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 19日歩行図(赤字) 土佐の褐牛親子
   
20日歩行図(赤字)  柏坂より由良半島
   
21日歩行図(赤字) 松尾峠にて
        
22日歩行図(赤字)  内子座
   
 4月19日 JR宿毛駅〜40番 観自在寺〜宿(愛南町)  歩行距離19.8km
 昨夜湊町を出た高速バスは宿毛駅に7時45分に到着、準備運動後8時に歩き始める。程なく峠
道へ、土の道は足に優しく匂いも好い、時折見える輝いた宿毛湾。
 里に出て田園を歩いていると牛舎が見える、尋ねると「土佐の褐牛」といって肉牛、生まれたば
りの子牛と母牛、そして可愛い子牛が二頭走り回っている。
 小雨がぱらついたり照ったりの中、松尾峠にかかる、急坂もあるが幅があり歩きやすい峠道、土
佐と伊予を結ぶ重要な道で昔は日に200〜300人が往来したという。番屋(関所)跡もあり去日を偲
びながら頂上へ(H300m)此処が県境で愛媛県入りだ。緑の道筋に赤いツツジが色を添える。
 愛南町一本松に入って畑仕事のおばさんと話していると5人のグループ遍路さんに出会う、食堂
で昼食をご一緒させて頂く、4人のおばさんに先達の男性で賑やかだ。
 旧赤坂道(癒しの里道)を歩き僧都川沿いを下る、風が一段と強くなって遍路傘は被れない、踏
み出す足に力を入れないと歩けない、先ず苦行の一番手は此れかも?
 程なく40番観自在寺に15時に着く、友人に頂いた資料で下調べしていた「カエルの像」「山門の
方位盤」「回廊のお砂踏み」等見学、勿論入念に菩提の道場での修業が無事に終えられることを
願った。
 今宵は「ホテル サンパール」源泉の大浴場でゆったりと疲れを癒す。鯛めし等の食事を頂いた
後ロビーに居ると私の名前を呼ぶ声、驚いた、何かと遍路のことを教えて貰っている先輩ではな
いか!仏縁を頂いたのでは?暫し談笑。こんな嬉しいこともあり今回の旅も出足好調。

 4月20日 宿〜柏坂 柳水大師〜宿(宇和島市津島町)  歩行距離24km
 本日の苦行の場となるであろう柏坂に要する時間が分からないので早めの6時40分に出発、ル
ート56号を歩き程なく室津港が見えてきた時、車が停まって若い女性が私にお接待だと色んな菓
子を差し出してくれる、‘‘自分は遍路に出られないがお遍路さんを接待することでその功徳にあず
かる事が出来る‘‘との考えがあると聞いたことがある。 
 この人の為にも確りと巡拝しなければとの思いも新たに、8時45分柏坂を登り出す、雑木林の峠
道、遍路道を清めるように山桜が散っている、今迄の人生で悔しく無念に思った出来事を、逆に計
らずも人の心を傷つけた事を思い起こし、この登り坂で踏み消したいと一心に歩く、柳水大師(H4
00m)で小休止、登りは此処まで、清水大師を過ぎて見晴らしの好い所に出る、由良半島がくっき
り見える。そこで先輩のツアーに出会う、先達さんは以前お世話になった方で先輩のとりなしで挨
拶し歩きをご一緒させて貰う、会話があって登りとは違った柏坂歩きとなった。
 一行とは下りきった所でお別れ、造り酒屋「泰山」で昼食、名物の酒饅頭を接待して頂く。
 時間に余裕が出来たので禅蔵寺薬師堂にも立ち寄り芳原川沿いをゆったりと歩く、名も知らない
白・黄・青・赤・紫色のいく種もの草花が微笑みかけてくれている、風に揺れる様を見ていて暫し居
眠り、遍路旅での始めての経験、我に返って不思議な感じ。
 今宵の宿「三好旅館」さんに16時に着く。世話して頂くのが「おたまさん」気さくな愛想のいい方、
料理も多く有り難い。遍路8人が料理を頂く、昨日会った僧侶の先達さんも加わり、空海論、歩き
遍路とはと話が弾む、勉強になる夕食だった。 

