[水質]

14.水質変化(4)

重要なバランス
 
ここまでで水草水槽を実践していく上では様々な要因によって水質が変化してしまう、と言うことが分かって頂けたと思います。
「こんなにややこしいんなら、私には無理だぁーー!」なんて言わないで下さいね。
要点は簡単で、我が家の水道の蛇口から出てくる水の基本的な水質と、水槽をセットするときにどのような底床にするか、そして水を入れた後に我が家の水槽の水質がどのように変化しているかが分かればそれだけで一生アクアリウムを楽しむことが出来るのです。
 
どこかのホームページで「アクアリウムは最も難しいロールプレイングゲーム」と言うのがありました。
その理由はこのゲームが段々と先に進むごとに難しくなるのではなくて、始まりの部分、入り口が最も難しいからだそうです。
そりぁーそうですよね、私が今まで書いてきたようなことを始めから知っていてアクアリウムに入ってくる方は皆無でしよう。
しかし、入り口でつまずきこのページにめぐり合った方々にとってはその問題解決の糸口がつかめるはずです。
水質検査試薬につぎ込むお金は決して無駄にはなりません。そこで得られたデーターは生涯あなたの見方になってくれます。
 
話を元に戻して、ではどのようにしたら良好な状態の水質を維持してアクアリウムを楽しめるのでしょうか?
前述したように我が家の水道水を使用した水槽の水質と床によってその基本になる水質が決定します。
COを強制添加すれば、その状態で水質を測定すればそれで把握できます。
ですからこの基本的な水質を変化させる要因を限定すればいいのです。
水草は水質を浄化してくれるわけですからこれではありません。濾過バクテリアは?これも水質を浄化するために設置しているのです。
となると・・・・原因はどうやら飼育する生体にあるようです。
「どのような生体をどれぐらいの数、飼育するのか」、これが最大のポイントです。
水草水槽の場合には水草に害を及ぼすような生体は飼育できませんから、おのずとカラシン系かボララスなどの種類の小魚系になります。
中には水草水槽でディスカスなどを飼育しておられる方もいらっしゃるとは思いますが、ここではごく一般的な事例として考えます。
 
水槽で飼育する小魚には当然餌を与えます。
この小魚は生理代謝によって老廃物やアンモニア、そして呼吸により炭酸ガスを排出します。
炭酸ガスは強制添加するぐらいですから問題ないとして、問題は老廃物とアンモニアにあるようです。
おっと、ここで大事なことを忘れていました。餌の問題です。
 
どのような餌をどのくらい与えるかによって水質に与える影響はずいぶんと変わってくるようです。
餌って言うのは結構水質を悪くするんですよ・・・・・。
ですから必要以上に与えたり、あまり粗悪な餌ばかりを使用していると、水質にもたらす影響は非常に大きくなります。
与える餌の種類や量は、それこそ飼育する生体によって違ってきますから購入されるショップで良く聞いておくことが大切です。
そして控えめに与えるのが原則です。
ついつい、自分が気に入って購入してきたお魚ですからたくさん与えてしまいがちになるのが人情ってもんです。
しかも、餌を与えることしか、これと言ってお世話して上げることもできません。
でもここは心を鬼にしなくては成りません。
餌をたくさん与えたいのは山々ですが、そうすることによって後々結果としてひき起こる水質の悪化は大切なお魚を苦しめることとなるわけですから、餌を控えることがお世話することだと考えましょう。 (なんか変ですね・・・・)
水槽をふらりふらりと泳いでいるのか、漂っているのか分からない肥満体のネオンテトラは見た目にかわいそうです・・・・。
(家にもいるんだよなぁ・・・)
さらに食べ残した餌などは、ある程度は底床内のバクテリアによって分解されたり、水草の栄養素として取り入れられていますが、大部分は油膜を発生させたりして水質を悪化させるだけです。
出来れば、我が家のお魚にはどれぐらいの量が最適かを硝酸濃度を測定しながらグラム単位で決定することも良いと思います。
「どれぐらいの量を与えていたら5日後に硝酸濃度がいくつになる」を測定して、今度は与える餌の量を倍にしてみるとか半分にしてみて測定するとある程度目安になる比較が出来ると思います。
テ゜ィスカス愛好者の方々は、そのおおせいな食欲に惑わされることなく、1日の与えるハンバーグの量を正確に決めておられるそうです。
硝酸濃度の蓄積を押さえるためや水換えをさぼるために餌の量を調整するのではなく、お魚を良好な状態に保つために餌の量を決定しましょう。
ですから、2〜3日ですぐに硝酸濃度が高くなってしまうような場合はまず餌の与えすぎです。(以前からの硝酸の蓄積があって1回の水換えによっても さほど改善されていないような場合はすぐに硝酸濃度が上がってしまうことがあります。)
 
