里山だより        2010年2月27日 
    
里山だより(早春の演習林) 2010年2月27日(土)  曇り 正午の気温13℃

高野山のふもと「玉川峡」の里山では、早春の花「オウレン」(黄連)の清楚な花が咲き出しました。私が毎月定期的に調査をしている「たんぼビオトープ」 では、1月末の氷点下の日に産卵した「ヤマアカガエル」の無数の卵が早くも孵り始めました。  
   (ここはシカが増え、食害はたいへんです。 フキノトウやショウジョウバカマの新芽も食べられています)

本日、久しぶりに訪れた「山内のふるさと演習林」は、ヒサカキが独特のニオイとすずらんのような美しい花を付け、いよいよ春が目の前です。 演習林に植えられた樹木の中で、春一番早く咲く「ワダノミツバツツジ」?(園芸種のようで写真のように紫がかったピンクの花)も咲きかけました。

「オウレン」は、山の斜面に薬草として植え、黄色い根を干し、業者に出荷しました。              2010年2月27日のふるさと演習林  
この演習林の再生を始めたのは、2002年の夏です。 2003年3月9日、マツやクルミなどの植樹を終え、橋本市の書道家 岡本由紀子さんの揮毫による 「ふるさと演習林」の素晴らしい看板も立てました。  29種、600本余の植樹を行い、みんなで記念写真を撮ってから早くも7年です。
 その後第2次拡張事業も行い、役所の力を借りずに自分たちで守る 「ふるさとの森」・「日本の自然に出会える森」が出来上がってきました。

  ちょうど昼休みに来られた柳本代表と出会い、この冬の暖かさの話をしていると、池の東側の山を所有されている方が下刈りを終え入り口に出てこられ、 山を守る仕事の現状等を3人で話し合いました。  

 26日のニュースでは、田辺市竜神の木材市場に初めて200年もののスギ(根元側で1.5m末口で1m)の巨木が出品され、これでも2間(4m)の材で たったの100万円で取引されました。 木材の価格の急落はひどいものです。 この方の話では、以前高野山の麓の神社のスギ(樹齢400年位)は、 同じようなものが2800万円位だったそうです。 木目を利用するために薄く剥いで利用される業者が引き取り建物の内装を飾ったようです。  
 木材価格の急落は、阪神大震災後に特にひどくなり、将来に渡っても国際競争力の無い産業になってしまったようで、高コスト体質の日本の産業構造が このような結果を生んだようです。 日本の国の将来はこのままで良いのでしょうか。

         美しい「ヒサカキ」の花が咲きはじめました。                  演習林南側の「ヒノキの植林山」
現在、山を守ることはたいへんです。 厚生労働省は、地域の求職者等の雇用機会を創出する取組を支援する「ふるさと雇用再生特別交付金」や 「緊急雇用創出事業」として、都道府県に過去最大規模となる総額4,000億円の基金を創設し、雇用機会の創出に取り組んでいます。  

橋本市も芋谷から横手八幡〜杉尾への行者道の整備や、国城山や九重の山々の整備などに、この交付金を利用されているようです。 この演習林南側を見ていると、補助金を利用して植えられた「ヒノキの植林山」も同じことかもしれません。

 下刈りや間伐ができずにいると「山の再生」 では無く、雇用対策のための一時的なバラマキのようなもので、現在の経済対策を連想させます 将来の「日本の森つくり」や当会の活動を皆さんは どのように考えられるでしょうか。  

 行政が進める地球温暖化対策などの施策に利用されること無く、また里山ブームに乗った宣伝活動だけ活発にするのでは無く、 我々の活動は、 自ら行動を起し、 「コツコツとした活動」を続けていくことが一番大事な活動ではないでしょうか  
                                                                井奥恵三

早春の里山の野鳥
 演習林の下草のヤブの中は、冬鳥たちの楽園です。 まもなく北の国に帰っていく「シロハラ」や「シメ」や「アオジ」の姿に出会えます。 
2月13日に初鳴きを聞き、我が家でも毎朝良い声を聞かせてくれる「ウグイス」や、キリキリコロコロと鳴く「カワラヒワ」などたくさんの野鳥が
出迎えてくれます。

ヤブの中で暮らす「アオジ」 嘴の根元が黒く黄色いお腹に縦じまがあります。


ずんぐりむっくりの可愛い 「シメ」 です。


      翼と尾羽に黄色い部分のある「カワラヒワ」 


「シロハラ」 「すくどがえし」ともいわれ落ち葉をひっくり返し虫を食べます