以前、ステンレス系刄金の焼入れ方法が知りたくて、岐阜県関市に行き焼入れの達人を訪ね歩いたことがあります。何軒か刃物工場やショップを廻り、ようやく関連合刃物協同組合の方に、刃物の熱処理の事については、尾上高熱工業の尾上卓生社長さんがとても詳しいと教えてもらいました。
それからすぐに電話し、尾上卓生先生に教えを乞う機会に恵まれて、先生に8Aや440C等のステンレス系刄金の処理条件や方法をお聞きしたのですが、初対面にも拘らず、条件や技術的な勘所もすべて教えてくれました。
その後に、見せてもらった粉末ハイス焼結材で作った竹細工用ナイフの光沢や切れ味に驚きを感じて、自分もハイス(高速度鋼)を使って何か特別な方法で作りたいと考え、溶接で肉盛する事を思いつきました。
色々なカタログで溶接材を探していると工業新聞社の新製品情報誌にハイスの溶接棒が載っていたので、早速、有償サンプルで取り寄せ、それを8A材に肉盛溶接してナイフを一本試作しました。その作業状況を紹介します。
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| 途中で失敗してうまく出来なかったけど、まあ見てやって下さい。 |
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製作開始
今回のナイフ作りは、刃先をハイス鋼で肉盛して、尚且つ波紋が出るようなナイフ作りを試みて、懐刀風に仕上げたいな〜。
まずは、神棚にお神酒をお供えして、冷水 を頭からかぶり、白装束をするイメージで作り始めるぞ。(ほんまかいな・・・うそ) 外形を鉄ノコでギコギコ・・・これが結構疲れるのだ! |
ハイスの肉盛溶接
ナイフの刃先にハイスの溶接棒でバチバチと溶接したけど、あちらこちらにスラグが巻き込み巣が入ったし、ヒビも入った。
もう少し丁寧に時間をかけてスラグを取り除きながら溶接すればよかったです。
(早い話、腕が悪いんやろが・・・すいまへん) ※4ミリ板に肉盛する時の溶接棒は3.2ミリより2.6ミリの方が良いです。 |
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ひび割れ3ヶ所
輸入品のマグナ440溶接棒のカタログデーターでは、肉盛の回数は2回までと書いていたのですが、内部応力を取りながら溶接をするには時間がかかるので、一気に肉盛をしました。とにかく初めてだったので、“エーイ割れるものなら割れて見ろ”と思ったら3ヶ所割れていました。
よわったな〜 |
あきらめようかな・・・
巣の入ったひび割れが3ヶ所、一時は作るのを諦めようと思ったけど、一本1千円からする溶接棒、余分に買っていなかったので、このまま仕上げることにしました。
※この棒は溶接ごとにカスをキレイに取って作業しないと巣が入りやすいし、2回、重ね溶接するごとに、温度を上げて内部応力取らないと、ヒビ割れるよ。 |
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焼入れ、焼き戻し
1204℃で係留15分してから、油のお風呂にチャプンと入れて焼入れしたよ。その後、565℃で60分暖め直して焼き戻ししました。 カタログデーターでは、ロックウェル硬度62。 この時点ではまだ波紋が見えるが研ぐと波紋が見えなくなっちゃった。(残念)
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名前を彫ったけど
もともと字が下手だから、タガネで彫っても下手だね。
説明は要らないと思うけど、焼きを入れる前に字を彫りました。 |
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研ぐって疲れるね
ほんとはね研いだ後、乾いた竹をたたき切って刃が欠けてしまった。欠けた跡が分からなくなるまで研いだのでとても時間が掛かりました。もちろん、刃先はハマグリ刃に変えています。 |
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ヒルト
柔らかい真鍮でも、キレイに長穴を空けるのは疲れたよ。 |
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ハンドル
黒檀は接着が利きぬくいと思うので、ガソリンで接着面を油抜きをして、4ミリのスタッドボルトを5本植え込みました。 |
ハンドル
継ぎ目が分かり難いように、エポキシ接着剤に炭の粉を入れて、外れるなと祈りながら接着。 |
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艶だし
ハンドルを握り易いように削ってから、亜麻仁油で仕上げました。
