Audio BOX (汎用オペアンプ版)

最終更新日:2010年1月9日

 アンテナと同じくらい大事にしている自作品です。色んなヘッドホンでBCLの受信をしておりますと、ヘッドホンごとに音響特性が違っていて聞き辛いヘッドホンもあるでしょうし、受信状況によってはビートノイズがあったりするでしょう。そのような場合に、Audio BOXは大活躍をしてくれます。自分の好きな音にして、BCL受信を行う事ができます。
 以前、三洋製のLA3600というグライコ専用ICを用いたAudio BOXの製作を行いましたが、既にこのICはディスコン(生産中止)になっており、より多くの方々にこのAudio BOXをお作りいただけるように、入手が容易な汎用オペアンプのみで以前のAudio BOXと全く同じ性能が出るものにしました。逆に、汎用オペアンプで製作しましたので、例えば電気の知識のある方であれば、グライコのバンド数をこの製作例では5点としていますが、これを増やしたり、減らしたりも可能となりました。とにかく、良いBCLグッズは、より多くの皆さんに作っていただき喜んでいただきたいという一心での製作記事です。

1.Audio BOXとは?
 日頃通信型受信機の音が、「硬い」と感じていらっしゃる方も多いかと存じます。あるいは、HiFiのヘッドホンでBCLの音を聴くと高音はシャーシャー言うし、低音はモゴモゴ言うし邪魔だなと言うように思われている方も多いのではないでしょうか?
 この、Audio BOXは5点グラフィックイコライザにより、自分の好みの音に受信音を加工できます。かなり効果があります。また、ノッチフィルターも内蔵しており、ビート音の除去も可能です。このノッチフィルターは50Hz〜5kHzの周波数の可変ができ、Q(除去周波数幅)も2〜30まで、それぞれ独立して変えられる為、非常に使い勝手が良いばかりか、ノッチでビート除去を行っている場合の受信音に与える影響を最小限に抑えることができます。
 最後に、ヘッドホンアンプを入れており、好みの音量で聞くことができるようにしました。なお、入力は受信機のヘッドホン端子から取ります。通常は、本Audio BOXの音量調整ボリュームは固定しておき、通信機側のボリュームを使って音量調整をされるといいでしょう。

(注意)今回の、AudioBOXについては実体配線図は体力的に製作&UP不可能なため、腕に自信がある方のみ以下の回路図と部品表をご覧になってご自身の責任でお作りください。

2.回路図

 
 J1:受信機のヘッドホン端子より音声を入力する端子
 J2:ステレオヘッドホンを接続するAUDIO OUTの端子
 VR1:音量調整ボリューム、VR5:ノッチフィルターのノッチ周波数調整ボリューム
 VR2:ノッチフィルターの帯域幅(Q)調整ボリューム
 VR3:100Hz中心のイコライジング、VR4:250Hz中心のイコライジング
 VR6:633Hz中心のイコライジング、VR7:1.6kHz中心のイコライジング
 VR8:4kHz中心のイコライジング

 オペアンプには、パーツ店で非常に安価で、かつ入手が容易な新日本無線のNJM4558Dをパラメトリックイコライザとグラフィクイコライザー用に使用しました。また、ヘッドホンアンプには、大電流出力が可能な、新日本無線のNJM4580Dを使用しております。これらのオペアンプは、大阪では、日本橋のシリコンハウス、デジット、マルツ、千石通商、パーツランド等、ほぼ全部のパーツ店で入手可能です。
 電源は、12V200mA程度のACアダプターを使用します。ΔLOOP7で使用したのと同じもので結構です。

3.製作時の注意事項
(1)VR5について
 VR5は100kΩのAカーブの2連ボリュームを使用しました。これは、高い周波数(1kHz〜5kHz)でのノッチ操作をしやすくするためです。本来はCカーブにしたかったのですが、現在市販されておりませんので、Aカーブを反対に使います。よって、感覚とちょっと違いますが、反時計方向回しきりで一番高い周波数(5kHz)となりますが、操作性を重視しました。
(2)VR2について
 VR2は、ノッチのQの調整用です。ビートを落とす幅を決定します。このVRの調整のコツは、まずQを落として(抵抗値の大きい方にする)幅を広げてノッチでビートが落ちる所に上記VR5を調整します。その後、VR2によりQを上げる(VRの抵抗値を落とす)と急峻なノッチとなり、受信音に与える影響を抑えることができます。
(3)VRT1の調整方法
 今回用いたノッチフィルターの回路は、「パラメトリックイコライザー」といわれるもので、ノッチ特性の他、バンドパス、ローパス、ハイパスフィルターの特性も回路の小変更で可能です。このうち、VRT1を回すとバンド強調〜バンド除去(ノッチ)に変化させることができます。AM放送を受信しながら、SSBモードにして同調をずらしてビートを発生させ、これが落ちるのがノッチです。このノッチ特性にVRT1を置いておき、上記VR2&VR5により、ビートが落ちるように調整します。しかし、VRT1の調整が悪いといくら調整してもビートが残ります。よって、VR2&VR5の調整でのベストポイントで、半固定のVRT1を回してビートが完全になくなるように調整をします。1kHzくらいのビートで1回調整すればOKです。
なお、調整中にバンド強調に行った場合に発振をすることがありますので、あまり調整中に音量を上げすぎないように注意しましょう。

(4)製作過程
 ・まず最初にユニバーサル基板に部品を実装して、裏面の配線を行います。
  今回の製作では各オペアンプにはICソケットを使用して、色んなオペアンプによる違いを確認しましたが実際の製作においては、ICソケットを用いる必要はございません。
 
 
 ・次にケース加工をします。穴をあけてバリを取り、各部品を取り付けていきます。
 

 ・次にケースに取り付けたスイッチやボリュームと基板の間の配線を行います。
  色をきちんと分けておくと、間違いもなくスムーズに作業ができます。
 
 
 ・基板をケースに取り付け終えて、ボリュームやスイッチに配線が終わった状態。
 

4.外観
 新旧の比較です。左側が専用ICを用いたAudio BOX、右側が汎用オペアンプで製作したAudio BOXです。性能も一緒で、つまみの配置もほぼ同じになっています。
 一番上の5個並んでいる小さいつまみが、グライコ用、左から100Hz、250Hz、633Hz、1.6kHz、4kHzと並んでいます。その下の中くらいのVR2個が、ノッチフィルター用で、左側がQ、右側が周波数調整用、右下の一番大きいVRつまみが音量調整です。また、下のスイッチが電源で、上のスイッチがノッチフィルターON/OFFです。電源ONを表示するLEDは、今回は「黄色」を使用しました。
 

5.部品表
 
 以上、良い音でBCLの音を聴きますと、ID等も取りやすいです。ぜひ製作をお勧めいたします。なお、製作については皆様ご自身の責任で行ってください。製作によって生じたいかなる問題も、当方は責任を負うものではございません。

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