夢大和フォトギャラリー



四国八十八ヵ所《讃岐の国》歩き遍路の旅
空海の史跡と自然を訪ねて

第1回 66番〜77番

     
70番 本山寺五重塔

      
         11月8日 宿(徳島県三好市)〜66番雲辺寺〜67大興寺〜68番神恵寺・69番観音寺〜70番本山寺〜宿(三豊市))  
       歩行距離 27.6km                                         
『歩行地図』クリックして下さい
       宿を6時半に出発5km先の66番雲辺寺(H910m)を目指す。良く冷え込んだ晴天の朝、雲辺寺は雲海の中ではと思い巡らし
      ながら、宿で貰った地図を片手に遍路マークを見逃さないよう注意して歩き出す。直ぐに急な石の階段があり、過ぎると山道、登
      りが続く(約1.8km)。
       8時15分に山門に着いた、雲海が山並みに残っている。「涅槃の道場」を無事に勤め結願に至ることを願い本堂、大師堂を参拝
      した後「おたのみなす」に腰を掛け家族の健康を祈願、毘沙門天展望館に登り四国をぐるりと見渡す。麓の平野部にはぽつんぽつ
      んと小さな山が、そして溜池が数多く光っている。遠くには石鎚山も見え四国の山深さを此処でも知ることとなった。標高1000mと
      書かれた徳島と香川の県境標が建っている。
       9時10分に雲辺寺を下る、五百羅漢が異彩を放つ(写真)、紅葉した落ち葉や松の葉を踏みしめ軽快に下っている内は良かった
      が、段差のある階段状の道が続く下りには疲れる、足はドスン・ドスンだし滑らぬように注意しなければならない。
       下り途中で、大和の人が観音寺に来ての伝説「鰻淵伝説」があったり、赤い実を付けた「まむし草」を愛でたりしつつ10時半には
      下りきった。多くの畑には収穫後の玉葱が新芽を出して綺麗に並んでいる、尋ねると夏には葱ぼうづが大きくなって種を収穫する
      とのこと。
       67番大興寺へルート240号を歩く、道端には石仏が点々と多くあり何れの石仏にも綺麗な花が供えられている。大興寺の手前
      遍路道に蛇が長々と、私を迎えてくれたのか私を一瞥して草叢に消えた。11時40分に打ち終える(66番から9.4km)。
       観音寺市に入って目立つのが「寛永通宝」のマンホール蓋。14時20分に68番神恵院69番観音寺に着く、(67番から8.7km)
      琴禅公園展望台に登る、瀬戸内の浜辺に大きな寛永通寶の銭形の砂絵が造られている、傾きだした陽に照らされくっきりと。夕陽
      が落ちればさぞ綺麗だろう。
       先を急ぐ、4.9km先の70番本山寺へ、途中から五重塔上部が見え出す、この風景に斑鳩の法起寺をを思い出させる。16時半
      に着き納経後、優美な五重塔に心引かれ、暮れなずむ静寂な境内でゆっくりと眺めさせてもらった。
       17時半に近くの「一富士旅館」へ、今夜は他に一人の遍路さん、この方とは3泊共ご一緒させていただいている。足の裏が水膨
      れで痛むそうだが88番の満願まで頑張ると仰っている。
        11月9日 宿〜71番弥谷寺〜73番出釈迦寺〜捨身ヶ嶽禅定〜72番曼茶羅寺〜74番甲山寺〜75番善通寺(宿) 歩行距離
       22.2km                                                    
 『歩行地図』クリックして下さい。
       宿を7時に発って11.3km先の弥谷寺を目指す。3.5km地点でルート11号から旧道に、低い小さな山と溜池の風景が地元の耳
      成山を彷彿させてくれる。山のシルエットが女体(顔・胸・子を宿したお腹)(頭・背中・お尻にも見える)を思わすそんな景色を眺めな
      がら歩を進めると、歩いていると云うよりは雲に乗って風任せにふわふわしている感じになる。女体のシルエットは3っの山の重なり
      だった、とにかく大和三山(香具山・耳成・畝傍)のような小山が多く目につく。
       9時半に弥谷寺に着く、参道に入る前からしっとりとした雰囲気、112段の階段を登ると大きな金剛菩薩像、108段の階段を経て
      大師堂、摩崖佛を経て本堂へ獅子の岩屋も拝す。古来からこの寺は死霊の行く寺とされ何処かに振る向くなと書いてあった。
       10時半に出発、俳句茶屋で温かいお茶の接待を受け竹林の優しい遍路道を下る。
       11時半に73番出釈迦寺に入る(3.7km)、納経後に捨身ヶ嶽禅定へ、急な坂道を約20分程で本堂に、此処からが鎖のある岩
      場を登って霊跡に、躊躇したが後から来た青年(7日に出会っている)と一緒に登る、岩や鎖に手足を掛けて這い登る、下の景色が
      見えないので高度恐怖症だが恐い感じはしない。空海が捨て身の修行をした霊跡に辿りつく、思わず「南無大師遍照金剛」。眼下に
      讃岐平野と瀬戸内海が(写真)、良く登って来たと青年と握手。 
       下って出釈迦寺の納経所に戻り、捨身ヶ嶽禅定の朱印を日付入りでお接待のみかんと共に頂く、嬉しさが込み上げてきた。
       近くの72番曼茶羅寺を14時過ぎに打ち終える、此処で52才フリーターのお遍路さんに再会、この方2回目の遍路で遍路の終わ
      りは命が尽きる時と仰る。何故にそう迄も?自分には計り知れないものをお持ちなんだろう。
       既に73番から弘法大師の生まれ故郷「善通寺市」に入っている、幼き頃に目にされた自然風景が展開している、此処まで歩いて
      来れた幸せを胸に2.2km先の74番甲山寺に向かう。15時半に打ち終え30分程で75番善通寺に着く。
       広く立派な伽藍風景、流石といった感じだ、弘法大師三大霊場の一つだが高野山金剛峯寺と違った親しみが持てる。本堂では堂
      内に入って薬師如来像を目の前にして読経出きる、自然と読経にも力が入る。御影堂から戒壇めぐりをさせていただく、暗闇を進み
      途中で弘法大師の声を聞く太く逞しい声だ、暗闇から明るさに戻る。明〜暗〜明・・・一種の精神修養。
       お世話いただく宿坊に16時半、手足を伸ばし何時ものストレッチ後温泉風呂をいただく、久し振りの大きな湯殿に心行くまで入浴
      させて貰い頑張った足をもぎほす、大満足の一日だった。
                  、
       11月10日 宿〜金刀比羅宮〜76番金倉寺〜77番道隆寺〜JR丸亀駅  歩行距離11.8km 『歩行地図』クリックして下さい
     
