[濾過]

24.濾過器のメンテナンス(1)

さてこの項では、どのようにして良好な濾過システムを維持していけばよいのかを考えていきます。

まずは濾過が出来上がっているのか、良好な状態なのか、を判断します。
水質試薬によってアンモニアと亜硝酸の値に問題なければ「我が家の濾過は出来上がった」=「硝化バクテリアが定着し、機能している」、と言うことになります。
濾過がちゃんと機能していれば、後は硝酸イオン濃度が問題になるだけですから、これでアクアリウムを始める上での最も困難なハードルを越えたと思っても良いでしょう。
 
次に考えなければいけないことは、先の項でも記述しましたように、どのような生体をどのくらいの数、そしてどのような餌をどのくらい与えるのか?です。
とは言っても、始めからその様なことを考えてアクアリウムを始められる方はいないでしょうから、結果として出来てしまった環境を維持するために、水換えのペースを考えることにしましょう。
 
コケの発生と言うことを無視した場合、水換えの目安は硝酸イオンの蓄積度合いです。
ADAの試薬とテトラの試薬が一般的ですが、両者ではその表値がちがいます。(硝酸イオン濃度と硝酸塩濃度)どちらの試薬を使用するにしても、パッケージの識別表や説明書の記述にしたがって判断すればいいことです。
ただし、その流通量と店頭での回転率の関係なのか、かなり古い物が店頭に並んでいたり、有効期限があるのかどうかは知りませんが、正しく測定できなかったものもあるようですので出来るだけ新しそうな物を購入して下さい。
それとは別に、そもそも、硝酸イオン濃度と硝酸塩濃度とは別のものです。
硝酸は土壌を対照とした場合には「硝酸塩」と言う形で存在している為に硝酸塩濃度というように表現されていますが、水溶液では硝酸イオンという形で存在するわけで、水槽水の中の硝酸塩濃度を測定したからと言って、硝酸イオン濃度が分かるわけではありません。
言い替えれば、水に硝酸塩を溶かせば硝酸イオンを生じますが、硝酸イオンがあるから硝酸塩があるとは言い切れないのです。
余談ですが、イオンという形は酸性もアルカリ性もない形で硝酸イオンがあるから硝酸があって酸性であるとは言えません。
硝酸と硝酸イオンはまた別のものです。
よって、個人的には、ちょっと割高感がありますが、ADAのパックチェッカーの方が正確に硝酸イオン濃度を測定しています。
一定期間のデーターを得ることによって我が家の水槽の水換えのペースを把握できると思いますので、ぜひ測定してみて下さい。
 
水換えに関しては項を改めて詳しく記述しますので、これくらいにして、濾過システムのメンテナンスには以下のような項目があります。

  1. 濾過器本体の消耗品のチェックと掃除
  2. ホースやタップ部分の掃除
  3. 吸水パイプやシャワーパイプの掃除
  4. 物理濾材の掃除
  5. 生物濾材のメンテナンス
  6. ウールやスポンジなどを入れている場合にはその交換
  7. 水流の調整
このぐらいでしょうか・・・。
ではおのおのについて簡単に記述することとします。

1.濾過器本体の消耗品のチェックと掃除

濾過器という物は通常、年中無休、24時間稼働します。
その様な使用条件から考えると例え消耗品とはいえ、その耐久性は大した物です。
しかしながらいずれ消耗品は消耗し本来の濾過機能を発揮できなくなったり、水漏れを起こしたりします。
私達は得てして取扱説明書たるものは熟読しないクセがあります・・・。(俺だけか?)
しかし、外部濾過器も現在ではたくさんの種類があり、そのおのおのの濾過器の消耗品にどのような物があるのかは分かりません。
物によっては1年以上使用しているならば新品に交換したほうが良いものもあるでしょう。いや、半年で、なんて物もあるかも知れませんね。
ですから、各濾過器の取扱説明書は必ず熟読して、保管しておくようにしなくてはいけません。
取扱説明書に「1年を目安に交換して下さい。」などという記載があれば10歩譲って従いましょう・・・。
と言うのは、1年しか耐久性がないわけではなくても、発売元としては出来るだけ事前に交換してもらえるように記述するものです・・・。
当然、出来る限りベストな状態で使用するにはその方が良いに決まっていますしそうするべきです。
でも、交換しなくても大丈夫な場合も多々あります。そこはそれ、個人の自由と言うことになります。
 
