これらはクロムとマンガンの最高酸化物であり、水に溶けやすい性質を持ち、その水溶液は酸性を示します。
よって、このような酸化剤投入後、ペーハーが酸性に傾いてしまうと言う現象を引き起こします。
酸化バクテリアによるアンモニアや亜硝酸の酸化過程は前項で記述しましたが、その酸化バクテリアの代わりに、酸化剤の持つ酸素分子が酸化作用を引き起こします。
マンガン酸イオンを例にとって化学式を用いますと、
NH4−(アンモニウムイオン)+MnO4−→Mn++NO2−(亜硝酸イオン)+2H2O
と言うような反応でアンモニウムイオンを亜硝酸に酸化させると思われます。(アンモニアは水溶液中で、電離(水素結合)し、アンモニウムイオンと水酸イオンになります。NH3+H2O→NH4++OH−)
また、亜硝酸イオンは
2NO2−(亜硝酸イオン)+MnO4−→Mn++2NO3−(硝酸イオン)+O2
と言うような反応式によって硝酸イオンとなるようです。
一連のアンモニアが硝酸イオンにまで酸化される過程を記述しますと
NH3(アンモニア)+MnO4→Mn++NO3−(硝酸イオン)+H2O+H+
となるようです。
(専門的な反応式などは、私も考えられませんので、いずれも簡単な反応式で考えてみました。ご了承下さい。)
このようなことから市販されている酸化剤を用いたと見られる溶液タイプの「ぴかぴかの水になる」とか「濾過が出来る」などと書かれているようなものがあれば、おそらく(あくまで私の想像の範囲ですが)過マンガン酸カリウムなどを用いたものである可能性が高いのではないか、と思います。
水草水槽では弱酸性の軟水というのが基本となっています。
これらの強烈な酸化剤は、いずれも酸性溶液中で、その酸化力を大いに発揮します。
万が一、投入量を消費するだけのアンモニアや、亜硝酸などがない水槽に投入したとすれば、確実に、しかも急激にペーハーを落としてしまうことは言うまでもなく、しかも、水槽水の中には様々な物質が存在していますから、
どのような物質とどのように反応するのか、酸化させるのかは、全く予想できないことになってしまいます。
ひょっとしたら生体に対して毒性の強い物質を生成しかねるかも知れません。
要するにその酸化剤の使用方法が難しく、かなりの知識や経験のあるベテランの方でない限り、使いこなすことは非常に難しいのです。
また、酸化剤にはその酸化力に違いはあれ、多くの種類があります。(過酸化水素や希硝酸、塩素、二酸化硫黄、次亜鉛素酸など)
何一つ成分表示のない添加剤を用いて濾過をしようとすることは、あまりにも無謀と言わざるを得ません。
さらに、なにがしらの凝集剤などが含まれていれば、まさに水槽内での実験に他なりません。
凝集剤はさほどゴミなどの不純物のない水槽水に投入すると、凝集するものが無く水槽内を漂うこととなります。
このような物質が生体のエラなどに付着すればまさに窒息死を促すこととなります。
微塵なゴミなどは水換えを何度か繰り返すうちに必ず無くなってきます。
夏場以外は水槽にふたをしているでしょうから、さほどほこりも入らないでしょう。
このような添加剤を使用しなくても、必ず水はピカピカになります。
これは多くのベテランアクアリストに聞けば必ずそう仰るはずです。
多くの方が結果を焦っているように思えます。ゆっくり行こうではありませんか!それが最も安全なのですから・・・。
以上のような理由から、わたしはこのような酸化剤を用いたものを濾過とは呼びたくないのです。
水槽内はビーカーではありません。私達は大切な生体とバクテリア、そして水草を飼育しているのですから・・・。