また、水草が吸収しきれない余分な栄養素や硝酸は水槽内の富栄養化を引き起こし、コケの発生を引き起こします。
その様な状態が長く続くと必ずコケの大発生となり、水草を覆い尽くし水槽崩壊という悲劇につながります。
コケをいくら除去しても、水草をいくら新しいものに変えても、コケに効くと言われるいかがわしい商品をいくら使ってもその基本となる水槽の水質の環境が変わらない限り、いつまでたっても同じ事の繰り返しになります。
 
これに関連して飼育するお魚の数が最大の問題です。
「どのぐらいの水槽で何匹ぐらいが適正か」、と言うような質問は良くあるようですが、これには一概に答えられません。
だって、どれくらいの餌を与えているのか、どのような水草をどれぐらい植えているのか、どれぐらいの濾過能力のある濾過装置を用いているのかが分からないからです。
濾過装置の容量によって濾材の量が決まりますし、その濾過能力が決まってきます。
大容量の濾過器を用いて、しかも水中の栄養素を盛んに吸収する水草が密植されているような水槽では、少々の過密な飼育(魚の生育や発色には良くないでしようが)や餌の与え過ぎでもさしたる影響が出ないこともあります。
逆に濾過能力の低い濾過器や濾材に問題がある場合や目詰まりを起こしている場合などでは、少しのお魚しか飼育していなくても硝酸がすぐに蓄積してしまう以前に、アンモニアや亜硝酸が検出されたりしてしまいます。(詳しくは濾過の項で記述します。)
ですから、我が家の水槽では・・・・・・と言うことになってしまうのです。
 
上手によい状態を維持するためにはこれらの要素のバランスが最も重要なのです。
基本になる水質(どんな水でどんな床底でどのような水草を植栽していて、CO2をどのくらい添加して照明時間は・・・という条件での水質)において、どのような濾過装置を用いてどのようなお魚を何匹飼育するのか?このことによって全てが決まってくるのです。
まずは少な目のお魚の数で様子を見て、余裕があることを確かめながら増やしていく、むやみやたらに繁殖などを助長して増やさない、増やしたいときは必ず水槽の増設を視野に入れた上で行うようにすれば、うまく維持していけるのではないでしょうか?
そしてキーポイントは「餌を与えすぎない。」です。

まとめ

以上、長々と書いてしまいましたが、このようにある程度の水質を知るだけで多くの問題を解決できたり、間違ったことをしなくなるはずです。
具体的に言いたいことは、このようにちょっとしたことで水槽水の水質は変化する、と言うことです。
そして、水草水槽において最大の敵であるコケの大発生も水槽内の富栄養化という水質の変化によって引き起こるものです。
この様な水質の変化を最小限の幅にするために水換えなどの維持管理をしていくのです。
特別な添加剤を用いなくても、このように非常に複雑にいろいろな要因が絡み合って変化してくるのですから、このような状況の水槽に訳の分からない添加剤やあれやこれやと言った添加剤、または水草用の添加栄養素を何種類も使用していたらどうなるのでしようか?
水質は人間の目では見えません。
いろいろな添加剤を気が向いたときに、適当にどれか1つをワンプッシュしているだけならさしたる影響もないかも知れませんが、毎日これとこれを入れて何日おきにこれとこれを入れて、コケが出てきたからこれを入れてみよう・・・なんてやっていたらどうやって水質を把握し維持して行けるでしょうか?
たまたま順調にいっていても必ずその添加剤を入れなければならないような状況を偶然に作っていただけかも知れません。
また、その様ないくつもの添加剤を使い続けることでしかその時の状態をキープできなくなります。
状態が良いと思っていても、たまたま、何かの偶然でうまく行っているように思っているだけかも知れません。
ですから、「出来るだけ単純な方法で管理維持していく」のがアクアリウムにおける「秘訣」なのです。
 
さぁ、ホームセンターのアクアリウムコーナーやちょっと大きめのショップで素晴らしいキャッチコピーがずらりと並んだコーナーの前にたってみましょう。あなたはどれを購入しますか?・・・・・・・・・・・