里山だより (芋谷水系をたどる)
                            2011年8月26日(金) 
曇り一時晴れ
 
 電力会社の節電要請で、木・金が休日になり、平日の柱本の人々が維持してきた水と緑を訪ねてみました。

巧みな水利が作りだした人と自然の調和ともいえる芋谷の棚田は、稲穂が美しい季節になりました。
今日も、紀見温泉手前の木陰で、稲作という作品を作る「芋谷のアーティスト」Hさん、Oさん達に 出会いました。 
3人で稲作作りや川の様子などいろいろと情報交換しました。

        この時期の芋谷の棚田は、深い緑から黄色へと美しいグラデーションを見せています。
里川「芋谷川」の流れは、標高378mの横手八幡の付近を源流にし、Mさんの廃屋があるカラス谷を経て、 果樹園の跡や養豚場の跡付近でフトン谷からの流れと合流し、鴻の湯元「紀見温泉」跡を過ぎてシオン谷と 合流します。  

 当会の田んぼ付近(標高244m)を過ぎ、チチコ谷と合流し、更に慶賀野付近で谷内川(橋本川)に 流れ込みます。 Hさんの話では山を隔てた杉尾を源流にする東谷川よりも長いそうです。 
  尚、三叉路付近にある、「芋谷川終点」の標識は、紀ノ川水系として国が管理する最終地点を示し、 この上流も芋谷川です。 
 上流部に養豚場などがあった時代、川の浄化のために役所がヨシの種を播いたり、その後クレソンなどの栽培も 奨励した時代があったそうです。水をたどって歩くと「人と水の関わり」が見えてきます。

  2009年10月8日の台風18号の豪雨で土石流が発生し、大きな災害をもたらした川は昔のように甦りました。


ナベナ と イチモンジセセリ


   田植えをした田んぼ付近河原のヨシ原
  現在、奈良県などのレッドデータブックに記載されているナベナが旧温泉前の河原で花を咲かせています。 3メートル近くの大きさです。  写真のイチモンジセセリも大発生しています。 イネツトムシとして稲の害虫ですが、この後集団になり移動する蝶です。  

川も元の状態を取り戻し、カワムツ(背びれの赤い部分が特徴です)やカワヨシノボリなどたくさんいました。 オオアメンボも見られます。 又、ため池の水路でマルタニシも見つけました。  

今年はネキトンボが少なく、幼虫で越冬するこのトンボは、昨年の冬の寒さでやられたように思います。


             カワムツ

  カワ ヨシノボリ(○で囲った部分) サワガニもいます

  
オオアメンボ  


      マルタニシ
「今年は、川に緑色の藻が大発生しているわー」 とのOさんの話で、川床を見に行きました。
  大型糸状緑藻の「カワシオグサ」が大発生し、川全体を覆い緑色の川になっていました。

以前の土石流災害で、岩盤が見えるぐらい堆積物や砂が流され、砂利流量の減少で発生したようです。
 (これは、川の富栄養化とは無関係で、川床のアーマーコート化によるものです)
水が冷たく、今後水温が上がれば消えるように思います。


秋津の国:日本。 ウスバキトンボ、ネキトンボ、シオカラトンボ、オニヤンマ、クロイトトンボ、モノサシトンボと数え切れない 蜻蛉(アキツ)に出会えます。


 ネキトンボ :暑くて暑くて逆立ちして体を冷やします

   産卵するクロイトトンボ
今年度、農林水産省は「食と地域の交流促進対策交付金」事業を募集しました。 
この事業に採用された 「柱本田園自然保全会」の行事で、今度柱本小との交流をする話も話されていました。
ただし 真にこの田んぼと景観を維持する方には、お金が下りるわけでなく保全会の活動には冷淡でした。
 (蓮舫さんがバッサリ斬った「事業仕分け」に漏れたのでしょうか?。 怪しいお金が動かない ことを願います。)

 9月5日の「生き物調査」には、あいにく参加できませんが、この日のために、会員のYさんが 草刈りをされているのに出会いました。         子供が来るので、小屋付近をきれいにしておくとのことです。