かぞくしんぶん「あさま」  
   040号 2002年11月9日 (土)   
 

<熱海>


2日から4日の連休は熱海学舎に行き温泉にどっぷり浸かった。料理もビールを飲みながら出される海鮮料理がおいしくてつい食べすぎ苦しかった。
熱海と言えば伊豆、伊豆といえば踊子、踊子と言えば天城峠ということで、川端康成の「伊豆の踊子」、あるいは、松本清張の「天城越え」の旧天城トンネルまで足をのばすことにした。伊東線に乗ると、秋の日に照りかえる海の向こうに伊豆大島がずっとついてきた。河津温泉で下車。温度も上がったが空も明るくなった気がした。駅前のタクシーに2時間半で15,000円コースをお願いした。これでよくばって、旧天城トンネル〜河津七滝〜文学碑めぐりをしようとした。
寒天橋にタクシーを停め、トンネルまで往復した。旧街道は地道のままで、木の香りがいっぱい漂い、ひんやりとした空気を胸いっぱい吸うだけでも幸せな気分になった。しかしトンネルは思ったより長く陰気だった。「伊豆の踊子」の明るくてさわやかなイメージよりも、「天城越え」の暗くて重苦しい雰囲気の方が似合うトンネルだった。ここで時間を取ったので、七滝は大滝一つにしぼった。地震対策に造った東日本一の2重ループ橋をぬけたところの温泉旅館の横から降りていった。滝までに露天風呂が道の両側にあり、腰にタオルだけ巻きつけた裸の客がうろうろしていたがちょっと寒そうだった。最後に伊豆の踊り子文学碑を見て、福田屋を見学。川端康成が愛した2階の部屋は今も泊まれるようになっていて、川の流れの音がたえず聞こえた。
「河津町ではどの家も温泉をひいている。また2メートルくらいのパイプを土手に突き刺しておくと14度の水が一年中こんこんと湧き出してくる。夏は冷たく冬は暖かい。水道代は基本料だけ。魚はうまいし野菜は近所から手に入る。米と味噌があれば生活できる所ですよ。」との話し。おまけに気候は京都と反対で、夏は海風で涼しく冬はあたたかい。ついでに「リュウマチに効く温泉がありませんか。」と聞くと、「ありますよ。駅から車で30分の所に観音温泉というのがあって、はいると 皮膚がピリピリする。たぶん強アルカリ温泉かな。お客さんも今度はもっとゆっくり来られたらどうですか。」
4日は富士山がくっきり見えた。せっかく来たのだからこの機会を逃すのは惜しい。秋祭りの富士宮からバスで白糸の滝をたずねた。虹のかかる滝と富士山を楽しむことができた。
京都に帰ると冷たい風が吹いてもう冬。今年の短い秋は終わっていた。

旧天城トンネル

白糸の滝


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