beginning〜はじめに〜

希望を叶えてくれる天使など、果たして本当にいるのだろうか? YesかNoか、人によってそれぞれの解答があるだろう。他人の答えはいざ知らず、以前まで俺はYes派だった。しかし、天使は希望を叶えてくれることはなく、どこをどう勘違いしたのか、与えてくれたのは絶望だけであった。ほとほと呆れ果てた俺は、とうとうNo派に行き着いたわけだ。今になって思えば、その時の俺の思考は極端であったと言わざるを得ない。二者択一的な問題としてしか捉えきれていなかったのだ。もう一度、思考の渦を辿ることにしてみた。もちろんのことながら、人に心があるように、当然天使にも心があるはずだ。いついかなる時でも、願いを叶えて欲しいなど、とても虫のいい話だ。こうして、俺は一つの帰結に辿り着いた。

どうやら、絶望の天使も、そして恋の天使も、相当に気まぐれな性格のようだ……。