  朝5時半、夜陰の伽藍風景を眺め御影堂での勤行へ、管長の少しのストレスや嫉妬心も必要との話にガッテン。
       朝食を頂き顔馴染みの二人とも此処でお別れ、境内の大楠(弘法大師が生まれた時から在るといわれる樹齢千数百年の大木)
      を両手で抱え、気・勢いを頂ける様念じて出発、さぁ今日も快活に歩こう。
       先ずは寄り道で金比羅参り、大門をくぐると和傘を立てて5軒の出店、「五人百姓」といわれる飴やさんに試食をさせて頂く「旭社」
      へ豪壮な建物、御本宮まで785段の石段、思っていたより楽に登れた。今日は紅葉祭
(写真)で巫女の一団が粛々と。展望台か
      ら三角おにぎり形の讃岐富士や丸亀城跡等が見える
(写真)。何故か神籤を引いてみたくなり「こんぴら狗の開運みくじ」、小吉を
      との願い通り小吉を頂く「小下りの道に車をすすめるように楽々と事の運ぶ運勢なり心を誠にし・・・」。
       商店街で讃岐うどんに舌包み。金丸座(天保6年に建立された日本最古の歌舞伎劇場)に立ち寄る 、内子町で見学した「内子座」
      もそうだが、芝居小屋の雰囲気に心が和む、しかも豪華、時代劇映画のシーンが思い浮かぶ、4月の大歌舞伎を桟敷席で観てみた
      い。
       続いて「金陵」の酒資料館へ、江戸時代からの時代を反映した酒器に見惚れる。名物「灸まんようかん」を土産に琴平を後にする。
       此処までは観光旅行、色々見聞出来たし感じることもあった、寄り道も良いだろう。
       11時半、本来の遍路旅に戻って76番金倉寺へ本堂の前にある巨大な掛け数珠を廻して参拝。讃岐富士を右手に見ながら3.9
      km先の77番道隆寺へ、その手前で「お遍路さん」と呼ばれ振り返る、「この子(40代?)が作ったお地蔵さんです、貰って下さい」と
      手の親指大の粘土人形を頂く、感謝の印に自分の納札を父親に貰っていただいた。
       12時50分に道隆寺へ、赤紫色した心惹かれる花が咲いている、納経所で聞けば「野ボタン」で一夜花とのこと
(写真)
       今回は此処で打ち止め、遍路道を約3.5km歩きJR丸亀駅に14時過ぎに着いて高速バスで帰宅。

       今回の旅で多くの遍路仲間に出会い語らった、各々に思いがあり各々に歩き方があるが、皆さん後5日ほどで88番に行ける、満
      願を迎えると仰った。自分はこの続きで終えてしまうのが惜しい気がする、何故だか分からないが自分の此処までの遍路旅を振り
      替える余裕が欲しいことは確か、そして満願の時期を選びたい。

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雲辺寺の五百羅漢  捨身ヶ岳より瀬戸内  善通寺の大楠
                
 金刀比羅宮より讃岐富士  金刀比羅宮・もみじ祭  道隆寺の野ボタン
         
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