電話の前に立つと、 ……何故か、 いつも緊張する。 ただの報告連絡なのに、 たわいのない日常的な言葉を交わすだけなのに、 ……何故か、 思い出される。 その地位に相応しい沈着冷静な声音。 でも時折、 その声音に、 甘いエッセンスのような心地好さがあって。 だから、 電話での会話は思い出してしまう。 耳元で囁かれる 甘く切ない声を……。 「だーっ、らしくねぇ!!」 「ど、どうしたの、兄さん!?」 「何でもねぇよ」 「ふーん。で、大佐への電話報告は終わったの?」 「これからだっ!」 「……まだだったの?」 「悪かったな!」 勢いにまかせて、エドワードは受話器を取った。 |
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