[水質]

13.水質変化(3)

<エアレーションによる水質の変化>

さてさて、COを添加するとどういうことになるかまでとりあえず進んできました。
しかし、水草の育成やペーハーを低下させたいが為に止めどなく大量に添加していたらどうなるでしょうか?
答は簡単です、炭酸ソーダ水を作ることとなります・・・・・。(ちょっと大げさか!)
何事も、ほどほどに、そして適量でなくては行けません。
COの強制添加は水草が必要とする量で十分です。
水草が必要とする量は、その水草により違ってくるので一概には言えませんが、総じてたいがいの水草はCOの溶存濃度が10〜15mg/lぐらいあれば十分だと思います。
COの強制添加において添加するその気泡を数えるためにバブルカウンターやグラスカウンターという物を使用します。
これらの物は発売元各社によって1つの気泡の大きさが異なりますので、1秒に何滴と言うような理解の仕方では大きな違いが生じてしまいます。使用に当たっては良く説明書を読んで対応するようにして下さい。
間違いないのは水槽水の溶存二酸化炭素濃度を測定することです。
 
こんな事を仰る方がいます。「水草水槽では添加したCOを水草が光合成によって使用し酸素を出すんだからいくら添加しても大丈夫」と・・・。
これはかなり荒っぽい言い方です。
実際、十分な光量があれば水草は盛んに酸素(空気)を出します。リシアの気泡はあまりにも有名で見るもの全ての目を奪います。
しかし、だからといって強制添加したCOを全て使用するわけではなく、その水草が必要とする量しか消費しません。
過剰に添加されたCOはそのまま水槽内に残ることとなります。
炭酸ガスは水面からも幾分、放散されていきます。
当然夜間消灯する場合には光が無くなりますから光合成は行えません。よってCOも消費されません。
と言っても、水草は24時間光があれば光合成するわけではなく、生き物と同じように起きている時間と眠ってしまう時間とがあるのです。
よーく水草の頂芽の部分を観察していますとめいっぱい広がっているとき(起きているとき)とすぼんでしまっているとき(眠っているとき)があることが確認できます。
アマゾンソードのような葉っぱだけの水草でも、全体が広がっているときとしぼんでいるときがあるのが分かります。
水草の体内時計はかなり正確で決まった時間に照明をつけて、決まった時間に照明を消している習慣を続けていると、たまたま照明を消すのを忘れていたときにでも、いつも消している時間になるとちゃんと眠っているようです。
 
水草は起きているときはCOを取り入れて光合成を行い酸素(空気)を出しますが、眠っているときには逆に酸素を取り入れて呼吸し二酸化炭素を排出しています。
それよりも生体は常に酸素を取り入れ呼吸し、COを排出しています。
また、生物濾過のバクテリアも酸素を取り入れアンモニアなどを酸化させています。(硝化作用です)
と言うことは24時間COの強制添加を行っていれば必然的に酸欠状態になり酸素を必要とする生体を始めバクテリアまでも死滅させてしまうこともあります。
水槽内が一面リシアでたくさくの酸素(空気)を気泡として付けている場合などは特別として、通常ではCOの添加は水草が光合成を終えようとする(眠ろうとする)少し前までにするのが通常です。
そして今度は夜間の酸素量を確保するためと、余分なCOを放散させる目的でエアレーションを行います。
エアレーションを行う目的はそれだけではなく、水面に発生する油膜の解消や防止にも効果があります。
油膜が発生する原因は特定できませんが、与えている餌からの油分や死んでしまった生体からのもの、または世代交代したバクテリアなどの死骸だとも言われています。
 
COは水に溶けやすいのですが、酸素はさほど水に溶けやすくはなく、エアレーションをしたからと言って大量の酸素が水中に取り込まれるわけではありません。
酸素の供給と言った目的では夜間に酸欠にならない程度の量と考えるのが妥当で(生体の代謝も夜間にはあまりありません、と言うよりお魚も眠りますからね・・・。)本来の目的は水槽水の撹拌にあるようです。
エアレーションによって水槽水が撹拌されることによって余分な炭酸ガスは水面より放散され無くなっていきます。
そうなれば、水槽水も炭酸ガスを添加する以前の状態に戻ってきますから、ペーハーは低下した分だけ上昇すると言うことになります。
 
このようなことから1日の間でもペーハーは低下したり上昇したりしていることとなります。
弱酸性の安定した水質とは、常に一定のペーハーであることをさして言うのではなく一定の幅を持ったペーハーの水質のことをさして言うのです。しかし、その幅は大きくても0.5程度のものであります。
 
以上のようなことから夜間消灯時におけるエアレーションはとても重要で、例え水草が酸素(空気)を出すからと言ってもおろそかに出来ない事です。
また、エアレーションを行うことによっても水質(ペーハー)が変化します。
余談ですが、汲み置きした水道水にエアレーションをしていますとペーハーが少し上昇します。
これは水道水に含まれる炭酸ガスが撹拌によってとばされてしまったために起こることで、このことからも水道水にも炭酸ガスが含まれていることが分かります。