[濾過]

15.濾過の基本(1)

濾過とはみなさんどのように位置づけておられるのでしようか?
アクアリウムにおける濾過の意味するところとは・・・、ズバリ、アクアリウムにおける「心臓部」です。
我々人間だって心臓に何か問題があればただごとではないですよね・・・。
同じように水質を重んじるアクアリウムにおいても濾過に問題があればただごとではなくなるのです。
それでは濾過について一緒に勉強しましょう!
 
アクアリウム、ここでは「水草水槽」における濾過には、その特性から外部密閉式の濾過器が一般的となっています。
しかし、どのような濾過器でも基本は同じだと思いますので、外部式を例にとって記述いたしますが、それぞれの濾過器のタイプに置き換えて考えて頂ければよいかと思います。
濾過には3つのタイプがあり、3つの基本があります。それではそのおのおのについて簡単に説明していくことにしましょう。

1.物理濾過

これはみなさんご存じのように物理的に水槽内のゴミを濾し取る役目を担う濾過のことを言います。
吸水パイプへ吸い込まれる目に見えるような水槽内のゴミ(枯れてしまった葉っぱや溶けかけたものなど様々ですが)を取り除く役目です。
しかし、水槽内の水質にとっては目に見えるようなゴミはほとんど問題ないのかも知れません。
しかし、見た目にはゴミがいっぱいある水景はお世辞にも「綺麗・・・」とは言えない物ですからあってしかるべきです。
しかし本来の目的はその先にある水質を浄化してくれる濾材に影響が出ないようにするためのものだと理解した方が正解でしょう。
後述する生物濾過には水質を浄化するためにバクテリアの力を借ります。
このバクテリアの住みかとなる表面積の多い濾材が、ゴミなどによって覆われたり、目詰まりを起こすような状態には出来ません。
その様な意味から濾過においてはまず、水質を浄化する上で一番始めに通過する部分がこの物理濾過でなくては成らないのです。
ただし、役目が役目ですからその濾材の量は全体の1/3以下で十分なはずです。

2.化学的濾過

<吸着物質による濾過>

水槽セット初期の生物濾過が出来上がっていない時などに使用される、活性炭などの濾材を使用した濾過のことです。
要するに、化学的に吸着効果のある物質を使用して水槽内の有害物質を除去しようと言うものです。
吸着効果のある物質の代表格は活性炭で、その他にはゼオライトと呼ばれる物もあります。
よく猫のトイレの砂などと言って販売されている物に多く含まれています。
これらの濾材については事項で詳しく記述しますが、その吸着効果には有効期限があり、いつまでも使用できる物ではありません。
ですから、吸着物質による濾過によって水質を浄化するには定期的な濾材の交換が必要になってきます。
それ故に生物濾過のバクテリアがまだ十分に繁殖していない時期において、バクテリアの代わりとして使用するのが一般的ですが、吸着しなくても良いものまで吸着したり、その吸着効果があまりにも短期間であるなどの欠点は良く理解しておく必要があるでしょう。

<酸化剤投与による化学反応濾過>

これも次項でもう少し詳しく記述しますが、酸化作用の非常に強い物質を水槽内に投入し化学反応を起こさせてアンモニアや亜硝酸などの有害物質、または不純物を除去(または非有害物質に変える)しようとするものだと思います。
しかしながら投入した物質とそれによって反応して出来た物質は水槽内に必ず残ります。
このことだけは必ず頭に入れておかなくては成りません。
よく市販されている、「すぐに水がぴかぴかになる・・・・」何て言うキャッチコピーで販売されているものや投入後ペーハーが酸性に傾くようなものは、おそらくこのような物質を用いたものであろうと思われます。
吸着物質による濾過にはある程度時間が必要ですが、このような酸化剤を用いたものは即効性があるのが特長で、目に見えて綺麗になるのが最大のメリットのようです。
しかしながらアクア業界の悪しき習慣でこれらの薬剤の成分や起こりうる化学反応は、一切公表されていませんので、使用に当たっては最大の注意が必要です。