私の個人的な交換の目安は「何か変化があったら・・」と言うことにしています。
ただし、「部品は事前に用意しておく」と言う条件付きです。
例えば、運転時の音が少し気になるようになった場合などは「そろそろインペラーの交換時期かな・・・」と判断したり、「ここ1ヶ月プレフィルターの掃除もしたし、生物濾材のメンテナンスと更新もしたのに、どうもシャワーパイプからの流量が少ないな・・・」と感じたら「えっ、そろそろポンプか??」などとビビッたりすることにしようと思っています。
実は、私はまだポンプの交換は経験がありませんが、少なくとも3年以上は使用できるように聞いていますので、いずれその様な時期は来るでしょう。(メーカーによって耐久年数は様々だと思いますので必ずお確かめ下さい。)
まぁ、ポンプを交換しなくてはいけなくなれば、いっそのこと買い換えるか!と言う方もいらっしゃると思いますが、交換できると言うことは確かなようですので、覚えておいて損はしないでしよう。
また、インペラー部や水漏れ防止用のゴムリング(Oリング)などの交換時期には、おのおのを個別に交換するのはめんどくさいので、何かを交換するときにまとめて(まだまだ使用出来る物があったとしても)もったいないこともあるでしょうが、交換するようにしています。
その方が管理しやすく、その日付でもどこかに記入しておけば安心なんです・・・。
まぁ、取扱説明書にしたがっていれば間違いはないでしょうからお勧めとしてはその様にされるのが1番であると思います。
ただ、濾過能力に変化が無く、少しうるさくなった程度で、使用者が気にならないのであれば、何ら問題はないと思います。
しかし、掃除して間もないにかかわらず、水量が元に戻らないような場合には迷わず取扱説明書に従いメンテナンスしなくてはなりません。
 
余談ですが、濾過器と言えどもある程度大量生産品ですから、初期の不良品がないとは限りません。
新品にも関わらず、不審に思うようなことがあれば遠慮なく販売店に相談するようにしましょう。
ポンプの抑揚量などは風呂の残り湯などを使って1分あたりの流量を割り出して確かめてみる方法もありますが、そんなことあまり実践される方はいないかも知れませんね・・・。(私もしたことはありません・・・・。)
 
見過ごされがちなところに本体とホースの間の部分やインペラー装着部分などの細かいところや、目で見て確認出来ない部分などの掃除です。
1年も使用しているとそれはもう結構肌色のヘドロというか水垢というか、ダストがたまっているものです。
その様なところも決して忘れることなく綺麗に掃除しなくてはいけません。
結構粘膜状になってこびりついている場合もあって水流では取れないものです。
専用のブラシがついている濾過器もありますので、ていねいに掃除して水の流路を確保しましょう。

ホースやタップ部分の掃除

これも同じようにダストがこびりついていたりしますので定期的に掃除しなくてはいけません。
目安となるものはありませんが、本人が掃除したくなったら、または気になったらメンテナンスされればいいと思います。
こまめに掃除しても、しなくてもさほど大勢に影響はありませんが、あまりにもたまりすぎると水の流れが悪くなったり、シャワーパイプからダストが出てくる場合もありますので気を付けて下さい。ただし、少量であればさほど水質に影響はないようです。
 
ホースの掃除には水圧を利用してウールなどを詰め込み、一気に押し出してやれば綺麗になります。
その作業を2〜3回行えば新品のようになります。
また専用のブラシも販売されているようです。
ただし、ウールの詰め込みすぎには注意して下さい・・。私は依然えらい目に遭いました・・・・。(どうなったかはご想像にお任せいたします。)
また、ホースそのものも消耗品の部類にはいるかと思います。
硬化してきたり、変に折れ曲がったり、(熱いお湯にしばらくつけおくと直る場合もあります)変色変質してきたような場合には新品に交換しなくてはいけません。

ちょっと一言・・・・。
このホース・・・、純正部品は結構高価なんですが、ホームセンターへ行くと良く似たものが色々あります。
ホースの口径(内径)が同じで肉厚が同程度であれば十分代用できますのでその方がとってもお安くつく場合があります。
使用に当たって何ら問題はありません。
ただし、必ず個人の判断で同じと思える物を使用して下さい。同じ様な物がなければあきらめて下さい。
水漏れやその他の事故があっても、私は責任は負えません。

吸水パイプやシャワーパイプの掃除

良く見過ごされがちですが、結構コケが付いていたりします。特にひげコケと呼ばれる活着性の強い房状のコケが付いています。
また、吸水側の水を吸い込む部分などはこまめにチェックして、枯れ葉やゴミがたまっていないかを確認しなくてはいけません。
吸水口が詰まっていたら、いくら出来上がった濾過システムでも十分に活躍できないことは言うまでもありません。
また、この吸水口に簡易型のスポンジによるプレフィルターなども販売されているようです。
これを設置すると、かなり頻繁に掃除をしてやらないとすぐに詰まってしまいます。
さらにパイプを固定しているキスゴムにもコケが付いたりしている場合がありますので忘れずにチェックしましょう。
 
メンテナンスの仕方ですが、スペアを用意していないような場合は歯ブラシや専用のブラシを使って流水で洗います。
ひげコケはなかなか取れませんので、しっかりと除去するようにします。
いい加減にしておくと、また同じ所にすぐにひげコケが出てきます。
スペアがある場合にはハイターなどの塩素系洗剤につけ込むことによって、綺麗になります。
ただし、キスゴムも一緒につけ込んでしまうと変質するおそれがありますので気を付けて下さい。
 
水流が強すぎる、と思うようなことがあればこのようなメンテナンスをするときに、シャワーパイプの穴を少し大きくしてみるとか、穴の数を増やす、などという作業もできます。
このような作業をするときも一度に行わず、少しずつ様子を見ながらしていく方が賢明です。
以前私は新品の時にいきなり穴を全て大きくして、さらにいろいろなところに穴を開けてしまい、失敗した経験もあります。
何事も様子を見ながらやらなければいけませんね・・・。弱くなりすぎた水流は・・・・・。(;_;)

濾過器のメンテナンス(2)へ続きます。