御同朋の社会を目指して!




「赤川 浄友」さんのメッセージ




「和」そしてもっと議論を!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

毎日新聞より!
 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 
 
★「憲法前文には、聖徳太子17条憲法の『和をもって貴しとなす』をぜひとも入れてほし
い」……後藤田の遺志
★最近はなにかと小泉裁断が目立つ。議論すべきことまで裁断で片づければ効率的で
はあるが、独裁政治に近づく。


***19日、毎日新聞朝刊より*** 

近聞遠見:最長老・中曽根の「怒り」=岩見隆夫 
 <憲法前文事件>が尾を引いている。中曽根康弘元首相の怒りは収まらない。「一回の相
談もなく、御聖断のごとき扱いを受けたことは誠に残念、失礼も甚だしい」 と中曽根が憤慨す
るのは無理もないのだ。 
 事件が起きたのは先月28日、自民党の新憲法起草委員会(委員長・森喜朗前首相)全体
会議の席である。草案を決定し発表したが、ペーパーをみて、中曽根はがく然とした。前文小
委員長として練り上げた素案の文言はあとかたもなく、まったく別のものが作られていたのだ。
会議終了後、中曽根は、「日本の歴史、文化、伝統、国柄が完全に抜け落ちている。小委メン
バーの不満も爆発的にあった。無機質な政党官僚の作文になっている」と声を震わせた。なぜ
こんな混乱が起きたのか。確かに、<日本国民はアジアの東、太平洋と日本海の波洗う美し
い島々に、天皇を国民統合の象徴として戴(いただ)き、……>ではじまる中曽根の前文素案
には、党内から反論、異論が出ていた。はじめて自主憲法を作るのだから、議論百出は当然
だ。世代ギャップもある。ところが、草案は議論省略で抜き打ち的に決められた。小委メンバー
の1人は、「内閣改造(10月31日)の直前を狙う巧妙な作戦にひっかけられた。ルール違反
の強行処理だ」と怒る。委員会の事務局側は、「小泉首相と森前首相による最高の政治決断
だ。議論を続けてもキリがない」と言うが、少なくとも、中曽根素案の不採用について説明がな
いのでは、話にならない。 

 最近はなにかと小泉裁断が目立つ。議論すべきことまで裁断で片づければ効率的ではある
が、独裁政治に近づく。前文事件には秘話もあった。後藤田正晴元副総理が亡くなる(9月19
日)少し前、中曽根と面談し、「憲法前文には、聖徳太子17条憲法の『和をもって貴しとなす』
をぜひとも入れてほしい」と頼み、中曽根が、「承知しました」と約束していた、というのである。
素案では、象徴天皇のあとに、<和を尊び、多様な思想や生活信条をおおらかに認め合いつ
つ、独自の伝統と文化を作り、……>と続け、約束どおり<和>を織り込んだ。しかし、草案で
は全部削られ、一字もない。改憲問題で2人は立場を異にした。だが、国情を憂える後藤田の
最後の執念に中曽根は感じ入り、<お別れの会>(10月31日)のあいさつで、この秘話を披
露したが、後藤田の遺志はまだ生かされていない。情緒的な表現はカット、というのが小泉の
意を体した事務局側の姿勢だったらしい。しかし、<和>という日本古来の伝統文化は情緒的
だろうか。情緒でなく、理念である。後藤田の最後の言葉を収めた「日本への遺言」(毎日新聞
社刊)によると、最近の自民党に対して、「あまり非情な政治はやってもらいたくない」と注文を
つけていたという。政治だけでなく、日本社会から<和>の文化が抜け落ちていくことに、後藤
田は危機感を深めていた。憲法も歴史に学び、聖徳太子の原点に戻れ、という叫びは貴重。 

 とにかく、87歳、最長老の中曽根が、「憲法改正は急がずに国民のなかで熟成させる必要
がある」と言う。この言葉に、後輩の政治家は謙虚に耳を傾けるべきではないか。(敬称略)=
毎週土曜日に掲載<え・西村晃一><題字は新川晴風> 

……………………………………………………………………………………………………
… 

 岩見隆夫のホームページはhttp://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/iwami/kinbun/ 

毎日新聞 2005年11月19日 東京朝刊 




トップへ
トップへ
戻る
戻る