海辺の里山 (真珠のふるさと、私の故郷)
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三重県 志摩半島 大王崎 船越
昭和30年代(1960年代)頃まで燃料といえば、薪や炭でした。海女と真珠で有名なこの地でも、冬は山の木を伐採し、シダ類を刈り、各家に保存していました。炊事の竈や風呂の燃料として、海女小屋での焚き火や、浜辺での干し芋つくりの釜の燃料として使っていました。
この地方はウバメガシやトベラ、椿、榊、等の常緑広葉樹が山を覆っています。豊な緑の山のお陰で、海辺は栄養豊富になり、海藻が茂り、サザエやアワビ、イセエビたちが育ちます。海の生き物たちと緑の山が共に助け合い生きているのです。地元の人たちは、海の魚を守り育てるために山を大切に守ってきました。
木を伐採するときも「筋刈り」といって、決して山全体を伐採することなく、毎年順番に木を切っていきました。
この文化が伊勢志摩国立公園として認められ、今もとっても美しい景色と、豊富な水産資源を我々に与えています。先人の知恵が文化になり、伝統を創りだし、すばらしい景観、透き通る海を守り、そこで取れるおいしい魚達が、故郷へ帰ってきた者を優しく迎えてくれます。
時間がゆっくり流れ、心が洗われる地、前志摩の地を訪れてみませんか。