ブラッドフィールド彗星


 2004年3月下旬にオーストラリアのコメットハンター、W.A.Bradfield氏が眼視観測によって発見した彗星が「ブラッドフィールド彗星」です。
 4月に入ってSOHO(太陽観測衛星)により増光が確認され、話題に上りました。4月下旬には、リニア彗星と並んで明け方の東空に顔を見せるようになり、その雄大な尾で天文ファンを魅了してくれています。これからは光度は落ちていく一方ですが、地平線高度は上がっていきます。5月上旬には、アンドロメダ大銀河に接近する見込みですので、もうしばらくは目を離せない彗星です。
Bradfield Comet
雄大な尾をなびかせて東空に現れたブラッドフィールド彗星

 薄明中と低空のため、露出時間の選定が難しかったのですが、透明度と空の明るさを勘案して7分弱の露出で撮影しました。当初使用予定だったプロビア400Fを抜き、使い慣れたE200を使ったのも良かったようで、適正な露光量のポジを得ることができました。
 Web上ではわかりにくいですが、ポジ原板を見ると、尾に微妙な筋状の模様が認められました。ヘールボップ彗星のシンクロニックバンドのようにも見えます。

撮影条件
NFD400mmF2.8+ペンタ67にて撮影
EM-200赤道儀 BORG76ED+STVにて彗星核追尾
露出7分 エクタロームE200(+1増感) 2004年4月29日撮影


天空を駆けるブラッドフィールド彗星
D100で撮影したブラッドフィールド彗星

 彗星が見えたので急いで撮影した写真です。久しぶりにD100を使ってみました。手持ちの中で一番明るいレンズ「AFNikkor85mm」をD100につけて、夢中で撮った一枚です。急いでいたので、構図が斜めに傾いてしまいましたが「案外面白いかな?」と思っています(笑)。D100でも短時間露出なら、それほどノイズも気にならずに綺麗に撮れます。思い切って絞り開放で撮ったのが、好結果につながったのかも、と思っています。

撮影条件
AFNikkor85mmF1.8(絞り開放)+NikonD100にて撮影
EM-200赤道儀 BORG76ED+STVにて彗星核追尾
露出50秒 2004年4月29日撮影


M31とブラッドフィールド
アンドロメダ大銀河とブラッドフィールド彗星

 彗星の左上にM31(アンドロメダ大銀河)が見えていたので、一緒に写し込んだ作品です。ブラッドフィールド彗星の雄大な尾の長さがよくわかる写真になりました。アンドロメダ大銀河の広がりが、満月近くあることを考えると、彗星の尾がどれだけ長大だったかよくわかります。
 それにしてもデジタル一眼の威力は素晴らしいです。銀塩ですとチャンスは一回限り。時間が限られている天体には、デジ一眼は絶大な威力を発揮してくれそうです。

撮影条件
AFNikkor85mmF1.8(絞り開放)+NikonD100にて撮影
EM-200赤道儀 BORG76ED+STVにて恒星時追尾
露出40秒 2004年4月29日撮影


 彗星には、とんと縁がなかった私。この日も「無理かなぁ」と思っていただけに、双眼鏡で見つけたときの喜びはとても大きなものでした。不安だった銀塩写真もよい結果を得ることができ、とても貴重な思い出になりました。ブラッドフィールドさんに「ありがとう」と言いたい気分です(笑)。今度はリニア彗星とニート彗星です。両彗星もブラッドフィールドくらいの尾を見せてほしいものです。

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