里山だより        2009年6月21日 
             
         
                      夏は来ぬ
里山だより(夏は来ぬ)    平成21年6月21日(晴れ一時曇り)
 
 6月、梅雨の季節がやってきました。年間平均降水量1800ミリと、空の大水道を持つ日本は雨の季節です。 
ホタルの上陸やセミの孵化は雨の日に行われます。 生き物の暮らしはもちろん、日本人はこの雨に適応した文化を
築いて来ました。
 
 5月末、緑雨の中の演習林の下草刈り。 6月7日の「芋谷の棚田」の田植え。 6月13日の「ホタル観察会」と、
日本の伝統と文化を体験する活動が続きます。 
 
 6月13日(曇り)
 
今年も芋谷のホタルの観察会が実施されました。天気の加減も良かったのか、たくさんのホタルが飛び交い、
参加された方は、感激されていました。 親子で参加された瀧さんからはお礼のメールを頂きました。
       「草の葉を落つるより飛ぶ蛍かな」 の句、そのままの光景です。
 田んぼの水面上や畦にもゲンジボタルが飛び交い、まことに風雅の極みです。 田植えの済んだ黒米のたんぼ、
新しく田植えに挑戦する、Kさん、Oさんの田んぼの水面、さらに山側の林の中と今年は素晴らしい日本の夏の思い出です。
  ここ10年で最高の観察会になりました。 参加していただいた皆様有難うございました。
     五月闇(サツキヤミ) 蛍飛び交い 水鶏(クイナ)鳴き 卯の花咲きて 早苗植えわたす 夏は来ぬ

(ホタルとホタルブクロ)
  ゲンジボタルを入れる「ホタルブクロ」 昼間の芋谷には斑入りのホタルブクロも咲いています。トンネルへの道は、里山で見られる動植物の 宝庫でもあります

    

6月7日の日曜日(晴れ)、公民館の行事へ参加された子供たちと一緒に 「棚田の田植え」が実施されました。 稲作が作り出した 芋谷の「里山の自然」と「日本の伝統文化」を体験できる貴重な一日になりました。  満開のソバ畑と早苗の美しい田んぼは、昭和30年代以降の日本の高度成長と引き換えに失った、日本人の心を取り戻してくれる 私たちの未来を守る活動と姿です。

新しく挑戦する田んぼの「田植え」 木枠を使い1株ずつ植えます

満開のソバ畑(品種はピンクの花が美しい「高嶺ルビー」)

田植えが済んだ田んぼには、こんな生き物も戻ってきました。 この虫たちの命も大切にしましょう。 美味しい棚田米を作ってくれる大事な協力者です。
 
田植えをした田んぼで見つけた「ミズカマキリ」  「ハイイロゲンゴロウ」


 6月21日(日曜日)は、
南紀の「紀伊勝浦の棚田を守ろう会」の方や、公民館の行事に参加される子供たちなど大勢の参加者を迎え 今年2回目の「田植え」も実施されました。

          

子供たちの田植え

「ホウネンエビ」

  第二回の「田植え」は、参加者50名を超える大きなイベントになりました。 小さな子供たちもたくさん参加し、ビジター32名、那智勝浦の棚田を守る活動をされている10名の方たちもはるばる参加してくださいました。 下の田、上の田を6月7日に田植え終了した後、21日は、「大きな田」とさらに上の方の「2枚」に田植えを完了しました(22日朝、残りを完了)。 少しずつですが、昔ながらの「水郷・棚田」が復活しつつあるものと実感しております。 今後、夏場の草取り、秋の稲刈りなど、会員の皆様にご参加・ご協力をお願いすることになりますが、 ぜひよろしくお願いします。
 また、「上の田」にはホウネンえび(豊年エビ、田キンギョ、ミドリエビなどいうらしいですが)が発生していました。 大変かわいらしく、美しいものです。 これからも、季節ごとに咲き乱れる植物や草花や、里山ならではの昆虫や、小動物のとともに、自然の豊かさを楽しみたいと思います。    (この稿:佐藤事務局長)