油仕上げして艶を出すと、傷が付いても磨けば光るので、お酒を飲みながら磨くのが楽しくなるよ。 |
サヤ作り
サヤに適した木が有るらしいけど、あまり詳しくないので日曜大工センターで柔らかい木(洋桜)を買って作ったけど、桧木の方が良かったと思う。
※柔らかいけど、彫りぬくかったな〜。 |
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サヤの貼り合わせ
これもエポキシで張り合わせたが、少し心配だったので小さな釘を唾でなめて打ち込んでいます。まあ〜多分これで大丈夫だろう。(ほんと・・・?(-_-;) ) |
滑り止め
このナイフは、懐刀風に作るので、サヤに滑り止めを付けるんやけど、ただの突起だけでは寂しいのでライオンの頭でも付けようかな。
※友人のY.S氏が帯止めの型から形を取り、銅電鋳した物をもらいました。これは、大正時代に彫られた物だそうです。 |
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飾り金具
口金は銀の丸棒を平たく叩き伸ばして作り、余ったヘタは丸めて子供の指輪にして廃品利用。ライオンの頭はインレーにしてサヤにはめ込もうかな。 |
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指輪
あまった銀の廃品利用で、中2の娘が自分でイニシャルをタガネで彫って磨き、つなぎ目の金ロー着は私が付けました。 |
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口金
サヤの口を一段掘り下げて銀の平板を巻き付ける。 |
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ロー付け
口金のつなぎめを金ローで付けたのですが、金が横に流れてだいぶ損をしました。
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切り抜き
ライオンの頭の裏をハンダでバックアップして、いらない部分を友人のバンドソーで切り取ってもらいました。
子供の頃、夜店で遊んだ型抜きを思い出して結構楽しめました。 |
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バリ取り
切り抜いた頭の周りをヤスリでキレイキレイしました。ついでに指先もキレイにこすり・・・痛! |
酒を飲みすぎたかな
今日は、お酒を飲みながら趣味のナイフ作り始めました。サヤにライオンの頭をはめ込もうと彫刻刀で彫り始めて楽しい時間をタバコをくわえながら過ごしたのですが、はめ込んだライオンの頭をなでながら良く見ると、頭が反対側に付いていて失敗しました。お酒を飲みながら作業をするとろくなことが無いね・・・まあいいか、付け替えよ(^.^) |
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付け替え
きのう失敗したから楽しみの時間が少し増えたよ。今日はお酒を飲んでいないから成功。あとは、サヤにロックを付けて、黒いエポキシ樹脂をコーティングしたら完成です。
サヤをズボン等に差し込んだ時に引っかかるようにライオンの頭を付けたのですが、出っ張りが少ないのでズボンの中に滑り込むかも・・・ひもで縛ろかな |
ロック
この部品は小さいけど作るのに時間がかかりそう。 |
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ロック2
サヤに取り付ける部分を曲げて、ヤスリで全体に丸みをつけました。 |
コーティング
エポキシ樹脂に備長炭の粉を混ぜて黒く色付けをして、サヤにコーティング。気泡がたくさん入って失敗したので、樹脂を少し削り落として、脱泡しながら再度、塗布しました。真空ポンプや加圧室の無いときは、時間はかかりますが、気泡を押しつぶしながら薄く塗り重ねるのが良いですね。
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仕上げ
ライオンの頭とロックを取り付けサヤを磨いてやっと完成です。 |
完成
高速度鋼(ハイス)を使ったナイフを作りたいと思って作り始め、いくつか失敗もありましたが、やっと完成しました。
初めての方法で作るって面白いね(^.^) |
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使い方
決して町ではこんな格好でナイフを持ち歩きませんが、キャンプ等でマキを割ったりハムを切ったりする時には腰に挿して使用すれば意外と便利です。
大きなナイフを腰にぶら下げると、座るときや車に乗る時などは結構、邪魔になりますからね。 |