 4月21日 宿〜(宇和島市祝森〜仏木寺=バス便)〜43番明石寺  歩行距離19.1km 
 宿を7時半に出発、ルート56号を歩き松尾トンネルを避けてちょっとした峠の遍路道で一汗を掻
く、頂上に汗を流す為か井戸に釣る瓶が用意されていた。
 下っていくと道の真ん中に15cmほどの筍が顔を出している、猪が食い荒らした筍の皮が散乱し
ているが此れは残ったらしい。
 予定通り11月に歩いた祝森から仏木寺までをバスで、仏木寺は山門を修復中、その山門で挨
拶後11時40分に歯長峠へ、11月はコスモス通りだったが今は綺麗にチュッリプが咲いている。
 歯長峠は上り下り共に変化に飛んでいて楽しい、休憩所で14回目の通し遍路をされている方に
出会う時には民家の門口に立って托鉢をされるとの事、最初は自尊心があって苦しんだとのお話、
自分には真似の出来ない事。
 13時40分に下り切って県道29号へ、道引大師をお参りし15時10分43番明石寺に到着、桜
が散らずに待っていてくれたのが嬉しい(写真)。地蔵堂の龍の彫刻、ご神木のナギの木も拝し今
宵の宿、卯之町「松屋旅館」に16時20分に入る。
 食事をしながら若女将(爽やかで美貌)に卯之町のことを伺う。

 4月22日 宿〜十夜ヶ橋永徳寺(番外)〜内子座  歩行距離33km
 朝食で大女将に歴史の古い松屋旅館のあれこれを伺う、何処とも「お気をつけて」だが「無理をな
さらぬように」と送って貰ったのが7時12分。
 卯之町の町家等撮影しながら旧街道を歩く、集団登校中の小学生に出会う、大きな声の「今日は
」気分晴れ晴れ、元気を貰って歩みも快調。
 自転車で必死に坂を登る女学生が母親似、にっこり笑った笑顔が素晴らしい、成長して良い母親
に成って欲しい。
 今日の難所は鳥坂峠、約5kmの上り下り、1117mのトンネルを避けて遍路道を歩くも迷う、結
局はトンネルを通ることに、光るタスキを借りて狭い側道を小走り、抜けると小雨、下りに入って此
処も小走り、札掛けの休憩所迄の5.5kmを1時間で通過。
 番外の十夜ヶ橋を参って予定よりも1時間早いペース体調も快調。
 伊予大洲の町に入る、雰囲気のある町並みを写しながら肱川渡し場に、多数の屋形船が鵜飼用
か川縁に繋留されている。内子座を見学の為歩き遍路は此処までで内子まで列車予定をしていた
が時間に余裕あり内子迄の9.4kmを歩くことに。
 新谷に入って、軽トラックを運転中のおばさんが片手で合掌しながら追い抜いていかれる、大声
で「今日は」と挨拶。
 小学5年生の女の子「おじさんと歩く」「おじさん早いよ」「いいよ」「どこから」「奈良から」、ランドセ
ルから地理の教科書を出して俄か地理学習。「誰かに言われて歩いているの」「自分が歩きたいか
らだよ」あれこれ質問に答えながら凡そ20分自宅前でバイバイ。
 内子座に15時半に着いた。今回の歩き遍路は此処まで。後は内子座を見学し町を少し散策の
上列車で松山へ、松山駅のホームに降りると、ご婦人が温かい物でも呑んでくださいと500円玉を
私に握らす「私も歩き遍路をしていたので」と、咄嗟の事に驚き四国での遍路の深さを考えさせら
れた。
 22時40分発の夜行バス時刻迄の繋ぎで道後温泉本館に入浴、今日はよく歩いた、最高歩行距
離の33km、ご褒美だと夕食を少し奮発しほろ酔いで夜行バスの出発地を松山市駅とJR松山駅
を間違えて最後に大慌て。
 今回の歩き遍路は、色んな遍路の方の話しを伺い考えさせられる事が多い、仏縁も得たし情けも
多く頂いた、又愉快でもあった。菩提に至る苦行の道も少しは歩めたと思う。感謝!!

 
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第2回 40番・43番

四国八十八ヵ所《伊予の国》歩き遍路の旅
空海の史跡と自然を訪ねて