10月19日 6番安楽寺7番十楽寺8番熊谷寺9番法輪寺10番切幡寺〜宿  歩行距離 16.5km
 初めての一人旅、湊町BT発6時55分の高速バスで徳島へ、駅前の托鉢僧に僅かな施舎で「貴方の旅は安全ですよ」に気分良く出発。  バスを乗換え東原到着10時30分6番安楽寺より順調に歩けて10番切幡寺に15時参拝。その間、自転車に小振りのリアカーを付けテント等を乗せてる青年の遍路、今夜は御所の郷温泉で泊まられるゆったり歩きの同世代と遍路も様々。うわさの潜水橋では車に注意。  今夜は吉野川を越えた所のカクマン旅館、河堤を散歩している方に旅館まで案内していただき納め札を渡す。夕食は天然鮎の塩焼きに満足、暫し女将さんと談笑。

10月20日  宿〜11番藤井寺12番焼山寺(宿坊泊)  歩行距離 16.7km
 宿を6時50分出発、藤井寺までにコンビニで昼食準備をと思っていたのに店は無く儘よと先を急ぐ、焼山寺への遍路ころがしと言われる難所が気がかり
 藤井寺を8時20分に出発、気が焦って焼山寺への登り口が分からずウロウロ、最初から難所に負けてる感じ。薄く霧が漂う遍路道が趣きあり時々撮影しながらひたすら歩く、途中の長戸庵迄3.2km標高差420m迄がきつかった。先発の21才と25才の青年に追いつく、故郷の話など元気を貰う。   山道も尾根を歩いている感じで快適ハイク、歩き遍路しか貰えない柳水庵の朱印は焼山寺で頂く。一本杉庵に11時40分着、弘法大師像に一瞬木漏れ日が射して輝く、昼食はカロリーメイトとキャラメルでしのぎ先を急ぐ。標高750mから400mに下って720mに登る、これも遍路の修行と気を引締める。道傍の石仏を愛でながら13時40分に12番焼山寺山門に着く、12.9kmの山道を5時間20分で歩けた自分を褒めてやりたい。   風格漂う寺院で心を込めて参拝、15時には宿坊で風呂を頂き今日の出会いを振り返る、一人旅の心地よさが込み上がり合掌。精進料理の煮物の味付けが奥ゆかしく、ゆっくり味わって頂く。遍路ころがしを心配して友人がメールをくれる有難し

10月21日  宿坊〜行者野バス停(L大日寺の4.5km手前)  参拝寺なし  歩行距離16.3km
 朝6時にお勤め、話し上手な住職で聞き惚れる、此れも徳の一つ。霧雨の境内を写し8時に雨装備で出発、一気に標高300mを駆け下り杖杉庵へ、杉林を抜けて鍋岩あたりで民家、架け稲残る田圃に見惚れてシャッター。標高450mの玉ケ峠の登りはキツイ、「人生即遍路」の掛け札に納得、大きな蛙に驚かされたり沢蟹を踏みそうになったりで楽しくもある峠道。8km程歩いた所、鮎喰川と山並み点在するトタン葺の民家が流れる雨煙に見え隠れ、趣きある里山風景に見惚れる。                              お孫さんだろうか眼の不自由な少年の手を引くお遍路さん、思わず「ご苦労様生憎の雨ですね、でも雨の景色も良いですね」と挨拶、はっと我を悔やむ、でもその青年ははにかみそうな笑顔で一瞬頷いた様に見えた、きっと心眼で見ているのだろうと思いたい。遍路色々、五体満足な自分に感謝し胸を熱くする。11.3km地点の駒板橋、40cm幅程度の板の橋で「バネのようで心地良いですね」と言ったら地元のお年寄りがワッハッハと大声で笑ってくれた元気そうで何より。
 行者野バス停に12時40分到着、今回は此処まで、バスで徳島駅に出て高速バスで帰宅。駅の切符売り場の女の子に聞いた天婦羅うどんに舌鼓。
 今回の一人旅で写真家の藤原新也著「日本浄土」の一節、( 歩行の速度の中でこそ失われつつある風景の中に息をひそめるように呼吸している微細な命が見え隠れする)を思い起こした、十分に理解できていないが此れからの旅で味わいたいと思う。時間を絶えず気にしながら道を間違えないようにと緊張していただろうが、旅人、土地の人々、寺院、自然、小さな動植物等との出会いは疲れを感じさせない良薬。
 次回はもっとゆっくりした遍路旅を試みたいと思う。
 写真は一本杉庵

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第2回 6番〜12番