突然バァ〜!っと煙が上がりました。

「エンジンがいったか?」と一瞬凍り付き、水温計に目をやります。水温は80度くらいを差しており、「どしたん?何かあったん?」と言うような顔をしています。少なくとも私にはそう見えました。油圧計も2キロくらいを差しており、「どしたん?」と言っていました。しかし煙は出続けています。積車に積まれて帰るハチロクが頭をよぎりました。

「なんや?なんや?エンジンか?」とピットにいた兄ちゃん達もでてきました。ピットに車を入れて、ボンネットを開けます。エンジンは普通にアイドリングを続けていますが、下の方から煙もモクモクと出続けています。エンジンを切り途方に暮れていると、誰かが「ブレーキちゃうか?」と言いました。とりあえず煙は止まったようです。

「ブレーキ?」と足回りを見ると、赤かったはずのウィンマックスのブレーキパッドが何故か真っ黒になっており塗装がめくれています。ブレーキであることを願って急いで外すことにしました。しかし、熱いのなんのって!軍手をしていても長時間は触れません。何とか外したブレーキパッドを見て、目が点になりました。「なにこれ?」パッド面が炭みたいになってポロポロと崩れており、しかもひびまで入っています。「ブレーキパッドってこんなんなるの?」って感じです。サーキット走行がブレーキにとってここまでハードだとは思いませんでした。確かに1周で3回くらい160〜170キロからのブレーキングがありますが、それほど激しくフィーリングが変わらなかったため、気が付きませんでした。ストリートパッドじゃ駄目なんですね。とりあえず飛んでいかなくて良かったです。

しかし、これはもう使えません。「どうしよう・・・」とまたまた途方に暮れていると、リボルバーからレースに出ているにいちゃんが、「レースじゃもう使えんけど、半分くらい残ってるからこれあげるわ」と、私から見たらバリ残りのオリジナルブレーキパッドをくれました。私には彼が神様のようにみえました。「ええの?ありがとう!ほんまめっちゃうれしい!」とお礼を言い、「げっ、あと15分くらいしかないやん」と次の走行に向けて、急いで交換作業に取り掛かりました。

交換しながら、タイムを計ってくれていたしにょにょめに「どのくらいで走ってた?」と聞くと、「速いときで2分9秒くらいかなぁ」という答えが返ってきました。
「なにい、9秒?まあそんなもんかなぁ。よし!慣れてきたし、パッドも変わったし、次はもう少し頑張ってみよう!」

つづく

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