[濾過]

脱窒素(還元)濾過(2提案)

実質的な脱窒素(還元)濾過システムの提案として、以下は個人的な見解ですが、記述いたします。
 
まず、還元濾過槽を作ります。
これは外部濾過器を想像していただければ良いかと思いますが、太めの塩ビパイプでの自作やプレフィルターなどの代用で十分なようです。
まず、前段階にデニボールを埋め込むために川砂や大磯などを詰め込みます。
これは基質となるデニボールの溶解を十分に行わせるためには某らの抵抗があった方が良いだろうと言う考えと、底床に埋め込むだけでもその効果が得られると言う実証例からその様に考えます。
また、この方法で脱窒素が簡単に行われたと言う実証例もあります。
脱窒素処理能力はいろいろな記事を読んでいますと、どうやら基質の供給源となるデニボールの数と脱窒素菌の住みかとなる濾材の量に比例するようです。たくさんの硝酸イオンの処理を目指すならばそれなりの大きさが必要となるようです。
また、最大の問題点として、この脱窒素濾過層を流れる水量があるようですが、おおむね毎分3リットル以下であれば問題がないようです。
 
デニボールの埋め込みが完了すればウールやスポンジなどで仕切り、その次にデニファなどの連続した多気孔濾材を投入します。
説明書きを鵜呑みにするならば、気孔の口径が大きい方が良いみたいですので、同じ様なものであるならばデニファでなくても良いように思います。
また、デニボールを床に埋め込むだけでもある程度効果があるのですから、脱窒素菌が住み着けるような普通の濾材でも可能なはずです。
連続した多気孔濾材は硝化菌の生物濾材として機能+気孔の奥の方での脱窒素菌の効果を期待したものですから、脱窒素菌だけの生育を目指したものであるならば何も気孔が連続していなくてはいけないはずはありません。
私の個人的な考えでは表面積が広いと言われる濾材でも可能では無いかと思っています。
これで、脱窒素還元濾過部分は完了です。
 
次にこの還元濾過部分の前段階に通常の硝化菌による酸化濾過を行わせます。
これによって、硝化菌による酸化濾過槽を通過した水は溶存酸素量がないか、ほとんどなくなった状態で、次の段階の還元濾過槽へと送られることとなります。
このように組み合わせることによって嫌気的な環境が比較的簡単に作れるのではないかと思います。
このシステムはメインの濾過システムとは別に作成するのもよし、メインの濾過システムに組み込むのでも良いと思います。
ただし、問題は還元濾過槽への流量です。
メイン濾過器とは別のシステムとして作る場合には毎時、300リットル程度の抑揚力のある外部濾過器を使用すれば、還元濾過槽にたどり着く頃には幾分抵抗もあって少なくなり、程良い流量が得られるのではないかと思います。
様子を見ながらタップなどを利用して調整するのも良いかと思います。
メイン濾過器に組み込む場合には排水パイプから分岐させて還元濾過槽へつなぎ、タップなどで流量を調整しながら水を導くと言うことになるでしょう。本体の濾過器の大きさによってはちょっと難しいかも知れませんが・・・。
 
このような簡単なシステムにおいて今まで、かなり難しいと言われていた脱窒素還元濾過というものは案外簡単に行えるようです。
事実、このような方法においてある程度の成果を上げておられる方も少なくないようですし、実験例もあるようです。
 
この提案は私が実証し経験したものではありません。この提案を採用し、やってみようと思われる方には、ご自分の責任で行うと言うことになりますが、どうかご理解、ご了承下さいますように御願いいたします。
 
脱窒素濾過において注意しなくてはいけないことに、ちゃんと硝酸イオンが窒素ガスになっているか、と言うことがあります。
前述しましたように脱窒素菌にも色々いるようですので、まかり間違ってもアンモニアを生成されたのではたまりません。
確認できるまでは還元濾過槽から出てくる水の水質チェックは欠かせないこととなるでしょう。
また、この脱窒素濾過がうまく機能するには幾分時間がかかるようです。
実験例などの記事によりますと、2週間から1ヶ月後ぐらいから、その効果が出てくるようです。
 
完璧をめざし、不安定な脱窒素還元濾過を心配するのであれば、少し複雑な配管になりますが脱窒素濾過槽からの排水パイプを、水槽から硝化菌による酸化濾過槽への吸水パイプを分岐した所へ戻してしまうと言う方法もあります。
シャワーパイプからの水量が少し落ちてしまうかも知れませんが・・・。
こうしますと、万が一、脱窒素菌がアンモニアを生成してしまった場合でも、もう一度、硝化菌の酸化濾過槽を通過するので心配することはありません。
また、ちゃんと脱窒素が行われているかどうかは水質の硝酸イオン濃度の測定をして、以前よりも減少していたり、うまく行けばほとんど検出されなくなり、脱窒素に成功したこととなります。
ただ、脱窒素菌がアンモニアを生成してしまったり、亜硝酸にまでしか還元しないと言う確立の方が低いようです。
デニボールを使用した場合には、ほとんどその様なことは起こっていないようなのです。
失敗例としてはほとんど脱窒素が行われていないと言う現象になるようです。
ただ、取水パイプや排水パイプを分岐することによって水漏れなどの事故の可能性も増しますので加工には注意が必要です。

<問題点> 

しかしながら、この脱窒素濾過にはまだまだたくさんの不安定要素があるようです。
まず1つ目は、うまく硝酸イオンを処理することが出来たとしてもデニボールの補給が必要になることです。
基質の供給源となるデニボールが溶解しきってしまっては脱窒素菌も生きていけません。
このデニボール関係の商品は高価なんです・・・・・。
次に、どのぐらいの規模のシステムでどれぐらいの硝酸イオンの処理能力があり、安定するのか、と言うことです。
また、硝酸イオンを除去できても長期維持が難しいと言うことのようです。
一度安定してしまえば数ヶ月の間は順調に推移するようですが、水質のチェックを怠っていたり、還元濾過システムを取り入れたからもう大丈夫、と言うところまでは出来ていないようです。
 
このように先に挙げた方法で、割に簡単に還元濾過は出来るようですが、硝化菌による酸化濾過と同じようには行かないのが現実のようです。 ただし、このシステムを採用することによって、ディスカス愛好家などの方々にとっては硝酸イオンの蓄積やペーハーダウンによる水換えに日々追われることからは、少なからずものがれられる事となるようです。
 
参考までに、以上のようなことは上野さんのホームページ「水質管理の基礎化学大綱」(http://www.adguard.co.jp/Discus/science0.html)にご本人の実験過程を含め詳しく記述されていますので、興味のある方はぜひ行ってみて下さい。